コリマー部族:葡萄の予言とクリアワイン

ドラゴンキル以来、オーランス人たちは南北に分断され、連絡は通常の手段では閉ざされました。それにも関わらず南方のオーランス人は神が「青の城の戦い」で傷ついたことに気づき、北方に赤の月を見つけました。以下はKing of Sartarの記述です。

オーランスの司祭たちが語って言うには、混沌が再び北方から現れ、オーランスが傷ついたという。化膿する傷口は空に見て取れる。これを止めないかぎり世界に破滅が訪れるであろう。これは一二四七年のことであった。

そしてオルシャンティ氏族の司祭、"星見の"エネスタコスは啓示を受けた。それはこのようなものであった。「神の傷は癒しうるものである。しかしその癒し手は、今は何人も住まぬ清浄の地から来たものでなければならぬ。怪物が討たれ、山が造られ、川がその流れを変えるときが、葡萄を植えるときである。」(日本語版ドラゴンパス年代記246ページ)


曙以来、ヒョルトランドのオーランス人たちは西の「影の高原」の「黒曜石の都Akez Loradak」の半神、「一なる老翁Ezkankekko」と緊張感の伴う関係を続けてきました。このつながりは常に友情からではありませんでしたが、古代のヒョルト王の盟約に基づいていたのであり、概して関係の尊重を続けてきたのです。

1313年、「異邦人」ベリンタールがシンドペーパー島に泳ぎ着きました。この強大な魔力を持つ謎の人物は次々に後に聖王国となる六国を自分の支配下にしていったのです。

ヒョルトランドのオーランス人たちはこの時、あくまで古の盟約を守って「一なる老翁」に与するか、それともベリンタールに従うかで内乱に陥りました。ベリンタールは一度、ヒョルトランドの王アンドリンを殺しましたが、後に彼を蘇生させ、アンドリンは以後ファラオに忠誠を誓うようになったのです。

1318年、「異邦人」ベリンタールが「銀の時代」の英雄たちを召喚して「一なる老翁」に決戦を挑むと、「老翁」は「怪物」、巨大な蛇ウルンファザンを呼び出しました。

ベリンタールが「雷鳴石」で蛇を殺すと、蛇は「鉛の丘」となりクリークストリーム川は流れを変えたのです。(注1)ベリンタールは「老翁」を殺して、黒曜石の都は砕け散りました。

グレッグの手書きの影の高原の地図です
グレッグの手書きの影の高原の地図


オルシャンティ氏族のコリマーは予言の条件が満たされたのを知ると、ファラオに屈するのも、同族と戦うのも好まない一族を集め、北方のドラゴンキル以来禁じられた地に向かいました。(一部はホワイトウォールに拠ってヒョルトランドを出て行かず、あくまで抵抗を続けましたが、それは別の話。)

開拓者コリマーの妻ヘレヴァはエスロリアの女祭でした。(ジャンスタンの「コリマー王の系譜」では「葡萄樹の娘」と呼ばれています。)ふたりは手に手を取って「十字架線」を越え、家族、そして氏族の残りが後に続きました。隠蔽の魔術をはりめぐらし、おそらく恐れに震えながら。

彼らは危害に遭うこともなく、居住を始めました。白葡萄の木を植え、木から作った葡萄酒は色が澄んだ黄色。アーナールダの祝福を受けていて常に冷たく、人に元気を与え、決して二日酔いにはなりませんでした。コリマーとヘレヴァの居住区は後にクリアワインと呼ばれるようになりました。クリアワインは代々のコリマー王の在所となったのです。

非公式版ですが、クリアワインの設定がIssariesサイトにあります。


注1:後にファラオ自身が新河を掘り、エスロリアのランネル川に流れ込むようにしました。そのことで影の高原の地下を走っていた「スティクスの洞窟」の地下水は干上がりました。ベリンタールは「タールの穴」で「老翁」を鉄の剣で貫き、彼が蘇生しないようにしたという話です。