ヴォルメインの地理と勢力、著名人

以下Guide to Gloranthaのヴォルメインの章よりまとめました。訳の間違いの責任はzebにあります。

【島】
【聖なる本国】
*ベルゲング(Belgeng):ヴォルメイン主要三島最大の東の島。皇帝の都ヤ・モン・ウォウがあるところ。西部に穀倉地帯であるトカン地方、北部に皇帝の直轄領であるエドミヨ地方がある。人口55万人。(イメージ的には本州?)
*チャダウ(Chadu,Chadau):ヴォルメイン主要三島にして、ゲニスクとベルゲングの中間の海にある島。人口30万人。幽霊に憑かれたサモアゲイ森林がある島。(イメージ的には四国?)
*ゲニスク(Ghenisk):ヴォルメイン主要三島最西の島。沼沢地が多く、都のノブブは多くのトゥサンクスを崇める海賊の本拠。人口30万人。(イメージ的には九州?)
*ウォルチャ(Worcha):チャダウ島の南にある小さな島。人口8万人。
その他の本国の島:人口7万人。

【支配圏の島】
*シェンザ(Shenza):ヴォルメイン北方の大きな島。地理的にはアイセリン共和国諸島に近いが、ヴォルメインの支配を受け入れている。人口20万人。
*後背諸島(Hinter Islands):その他のヴォルメインに支配されているが本国とは認められていない島々。その中でも皇室に認められている島(グルーゲル、オウシクズ、シェンザ、スラビミリ)があり、その他の島(荒廃島、ヘイシディク、マルモディ、ウォルチャ)は認められていない。人口40万人。

皇朝
*オスデロ(Osdero):アブゼルド(古代ヴォルメイン、テシュノス、クラロレラ)の不死鳥皇帝。洪水により滅び、アブゼルドの国々は分断された。彼の不死鳥の玉座はヴォルメイン皇帝が継承している。クラロレラではメトゥサイラと呼ばれる。
*ヴァルゼイン(Valzain):オスデロの死後ヴォルメインの主神となったジョセルイ(正しき神々)。
*コルマラ皇家(Kolmala Dynasty 第三皇朝?):賢者エンロノを助言者とするコルマラ・ヒン・マドを創始者とする皇朝。最後の皇帝コルマラ・ジャン・ダルの悪政により滅亡。
*フォ・シャン皇家(FoShan):天から墜ちた都市チュランプルや反神セケヴァーの皇朝。クラロレラ皇帝「戦の龍」ヴァヨビに追放される。
*クアン・カル皇家(KuanKal):フォ・シャンを追い払ったクラロレラのヴァヨビ皇帝に建てられた孔雀の皇朝、不人気でムル皇朝に滅ぼされた。
*ムル皇家(Mur Dynasty 第十三皇朝):クアン・カルを追い払った土着の皇朝。不死鳥のムル・ヴァンデロを創始者とする。歴史時代に入ると隠退した。
*第十九皇朝;太陽の女神ヴィジャヤの子孫に創始された皇朝。愚かな戦争で呪われた荒廃島を生み出した。最後の皇帝はオトマラ市に追放された。
*ジャン皇家(Jan Dynasty 第二十一皇朝、今の皇朝):ジャン・イマヌを創始者とする。太陽暦1189年から統治している。

【氏族】
*ハイルニン氏族(Hairunin Clan):現在のヴォルメイン最強の氏族。帝国宰相ハイルニン・ヴァンドゥを長とする。ベルゲング南東、ビシロ市の白鷺の城を本拠地とする。後背諸島の奴隷の腕輪を産するスラビミリ島を支配している。藤原氏平氏のイメージ?
*飛燕氏族(Flying Swallow Clan もしくはバズヒ氏族):後背諸島のシェンザ島を支配する氏族。シェンザ島のイェゾ市を本拠とする。臣下であるギスヨ氏族と密かに争っている。
*ギスヨ氏族(Githyo Clan):「秋の変」でハイルン氏族と、シェンザ島とグルーゲル島の間の海峡で争った。主筋である飛燕氏族と争い、バズヒ・アマムを人質にしている。シェンザ島のウラソ市を本拠とする。
*紫蘭野の氏族(Field of Purple Orchids Clan):ハイルニン・ヴァンドゥに「秋の変」で反乱し、敗れた氏族。現在の家長ジョトモはウォルチャ島に追放されている。ヘイシディク島のクォンブ族(島から離れるとすぐに死ぬ種族)を奴隷としている。
*ジャヤンガー氏族(Jayangar Clan 双鶴氏族):ゲニスク島のトゥサンクスを崇める海賊を束ねる氏族。ジャヤンガー・ノンボを家長とする。
*スンダ・カラパ氏族(Sunda Kalapa Clan):コルマラ皇家を起源とする。チャダウ島のヌシェンイ市とジシュ市を本拠とする。黒魔術を用いることで知られる。赤蝶氏族と敵対関係にある。
*赤青鷲の氏族(Red Blue Eagle Clan):武術家クマンティ・ルンとテラスクを信仰する氏族。チャダウ島のイミン市に本拠を持つ。
*赤蝶氏族(Red Butterfly Clan):第十六皇朝を起源とする氏族。チャダウ島のムザス市を本拠とする。スンダ・カラパ氏族と敵対関係にある。
*ロラナガ氏族(Loranaga Clan 死の蛇の氏族):ゲニスク島北東のロディヤ市を本拠とする悪名高い傭兵の氏族。
*ハイルン氏族(Hairun Clan):ギスヨ氏族と「秋の変」で争った氏族。後背諸島ニクンビラ島のグシク市の白虎城および、ベルゲング島のテンガインジャ市を本拠とする。ハイルニン氏族の従属氏族?
*スラバヤ氏族(Surabaya Clan):悪名高い第十九皇朝を起源とする氏族。ベルゲング島東部のケラフ市を本拠とする。

【著名人】
*ヴォルメイン皇帝(Emperor of Vormain):ヴォルメイン帝国の皇帝。
*バズヒ・カナマル(Bazhi Kanamaru):シェンザ島の公子にして飛燕氏族の長。父であるバズヒ・アマムをギスヨ氏族に人質にされ、反乱の口実を与えずにギスヨ氏族の力を損なおうとしている。
*黄金童子(Golden Boy):皇帝に仕える英雄。イバナス山の妖魔を絞め殺したことで名高い。
*ハイルニン・ヴァンドゥ(Hairunin Vando):最強の氏族であるハイルニン家の長。皇帝と桜花の皇子ジャン・モトウジョ双方の義父であり、帝国の宰相である。紫蘭野の氏族を「秋の変」で追放した。
*イタガキ(Itagaki):ジョトモ公子に従う薙刀を使う女英雄。
*ジャン・モトウジョ(Jan Motoujo):桜花の皇子と呼ばれる皇帝の末の息子。トカン地方の領主。宰相ハイルニン・ヴァンドゥの娘、ハイルニン・ジョトミンを妻に持つ。
*ジャヤンガー・ノンボ(Jayangar Nonbo):双鶴(ジャヤンガー)氏族の長。ゲニスク島の海賊たちを従えることで国内で最も裕福な者のひとり。ベルゲング東部のスラバヤ氏族と同盟を結んでいる。
*ジョトモ、ウォルチャ島公子(Jotomo, Prince of Worcha):紫蘭野の氏族の長。彼の父はハイルニン・ヴァンドゥに「秋の変」で反乱して失敗し、処刑された。
*ジェングの未亡人 (Widow of Jengu):海賊団赤旗艦隊の女の首領。現在その悪名は遥かに死んだ夫を上回っている。

啓発の歴史

要約すると:ダラ・ハッパの歴史をとおして啓発はいろいろと誹謗され、魔女狩りにかけられ、元の形がどのようなものか、信者がどのようなものなのかわからない状態になっていました。(ルナーの到来までは)

曙の時代:ナイサロールが啓発を教えていたが、その知識や信者がすべてグバージ戦争で滅ぼされ、残っているのは秘密を守ろうとして謎めいた暗号や経典のみとなった。
・現代のルナー帝国の啓発が、ナイサロールの説いた啓発と同じか違っているかはわかりません。確かめる術がない。

帝国の時代:例外的に啓発の教団がおおっぴらに帝国に受け入れられていたことはあったが(最初の再誕寺院・啓発教団)、それらもカルト同士の争いや、社会情勢に合わない行動をしたことで時の皇帝に滅ぼされた。
・例外はダラ・ハッパ帝国自体が危機的状態にあったスポルやEWFの占領時代で、これらの時代には啓発者と思われる英雄が活動していました。

第三期:ルナー帝国の勃興で、グレートシスターが啓発の哲学を教える役割を担っていた。
・シェン・セレリスの征服で、ヴィゼラ的な悟法の哲学がペローリアに入り込み、ルナーの啓発も影響を受けました。
・17世紀現代のルナーの神学では、イェルムが啓発を受けて、それをナイサロールや赤の女神が受け継いだと主張しています。

Excerpt From Fortunate Succession

サンダーブレスレストランへようこそ


サンダーブレスレストランへようこそ!当店はチェーン店で、七店舗現在展開しております。

・クラブタウン店
・鉛の城店
・アダーリ店
・パヴィス店
・キトリ森店
・ブラックウェル1号店
・ブラックウェル2号店
下記は人気メニューです。
・全てのメニューに野菜、人間のエール、食用可の木の皿、エルフの骨のつまようじがついております。
・ウォクタパスの触手(火を通した後氷で冷やしております。ランナーの足つきです)
・家畜人(ガーン)のゼリー(モロカンスから仕入れております。ランナーの手とスパイスをつけてお召し上がりください)
・ピクシーのてんぷら(つけあわせにクマネズミがつきます。別注文になりますが偽マッシュルームと一緒にお召し上がりください)
ドワーフの尻肉(アルコールで漬け込んだマリネです。ドングリソースとレモンのスライスをつけてお召し上がりください)
・エルフの胴体(影の踊りのエルフのお造りでございます。インパラのバターつきです)
・トロウルキンバーガー(超有名メニューです)
・生きた家畜のかぶりつき
・ハム甲虫の生け造り(ランナーの小骨で皿に動かないように留めております。付け合せはエジプトクマネズミとゴキブリソースでございます)
・トロウルキンパイ(ドワーフとエルフのミンチとマッシュルーム、偽マッシュルームのスライスを混ぜたものが具になっております。)
・ドリンクはトロウルのものを一通り、人間のエール、エルフの樹液、肉汁酒など各種とりそろえてございます。


サンディ・ピーターセンいわく:この店の台所に入るくらいなら舌噛んで死ぬよ・・・

Excerpt from Trollpak

トラートの赤き剣

トラートの赤き剣(Red Sword of Tolat)はStafford Library:Revealed MythologiesやMiddle Sea Empireに描かれている宝物です。おそらくグローランサの異文化間の衝突を描いている記事の中で一番複雑な話です。Guide to Gloranthaでもこの喪われた宝物についてのプロットが記載されています。

A.トラートは赤い惑星の戦神であり、青い月の息子アートマルの友でした。あるときトラートが敵(*1)に不意打ちされたとき、アートマルがトラートの命を救いました。トラートは感謝して自分の剣をアートマルに贈りました。

B.アートマルは下界の女性カソラに魅惑されて月の船で降臨しました。二人の子孫が嵐の時代に広大なアートマル帝国を築きました。当時ナーガン砂漠は青い炎の海と呼ばれたエフト海であり、アートマル人たちは大いなる船(*2)を操ってこの海を航行していました。アートマル帝国は隆盛を極め、素朴なアギモリ人は辺境に追いやられました。

C.敵(*3)と争うなかで、アートマル帝国は戦う手段を選ばず、結果堕落していきました。そしてアートマルは北方から来た嵐の神(*4)に殺され、堕落しきった帝国はパマールト神の炎の雨で滅亡し、灰燼となりました。アートマル人は自らの神を喪ったことで魂をも喪いました。しかし剣はその前に北方大陸に移っていました。

D.ザラニスタンジ族はコボランドラ(*5)の民であり、長い脚を持つローパーと呼ばれる獣に騎乗していました。青い月と戦神トラートを信仰していました。コボランドラの皇帝デュルポスはザラニスタンジの族長ゼメンダルンにトラートの剣を命を救ってもらった褒賞として与えました。

E.ザラニスタンジ族はその後、北の大陸に移住しました。この剣を用いてセクカウル王国(*6)をジェナーテラ南東部に建国しました。初代王デングバルはトラートの剣を大地に突き立て、そこにはトラートの大寺院が作られたのです。軍神トラートの神殿は海の神々から王国を守りました。

F.しかし時が立つにつれてセクカウルに東方の法士たちが入り(*7)、彼らは血生臭いトラートの信仰を嫌いました。愚かな法士ヘスレナブ(*8)は時のセクカウルの王テュルヴェノストにトラート信仰をやめるように進言し、王はそれに従いました。トラート信者の反乱が起こり、また海の神々はトラートの加護が王国から去ったことに気づきました。ショーグ海が洪水を起こし、王と愚かな法士たちは溺死しました。デングバル王のトラートの神殿はトラートが自分の剣の柄をつかみ、陸塊ごと神力で海上に引き上げた(*9)ので、無事でした。

G.その後、チューランプールの都(*10)が天上から墜落し、メリブの島には破壊的なアシュルタンの民が住むようになりました。島は呪われたものとテシュノス本土の民に見なされました。テシュノス本土には預言者チャルが現れて、ブルスサシャム王は彼の教えである火と輪廻転生と悟法を混淆する信仰を受け入れました。

H.歴史時代に入ると、中部海洋帝国がウェアタグ人の海上覇権を打倒し(*11)、ジェナーテラ南部を艦隊で征服しました。その頃、メリブの民はブラトスザラン王に率いられて、古のザラニスタンジの慣習に従っていました(*12)。彼らは太陽暦805年、トラートの剣を携えてスヴァガッド皇帝のスロントス軍と戦い、敗北したのです。この時西方人のオダナル卿がトラートの剣を獲得しました。彼はこの剣をメリブのトラートの寺院に戻すことで王権を得て、メリブを中心としたテシュノス沿岸部を中部海洋帝国の植民地(*13)としました。

I.その後、剣になにがあったのかは記録にありませんが、海の大閉鎖と、中部海洋帝国の騒乱の中で喪われたようです。剣を捜し求める者がテシュノスや、アートマル人の遺産を復活させようとする者たちから現れています。第三期半ばにはセレンティーンというテシュノス人がトラートの剣を探してゾーラ・フェル河流域に国を作りました(*14)。英雄戦争でも、ある英雄が剣を捜し求めることになります。彼が剣を見つけ出すと、それはザラニスタンジ族とアートマル人を物質界に呼び戻すことになるのです。

(*1)Revealed Mythologiesでは、天界でのトラートの敵の名はブレドジェグ(Bredjeg)になっていますが、これをウーマスと考えることも可能です。
(*2)現在のルナー帝国で使われているムーンボートはアートマル人の遺産かもしれません。
(*3)Revealed Mythologiesによると、ここでいう敵はおそらく神代のパマールテラ西部に植民地を持っていた邪悪なヴェイデル人であり、彼らと戦うには手段を選べなかったという話のようです。
(*4)Revealed Mythologiesによるとこの嵐の神の名前はBarakuですが、これをオーランスと考えることも可能です。
(*5)Coborandra。Troll GodsのAnnillaのカルトの記述によると、詩的な「星と海の間、硬い岩と優しい心の間の国」と描かれています。Peter Metcalfe氏の説だと、神代のフォンリットであり、パマールト神話でトリックスター・ボロンゴが邪悪の山バンダクを創造した土地セルヴッコであるとのことです。
(*6)海で分断される前のテシュノス、トロウジャン、メリブ全体の総称。
(*7)ヴィゼラの悟法の法士。ひとりがネンデュレン(オォルス・サーラーを調伏して「ネンデュレンの平和」を作った賢者)の弟子のヘスレナヴでした。
(*8)ヘスレナヴの愚かな行為はふたつあります。第一にオォルス・サーラーが弟弟子だったときに屈辱を与え、彼が解脱に失敗する原因を作ったこと。(彼に虫(イプ)というあだ名を与えたのはヘスレナヴでした。)第二に後述の理由でセクカウルの王国を滅ぼしたこと。彼も失敗だったことはわかっていたようで、未練を残した亡霊となり、ヴォルメインの賢者エンロノに救われました。
(*9)この陸塊がメリブ島です。
(*10)Churanpur。火の神カーカルと反神ヘレスプルが天界で戦ったときに墜落した天界の都市。墜落した場所はヴォルメインとテシュノスの間の海上でした。その住民は地上界の卑小な生活を恨み、周囲に破壊を撒き散らす存在だったようです。反神アヴァナプドゥルが夢の世界に追放されるとチューランプールの島は消え去りましたが、その民はメリブ島に移り住んで歴史時代にも存続しているとのことです。
(*11)タニアンの勝利の戦い。
(*12)どのような理由でショーグ海の洪水を生き延びて、スロントスでセシュネラ人と戦うことになったのかは不明です。Peter Metcalfe氏の説だと、洪水でいったんザラニスタンジ族は滅びたのですが、テシュノスの英雄ガックのヒスゴラントールのせいで、その慣習は復活したということのようです。
(*13)イィスト植民地Province of Eest。
(*14)Moon Design社のJeff Richard氏のブログでHistorical Atlas of Gloranthaを参照のこと。

ゼオタームの対話集

以下はMoon Design公式サイトにあるXeotam Dialoguesの記事の翻訳です。訳の間違いの責任はZebにあります。アスタリスク(*)の箇所は訳注です。

ゼオタームの対話集

グローランサファンの皆さん!

今日の記事は貴重なもの-ゼオタームの対話集の断片である。対話は第三期の後期に西方の魔道師たちに非常に好評を博した。

対話の原本の日付は1480年ごろと信じられている。しかしこの特定の写本は1618年のものである。対話は達人の魔道師であるゼオタームと、彼のラリオス人の若い弟子アーノール(*1)の間で行われた。

三つの都市(アジロス、ダンク、アーンロール)が元々の対話が行われた場所であることを喧伝している。ゼオタームが15世紀後半にこれらの都市に(もしくは付近に)住んでいたからである。最高導師(*2)セオブランクはこれらの対話の写本を収集していることで知られる。(対話はセオブランクが若いときにはじめて人気が出たのである)

ゼオタームの対話集

アーモールが最初に学んだのは自分の精神を制御することであり、いかに自分の身体を構成する元素の種類に焦点を当て、集中を外の宇宙に拡張することであった。そして元素への制御を意志の支配下に保つことであった。アーモールはこれらの仕事が難しく、訓練の終盤まで来ても集中し、元素の制御を保つのに魔力の護符の助けを必要とすることが分かった。

訓練のこの局面は制御していた元素が、低級な人間に信仰されている神々であることを学ぶまで終わらなかった。アーモールは元素のこと、すなわち元素そのものと同一のもので造られている神々について学んだ。:ヒメール(*3)、寒気の神。ナカーラ(*4)、暗黒の女神。スラマック(*5)、水の神。ガータ(*6)、大地の女神。ズレッサス(*7)、天空の神。ローディク(*8)、火の神。

アーモールが後に学んだことは、定命の者が元素を完全に制御することは望み得ないことであり、そうしようとすることはその元素と同一のものになることを意味するということだった。アーモールの導師はある種の蛮族の妖術師はまさにそういうことを試みて、神々の奴隷となるに至ったと言った。

その代わりふさわしい振る舞いをする魔道師は元素の低位の神のひとりである、元素そのものというよりその一部であるスルビュアリ(*9)を制御するのである。スルビュアリが親である元素そのものより有用である理由はこの事実に由来する。全体のほんの一部であることにより、スルビュアリのそれぞれはある一面において特色を持っている。したがって、ナカーラは地上界の上下の暗黒であるにも関わらず、魔道師は夜の暗黒たるスルビュアリのゼンサを呼び出して夜間の目的に使役することができるのである。

ひとつの相に特化していることで、スルビュアリは特定の起源に依存してはいるものの、独自の行動を取ることが可能になっており、有用性が増す。したがってヴィエルトル(*10)は火のスルビュアリであるものの、彼は神々の鍛冶師でもある。各々の元素に個有種のスルビュアリがいる:暗黒のデイホーリ(*11)。冷気のホールリ(*12)。水のトリオリーニ(*13)。大地のリキティ(*14)。天空のワンボーリ(*15)。火のプロマルティ(*16)。

しかしアーモールは元素とは諸力なくしては不活性の質量にすぎないことを学んだ。力の神々とは世界の様々な活動を制御している神々である。愛と豊穣の女神であるティルンタエ(*17)。ヴァマルム(*18)、戦争の神。メソル(*19)、復讐の神。ゲサー(*20)、死の神。など他にも数多くがいる。

力は行使されればされるほど、威力を増していくという点に特色がある。したがってユールマルがフラマルを殺すまで(*21)世界には死というものはなかった。その後の“神々の戦い”における大規模な虐殺により、ゲサーは力を増していき、彼の領域は神と定命の者を問わず、世界のすべての存在を内包するに至った。

アーモールがこのことを学んだとき、彼は導師に尋ねた。「では人類と神々の違いはなんなのでしょう?」

「ほとんどない。」との導師の答え。

「我々が神々と呼ぶ存在であっても定命の者と同じく死に見舞われることはありうる。しかし神々は我々定命の者のような老衰や病気による死は免れている。」

「しかし殺される可能性はあるのでしょうか?」

「偉大な力を持つ武器を用いれば。世界で最初に死に見舞われた存在であるフラマルを例に取ってみよう。彼は神であったが、ユールマルの手にかかり倒れ、死んだ。」

「しかしフラマルはいまでも生きています。すべての伝説が語っているように。」

「その通り。毎年フラマルの魂が地界から地上界に戻るため苦闘したあと、フラマルの肉体は生まれ変わる。イーヒルム(*22)が毎朝転生し、彼の物質的な肉体が黄昏で死ぬのと同じように。」

「では彼らの魂は死んだあとも生命を保全するのでしょうか?」

「その通り。全ての生命ある存在の魂が物質的な形態が死んでも生き続けるのと同じことだ。」

「我々、定命の者も含めての話でしょうか?」

「我々、定命の者も含めての話だ。」

「ではもし人間の魂が地上界に戦って戻ってきたら何が起こるのでしょうか?その魂はふたたび生命と物質的な形態を取り戻すのでしょうか?」

「その通り。ナカーラから逃れたあと地上界にたどり着くことでこのような魂はカエリス(*23)と呼ばれる別種の神々となる。北方のジョナートと東方のハルマストはまさにこのような神性だ。テイロールやアーカットと同じような存在だ。」

「それではもしある人物の肉体が死んでも、その者の魂は再び物質の形態を取り戻し、神になるかもしれない。生前に地界に降りていき、再び地界から出てきた者はどのような存在となるのでしょうか?」

「その論点は本質についてというより意味論となるな。暗黒の世界に降りていけば、その者が地上界で死んだのと同じように、人間の物質的な形態はその者から去ることになり、根本的な元素の形へと回帰することになる。ナカーラへと降りていくことこそが死である。そして地上界へ再び現れることはその人間を、地上界での死の前に神のひとりとすることになるのだ。」

「もし人間の肉体が死で根本的な元素へと戻るのなら、ひとりの人間はどのように転生するのでしょうか?その者は定命の者の母の子供として再び世界に入って来ることになるのでしょうか?」

「“神々の戦い”の前に生きていたゼデイ(*24)のように、そうなることもある。しかしたいていの場合は、再び地上界に現れたときカエリスは以前よりも強力な力を得ることになる。その者はほぼ他のいかなる形態にも姿を変えることができるし、地界に降りていくことなしに自分の魂を、いかなる物質的な形態からも完全に引き離すことが可能な能力を持つことになる。」

これらの神々の種族に加えて、アーノール(*25)はバーテイ(*26)、もしくは混血の神々として知られる神々について学んだ。バーテイの神々は元素の神々もしくはそのスルビュアリが交わったことによる結果である。フーマト(*27)、風の神がバーテイのなかで最強の神であり、ガータとズレッサスの子供である。そのほかにはフラマルとハイキム、スラマックとガータの双子の子供がおり、トラート(*28)とアニーイラ(*29)、イーヒルムとナカーラの双子の子供がいる。

これらの神々と、彼らに似た神々は、元素の神々その者の産物か、もしくはひとりの元素の神々と、第一世代のスルビュアリの産物である。彼らはより属性と機能において元素の神々に似ている。これらの神々は自分のスルビュアリを生み出す能力があるバーテイである。したがってフーマトの眷属である多くの風の神々、コーラーティ(*30)と呼ばれる存在がいる。これらのバーテイは元素のバーテイとして知られ、またその(能力の)制限により、低位のバーテイとも呼ばれる。

高位のバーテイたちは他のバーテイの(直接の)子供であり、すなわちバーテイ同士の子供か、バーテイとスルビュアリの子供である。より複雑な元素の混血により、これらの神々は祖先が何であるかはほぼ重要でないまでに機能においてより広範囲を許されている。彼らの重要性はスルビュアリのように物質的な属性に依存しておらず、より機能に依存している。たとえばユールマルは狡猾で頭の回転の速いトリックスターとしての方が、彼の血統の中に含まれている全ての豊穣や水や大地や、太陽の火の神としての属性よりも重要なのである。


しかしその一方で、バーテイは混血であるにもかかわらずしばしば強い力に成長する事はない場合もある。このようなバーテイは属しているはずの神々というよりも不老不死の人間に似た生を営む。彼らの魔力はもちろんいかなる人類よりも強いものである。彼らはしばしばルアーサやアルティネーのように群れをつくり、氏族を形成する。そしてルアーサがセシュナや、フマト、スラマックの要求に応じてセシュネギの地を滅ぼしたように、高位の神々の指示の元に地上界で行動する。

イファルドル(*31)と呼ばれるもうひとつのバーテイの階級は二つのスルビュアリの種族の産物である。スルビュアリは元素の神々やバーテイよりも特化しており、力が弱いことから、イファルドルの階級はいかなる神々と比べても最弱である。実のところイファルドルの種族は非常に弱いあまり、病気や老衰による死の犠牲になる。イファルドルは定命の種族である。

イファルドルには多くの種族が存在する。マルキオン人はひとりのコーラーティとトリオリーニの混血であり(*32)、誕生の地であるブリサの地にちなんだブリソス人という呼び名の方がよく知られている。タマール人(*33)はデイホーリとティルンタエの集団の混血である。

「全ての定命の種族、もしくは人類はイファルドルの階級に属するのでしょうか?」アーノールは尋ねた。

「全てではない。」導師は答えた。
「この世界の大部分の住民はスンチェンとして知られる種族である。この世界の野蛮で、獣じみた種族の間で、類似した言語が使われているのはこれが理由だ。イファルドルの血統を持つ種族がいるときのみ言語が異なる。なぜならスルビュアリの各種族は固有の言語を持っていて、彼らのいかなる子孫にもそれが伝わっているからだ。」

「スンチェン族の起源はなんでしょうか?」

「クラロレラ人の言葉だとこの単語は“動物の子ら”を意味する。全てのスンチェンの国々はある種の動物の神性の子孫か、その種族のほかの階級の神を親の一人に持っている者の子孫なのだ。」

「ではこのことが北方のジョナートの民が“熊の民”と呼ばれている理由なのでしょうか?」

「その通り。“神々の戦い”の前は地上界のほとんどがスンチェンの純粋な種族によって占められていた。“山羊の民”や“馬の民”、“猫の民”、“牛の民”、その他多くの民がいた。しかし“神々の戦い”と“混沌との戦い”でこれらの国々は混じり合い、動物との兄弟関係を喪ってしまったのだ。

私の知る限りだと、北方のジョナートの民は熊と交流する能力の大部分を喪ってしまっている。南方のミスラリ山脈にいるバスモルの獅子の民は獣との兄弟関係を保っているようだが、野蛮状態に堕落している。南方のプラロリの民は獣との兄弟関係を保っているが、過去の時代ほどではない。そして極東のヴリーマクの民(*34)は鳥の王の兄弟たちとの親族関係を保っている。

彼らが血統を汚染されておらず、直系の獣からの血統を主張することができる生き残っているスンチェン族と言えるだろう。しかし私が聞いたことのない他の種族もこの世界にはいるのかもしれない。」

「このような親族関係の利点は、時に獣と直接交渉することができるということ以外に何でしょうか?私には種族が混じり合う事は、元素の神々同士が混じりあって、より強い神の血統を生んだのと同じように、人類の種族を強めることになるように思えるのですが。」

「この場合はそうではない。ある民が獣と会話できるということは、彼らが自分の神である祖先とより容易に会話できるということを意味する。したがって容易に自分の神々から“力”を得ることになる。その民の魔力は自分の血統を純粋に保っているときに最強になる。」

「このことは今でも、ブリソス人やタマール人に明らかなように、彼らの血統はブリソス人のように孤立によって、もしくはタマール人のように他の種族と交わることへの恐怖によって、時代の変遷においても比較的純粋さを保ってきた。そして彼らは祖先との交流を行ううえでは地上界で最も強大な種族となっている。」

「それでは自分の民の歴史と起源を知っている魔道師は知らない魔道師よりも強大になるということでしょうか?」

「その通りだ。」

アーモールはしばらく黙っており、そして質問した。

「ラリオスの住民の起源はなんでしょうか?」

アーモールの導師は首を振った。

「それは私には答えられない質問だ。この土地の野生の民は、多くの異なる世界の場所に多くの異なる起源を持っている。この土地の者は特有の結婚の慣習の世代を経過して、非常に血統の混合がおこなわれ、現在の住民たちの創始者であるいかなる神の名前も、挙げることが不可能になってしまっている。」

「では私のような者が強力な魔道師になることは不可能ではないにしても、困難なのではないでしょうか。」

「そうではない。一人の人間は自分の血統を知らなくても神性の力を服従させることができる。そして元素と力を呼び起こすことで、正確にそのことをおこなえば、極めて効率的な威力を出す。アミュレットや魔法図やタリスマンのような術具は一体の神か力に捧げられており、魔道師が集中をより容易に行えるように助ける。もちろんこの方法は欠点もある。」


(*1)原文のまま。ArmorではなくArnor。本文でも入り混じっている。
(*2)セオブランクはロカール派の宗教最高指導者High Watcher。彼が生まれたのはKings of Seshnela Part3(http://moondesignpublications.com/page/kings-seshnela-part-three)によると1470年ごろである。
(*3)Himel。おそらくTroll Godsのトロウル神のHimileと同一。
(*4)Nakala。暗黒の貴婦人。抽象的な暗黒の神。
(*5)Sramak。水の物質の顕現。Wyrms FootprintsによるとDaliathとFramantheの兄弟。
(*6)Gata。抽象的な大地の顕現。
(*7)Zrethus。グローランサ古の秘密によるとDayzatarの別名。
(*8)Lodik。おそらくLodrilもしくは似た神性。
(*9)Srvuali。マルキオン教徒の神話によると、神代のスパイクおよび歴史時代中部ジェナーテラの異教の世界をスルヴューラSrvualaと呼ぶらしい。
(*10)Vieltor。強いて既出の類似の神を考えるとGustbranか。
(*11)Dehori。トロウルの暗黒の精霊の神、Dehoreの眷族。
(*12)Hollri。
(*13)Triolini。Wyrms FootprintsによるとTriolinaの眷族全て(魚人をはじめとする水の生物すべて)を意味するのだが、ここでは意味が限定されている。
(*14)Likiti。おそらくSeshna Likitaに関係する。
(*15)Wamboli。
(*16)Promalti。
(*17)Tilntae。Anaxial's Rosterに既出。
(*18)Vamalm
(*19)Mesor
(*20)Gether。オーランス人のフマクトか。Vamalmと同一の神でないのは興味深い。
(*21)おそらくフレラー・アマーリのあるラリオスの神話に影響を受けている。
(*22)Ehilm。ラリオスの神話で言う太陽神。
(*23)Kaelith。不死性を得た英雄のことか。
(*24)Zedei。彼に関する神話は訳者には不明。
(*25)なぜかここで弟子の名前がまたアーノール(Arnor)に戻っている。
(*26)Burtae。Genertela: Crucible of the Hero Warsで既出。
(*27)Humat。ウーマスもしくはオーランスのことか。
(*28)Tolat。トロウジャンのアマゾンに崇められている赤い惑星の神。
(*29)Anehilla。トロウルの青い月の女神Annillaの別名か。
(*30)Kolati。
(*31)Ifaldor。神々の子孫である定命の種族。
(*32)AerlitとWarera Triolinaの神話のことか。Wyrms Footprintsに既出。
(*33)Tamali。グローランサのどこに住んでいる種族なのかは不明。暗黒の神々の末裔ということからすると、トロウル族なのかもしれない。
(*34)Vrimaki。リンリディの民のことか、シャン・シャン山脈の鷹の民のことかは不明

ハロノ・皇帝・イェルムとその死

オーランス人の神話には「火の部族」と呼ばれる敵の集団が登場します。その首領が「皇帝」と呼ばれる存在です。

この部族は歴史時代でいうところのペローリア地方のダラ・ハッパ帝国と同視されていますし、その首領はダラ・ハッパの主神にして太陽神の名前イェルムと同視され、実際同一の存在として扱われます。しかし「皇帝」がイェルムと同じでなかった、もしくはそうと知られていなかった時期というものが存在します。

下記はGlorious ReAscent of Yelmに載っているグレッグの書いたダラ・ハッパ神話とオーランス人神話の習合の記述です。

「再昇天」におけるオーランス
http://d.hatena.ne.jp/illuminate33/20090417/1239985453

(ハルマストの「光持ち帰りし者の探索行」のあとでは実際そのとおりだということです。グローランサのヒーロークエストの現実に対する影響と、グローランサにおける「真実」がなにかというのはここで触れることはしません。)

Esrolia: the Land of Ten Thousand Goddessesによると、エスロリア神話にはハロノ(Harono)と呼ばれる皇帝に近い存在が出ています。エスロリアが神代ヴィングコット族の中心地であったところを考えると、むしろこちらの方が「皇帝」の原型には近い可能性が高いのでしょう。

またオーランス人のオーソドックスな「競い合いContest」の神話だと、「皇帝」はオーランスに武器の勝負で騙し打ちみたいな形で殺されていますが、それとは異なり、戦場でオーランスが「皇帝」もしくは太陽神を討ち取る神話も存在します。これはヒョルト人の神話では「滅火野の戦いBattle of Extinguish Field」と呼ばれています。

推測ですが、戦場で太陽神を討ち取る神話は、ほかの文化圏の影響である可能性があります。ひとつは上述のエスロリア神話で、ノチェットにおける「第二の戦い」でハロノはオーランスとコーディグに討たれたことになっています。

もうひとつはセイフェルスターの神話で、太陽神イーヒルム(Ehilm)を嵐の神エルラト(Erulat)が「戦の中の戦Battle of Battles」で討ち取ったことになっています。

http://moondesignpublications.com/page/safelster-first-age

上記の異型の神話は、もしかするとこのようなほかの文化の神話の影響の所産かもしれません。

カリーシュトゥの歴史

以下はTradetalk誌14号 p.27〜28のPeter Metcalfe、Martin Hawleyのカリーシュトゥの記事(「法官が私に言わせたことWhat the Lawgiver made me say」)の一部の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。非公式の部分もあると思いますが、パマールテラ全体の把握には非常に役立つかと。

まりおん殿が以前ほかの一部を翻訳しました。
カリーシュトゥの黄金帝国(1)
http://d.hatena.ne.jp/mallion/20050328/1112016253
カリーシュトゥの黄金帝国(2)
http://d.hatena.ne.jp/mallion/20050331/1112276943
カリーシュトゥの黄金帝国(3)
http://d.hatena.ne.jp/mallion/20050401/1112361788
以下はこの翻訳記事の未掲載の歴史の部分でカリーシュトゥの民の世界観を伝えているものです。いくつかPeter Metcalfe氏、Martin Hawley氏の仮説は含まれていますが、すべてMissing LandsやGods of Gloranthaの同地についての記述に基づいています。また、下記の設定は(微妙な話ですが)Mongoose RuneQuest 2のCults of Gloranthaで一部採用されています。

カリーシュトゥの歴史
我々の統一は「偉大なる帰還」よりはじまる。ガランゴードスに率いられて、我々の祖先はジャングルの妖魔どもを皆殺しにして、青肌どもを奴隷にした。地獄のようなジャングルを一掃し、邪悪なユーラクタル(訳注1)の冒涜的な神殿を破壊したのである。我々の祖先はこれらすべての偉業とそれ以上のことを「宇宙のピラミッド(訳注2)」の再生のためにおこなったのだ。

しかし祖先たちの計画はガランゴードスが卑怯にも殺害されたときに頓挫してしまった。彼の指導なしには、われらの祖先だけが「偉大なる帰還」の理念に忠実であり、ほかの全ての者は互いに争い、われらの祖先と争った。自分たちを守るために、我々の祖先はカリーシュトゥの統一を宣言した。当時は今日と違って、グヤ諸島(訳注3)は本土から離れていなかった。

「宇宙のピラミッド」の再建はひどく遅れることになったが、その建造は世界中に影響を及ぼした。多くの背教者や妖魔どもがピラミッドの支配権を奪い取って自分の支配下とし、世界を支配する邪悪な企みをおこなった。しかし彼らの企みは失敗を運命付けられている。「宇宙のピラミッド」はオンパロムへの隷属なしには存在しないからである。

背教者どもの最初の波は「神知者」であった。北方から彼らは来て、オーヴィル(訳注4)、かつての彼らの帝国があったところを拠点とした(太陽暦654年)。その地から「神知者」たちは商人やスパイを派遣してきた。当時我々は強力で、彼らに対して敢えて戦いを挑もうとはしなかった。

背教者の第二の波は南方から来た。彼らはガランゴードスと死者の国で話して、ピラミッドの秘密を学んだ邪悪な妖術師たちだった。妖術師たちは穴を掘ってマラナ高地に姿を現した。そして邪悪なカラバーの都(太陽暦690年 訳注5)を建てた。その地で妖術師たちはマラナ人たちを恐怖で呪縛して、我々が服従しないことがわかると我々に戦いを挑んだ。

東方からジャングルの妖魔たちがエルフの提督エリノールに率いられて、いかだに乗って侵攻してきた(太陽暦734年)。彼らはフォンリットにジャングルを再び作ろうと試みた。我々はエリノールが最終的に敗北のうちに撤退するまで、長いこと懸命に戦った。しかし我々の最悪の恐れは我々が弱っているときに、「神知者」やカラバーが襲ってくることであった。

「神知者」の脅威は自分のずる賢さで自分の首を絞めることで小さくなった。何もかもを知ろうとして、「神知者」たちは気づかないうちにオンパロムの栄光を目の当たりにした。「神知者」たちは我々の道に魅惑され、我々のようになろうとした。彼らの遠く離れたところにいる王ですら我々から学ぼうとして、我々の国に学者の船を派遣した。(太陽暦770年 訳注6)

カラバーの脅威は小さくならなかった。マラナ全土を恐怖で統一し、彼らは自分たちの神々を奴隷にしようとした。そうすることで、彼らの冒涜的な、「妖魔のピラミッド」を建てようとする意図が明らかになった。我々は衝撃を受けたが、「神知者」も同じであった。我々はカラバーを滅ぼすための共通の目的を持った。(太陽暦846年)しかしカラバーはあまりにも狡猾であり、大いなる策略や強大な妖術師たちが我々の軍勢に長いこと抵抗したのであった。

大いなる打撃はカラバーが「神知者」たちを内戦に陥るよう呪いをかけたことであった(太陽暦901年 訳注7)。「神知者」たちはもはや船を送ってこようとはせず、我々は孤立してカラバーに対抗することになった。我々の権力者たちは相談しあって、カラバーを滅ぼすことより、カリーシュトゥを守ることを決めた。すぐに我々の予見者たちは、カラバーがヨーティマム(訳注8)を自分たちのピラミッドに呪縛したことを明らかにした。大津波がはるか北方で発生し、我々の土地を襲おうとしていた。

津波が襲ってきたとき(太陽暦942年)犠牲者の数は酷かった。北部の低地は洪水に見舞われ、グヤ諸島となった。巨大な「水柱」が海峡に生まれ、島の住民は本土や互いと連絡が取れなかった(太陽暦943年)。河川ははるか上流まで逆流し、村を水没させ、堤防を破壊し、海の妖魔どもを吐き出した(太陽暦944年)。しかし我々は長いこと備えていたので、海を押し戻し、カラバーからの無慈悲な侵略の裏をかくことができた。まもなく両方の敵が疲弊して撤退(太陽暦955年)したが、海洋はいまや閉ざされていた。毎年我々は水没した都市を悼み、海に裏切りの報いを受けさせねばならないと新たに誓うのである。

我々にさらに危害を与えるべく、カラバーは妖魔の奴隷たちをさらに送ってきた。我々のオンパロムへの服従のため、カラバーは我々の神々を奴隷とすることはできなかったが、大いなる東のジャングルを卑怯な方法で滅ぼし(太陽暦975年 訳注9)、その一方でオーヴィル(太陽暦1020年 訳注10)やバナンバ海岸(太陽暦1077年 訳注11)の「神知者」たちはカラバーの呪いの犠牲になった。ヨーティマムの眷属は新しい攻撃に移り、「烏賊の週」のとき(太陽暦1112年)は大きな被害があった。しかし我々のカラバーへの敵対はすぐに代償を伴うことになった。もはや我々に守る力がなかったため、多くの都市が襲われ、火をかけられた。そのほかの都市も重い貢物を課せられるか、降伏すらする羽目に陥った。軍事的な団結が滅びると、カリーシュトゥはカラバーの軍勢にさらされることになったのである。

しかし力の頂点にあって、カラバーは転落した。あまりにも多くの神々を捕らえていたため、それらの犠牲となった者たちの監視ができなかったのである。カラバーの軍が我々の都市を包囲している間に、「炎の王」セセコはピグミー族(訳注12)や、サバンナの蛮族たち(訳注13)や、ジェルマー(訳注14)やエグザイジャー(訳注15)、その他の我々がほとんど注意を払わない者たちの寄せ集めの軍勢を召集したのであった。セセコは邪悪な都市を地面にいたるまで破壊し、その軍勢は廃墟を占領した(太陽暦1136年)。

カラバーの破壊はその残骸のなかに多くの黙想を生み出した。古代の団結は「大津波」か戦いの中で押し流されてしまった。「宇宙ピラミッド」に対する業績は浪費されてしまった。さらに悪いことに、ピラミッドの秘密は喪われて、新しく始めることもできなかった。我々の多くは霊感と新しいものを他の地に求めることもあった。それらのうち主となるのはサクムの地(訳注16)を訪れた「純粋なる者たち」であった。

「純粋なる者たち」はカテレ市を建設し(太陽暦1202年)、他の民を転向させようとした。我々の多くは転向を拒否したが、それは彼らの教義が水と女性の拒絶を含んでいたからである。怒り狂って「純粋なる者たち」は自分たちの教義を力で強制しようとした。これは「女の反乱」につながり、多くの苦難をもたらした。「純粋なる者たち」を戦場で打ち負かすことはできなかったが、争いは彼らの人数と、信仰と戦いに対する熱意を大いに奪った。最終的には彼らは隣人たちに平和を申し出て、オンパロムへの隷属へと戻っていった。しかし「統一」の復興と「宇宙ピラミッド」の再生は記憶も定かでない夢に留まっていた。

「沈黙に対する戦争」が遠方のヴラーロスを荒れ狂っていたが、我々は平和であった。その一方で「妖魔の時代(訳注17)」以来最大の妖魔、禁忌の存在イラン(訳注18)が天に昇った(太陽暦1247年)。多くの者が警戒したが、この国は平安であった。なぜならイランは遠く離れたところにあったからである。我々の安全に対する幻想は荒っぽく打ち砕かれた。赤いローブをまとった「イラニアの跳躍者たち」がマラナの山々から出てきて、カリーシュトゥを脅かしたからである(太陽暦1320年)多くの都市が青の民が反乱を起こし、「跳躍者たち」が簡単に都市の城壁を飛び越える事態に貢ぎ物をおこなった。しかしそういったことが行われるうちに、「跳躍者たち」はあたかも一度もいなかったかのように姿を消してしまった(太陽暦1331年)。

「跳躍者たち」は邪悪だったが、彼らの目覚めはひとつの祝福を生むことになった−「統一」の回復である。「跳躍者」に怒ったトゥルブルス(訳注19)のアルチドミデスは「跳躍者たち」から逃れてきた魔術師たちから成立する神秘的な一団であるトンドと一緒に身を隠すことになった。トンドたちの魔術の中に(トンドたちはそのことを知らなかったのだが)アルチドミデスは喪われた「ピラミッド」の秘密を見出した。アルチドミデスは苦痛に満ちた決断を行い、古の忠誠を捨ててトンドのひとりとなり、トンドたちを転向させて「宇宙のピラミッド」を再建する義務に向かわせたのであった。

統一の再構築は長く緩慢なものであった。トンドたちがピラミッドの頭石である、「大いなる水晶の目(訳注20)」を新たな都であるトンディジに置くのには長い時間がかかり、ピラミッドに最初にアーナモラ(訳注21)を加えるにはさらに時間がかかった。ピラミッドにさらに加えていくのは長年の忍耐強い外交と、策略と地固めを要したのであった。

ある日のこと、新たな敵が台頭してトンドたちに対抗した。アーファジャーンである。(太陽暦1518年 訳注22)ジャーンたちは「宇宙のピラミッド」に何の関心も払わなかったが、独自の秘密を持っていた。

残念なことに、彼らは自分達の秘密を悪用して享楽のために用いた。こうなるのはジャーン達の祖先がイラニア人と踊り、カラバーに屈服していたことから当然予測しうることであった。

彼らがヴァデル人―大洋に最近姿を現した邪悪な妖術師達(太陽暦1585年)と仲間になったことも我々にとっては驚くことではなかった。ヴァデル人の助けを借りて、ジャーンの軍は速やかに我々の領土を蹂躙した。

トンド達は抵抗しようとしなかったが、それはピラミッドを妥協したものにしたくなかったからである。

トンド達の提携は怨みを生んだが、我々の先見の明は、ヴァデル人達が残虐に自分達の貪欲にたいする反乱を滅ぼしたこと(太陽暦1589年)で、またカリーシュトゥに対するヴァデル人の枷が一連の今でも信じがたいような劇的な敗北(太陽暦1594年 訳注23)で消え去ったことで裏付けられたのであった。

ヴァデル人が撤退すると、トンド達は静かに次にピラミッドに加えるための準備を再開した。ディンダンコの都は付近の沿岸を征服するための大艦隊を建設していたので騒がしかった。ティノコスやタラホルン、バナンバの沿岸はすぐに我々の艦隊の前に陥落したが、艦隊によって最後に征服したクマンク諸島はヴァデル人と対決し、原住民の敵対もあって長い時間がかかった。(太陽暦1602年)

アーファジャーンを「青の帝国」(訳注24)に併合しようとする試みはわびしくも失敗したが、それは新たなジャーン(訳注25)が約定を破ったからである(太陽暦1613年)。提督たちは沿岸地域への冒険の熱情をこの失敗で喪い、今ではその力を海の勢力に処罰を与えることに注いでいる。

我々の統一は我々に危害を加えようとする多くの侵略者たちを見てきた−「神知者」たち、ジャングル、海、カラバー、イラニア人たちとヴァデル人。すべてを撃退し、多くの者がそのために苦しんだ。我々の統一はいまや偉大さの頂点にあり、トンドたちの指導の下に、陸と海で無敵である。我々は宇宙ピラミッドの確立と、全世界をオンパロムの意志の元に戻すのをを目前にしているのである。


訳注1:Jraktal。Lords of Terrorによると、神代にパマールテラに侵攻した混沌の神。Peter Metcalfe氏の説によると南方のパマールトの「炎の降臨Firefall(Revealed Mythologies)」の影響を受けず、第一期もその信徒の文明がフォンリットに生き残っていた。
訳注2:Cosmic Pyramid。Peter Metcalfe氏によるとOmpalamを頂点とする魔術的、神秘的な階層構造がTentaculeであり、その信仰がカリーシュトゥの国教であり、トンド達(カリーシュトゥの魔術師の階級)の支配下にある。
訳注3:Guyan Islands。 Peter Metcalfe氏によるとカリーシュトゥ島嶼部のドゥサングヤ島(Dsunguya Island) 、ムルジャグヤ島(Murdjahguya Island) 、ヌジェナグヤ島(Njenaguya Island)の主要三島の総称
訳注4:Oabil。アギモリ神話でのパマールテラ西部(おそらくウーマセラ)のヴァデル人(論理の民)の国。マルキオン教徒の神話ではチール(Chir)と呼ばれる。この単語をPeter Metcalfe氏は神知者の帝国のために使っている。
訳注5:Kalabar。フォンリットの地誌の記事を参照のこと。Peter Metcalfe氏はKalabarの妖術師たちが大閉鎖とエリノール一族の滅亡の一因であるという説を立て、さらに彼らの魔術がTondたちの魔術と似ていることをほのめかしている。
訳注6:(訳者が把握している限りでは)マルキオン教徒の歴史年表に特にこの出来事の記述はない。
訳注7:パマールテラの公式歴史年表によると、この年にウーマセラのヨーランデイで「誤ちの神々の反乱」が起こっている。
訳注8:Jotimam。Lords of Terrorによると、この混沌の神はスパイクが爆発した後生まれた、宇宙と海の中心の虚空である。Tales of the Reaching Moon5号ではフマクトによって殺されたことになっている。Missing Landsの魚人の神話では類似の敵がデズ(Dez)と呼ばれており、マガスタに殺された。
訳注9:botched attempt。疫病でエリノールの一族は滅びた。
訳注10:世界知識の主(Lord of World Knowledge)の敗北
訳注11:アートマル人の「不可視の艦隊」が神知者の艦隊を沈めた。(原因はデュマナバが神知者艦隊の避難を受け入れなかったため)
訳注12:エリノール密林に住む小人(人間)の種族。詳しくはMissing Landsを参照
訳注13:おそらくジョラーにすむアギモリ人
訳注14:Jelmre。古の種族のひとつ。感情を用いる魔術を使用する。グローランサ古の秘密:古の種族の書(Elder Secrets of Glorantha:Elder Races Book)参照
訳注15:Exiger。マリ山脈に住む獰猛な戦士(人間)の一族。詳しくはMissing Landsのジョラーの章を参照
訳注16:Sakum。パマールテラ最南、ナーガン砂漠を越えたところにある伝説の炎の地。アギモリの祖先はこの地で不老不死だが子供を持たないアギトラーニ(Agitorani)と子供を作るために分かれ、不老不死を失ったと言われる。詳しくはRevealed Mythologiesを参照のこと
訳注17:Demon Period。パマールテラ神話で言う大暗黒のこと。
訳注18:赤の月の昇天。第0ウェイン27年。
訳注19:Tulbulus。拷問と苦痛の都。Peter Metcalfe氏によると第三期のカリーシュトゥの再統一時に最初に傘下に入った都市らしい。Missing Landsには記載なし。
訳注20:Great Crystal Eye。Tantaculeの本体か。
訳注21:Ernamola。グローランサの神々によるとフォンリットの穀物の女神でキビ(Millet)を司る。
訳注22:公式年表によるとこの年に輪縄のダーリスターがジャーンに信仰されるようになった。
訳注23:オエンリコ岩礁の戦いはカリーシュトゥの島嶼部沖で戦われた。
訳注24:Peter Metcalfe氏の非公式設定によると、カリーシュトゥの制海圏の中だがピラミッドに土着の神々が組み込まれていない地域をこのように呼ぶ。
訳注25:アスタマニクスのこと。