Six Agesの背景世界について

太陽神の末裔
Six Agesの背景であるグローランサの神話世界を知るためにまずグレッグ・スタフォードの古代ダラ・ハーパを描写するGlorious ReAscent of Yelmから入ります。SA1およびSA2の時代は歴史が始まる前の神代で神々がいまだ人類とともに地上を闊歩し、神々と人を隔てた神々の盟約(Cosmic Compromise)はいまだなされていません。

Six Agesの背景になるペローリア地域は太陽を信仰する帝国によって支配されてきました。SAでプレイする氏族(Clan)はNivorahという神代の太陽帝国(後のダラ・ハーパ帝国)の南方の都市の末裔です。

Nivorahは初代皇帝Murharzarmの十大都市の一つであり、またMurharzarmが反逆の神々に討たれ大洪水で帝国が沈んだ後にAnaxial皇朝が復興した小暗黒時代の七大都市の一つでもあります。(おそらく英雄戦争時代の都市ジラーロとほぼ同じ位置です)

Glorious ReAscent of Yelmの続く話ではイェルムが砕き散ったあとの小さき太陽も弱まり氷河が迫る中、帝国を守るために卵の殻のようなドームで帝国を覆う計画をManarlavus皇帝が宣言しますがNivorahの民が皇帝の命に逆らってドームの計画に反対し、結果神に逆らう悪しき民として神罰を受け、Nivorahは氷河で押し潰され、民は賤しき馬に乗る/馬が引く戦車に乗る流浪の民になる記載があります。

聖なる身分制度に守られた都市生活を最善とするダラ・ハーパ側の世界観からすると都市生活を捨てて氏族として生きていくことは転落以外の何物でもないからです。またNivorahの神もこの帝国への背信から名前を喪ったという記述があります。

SAは出来事を流浪の民となった祖先の騎馬民族(Rider)側の視点で記憶しています。プレイヤーのRider氏族側には都市を捨て流浪の民になったことが神罰であるという意識はありませんが上記の事情から高慢な北方のダラ・ハーパの文明とは愛憎半ばする関係にあります。同じくNivorah から逃れたチャリオットの民である戦車の民(Wheel)はよりダラ・ハーパ的な男性優位的/形式張った価値観を持ち自由な価値観を持つRider氏族を軽蔑しています。

嵐の民との和合
SA1の主題はタイトル通り、上記の太陽の都市を捨てた騎馬の民であるRiderが南方から来る嵐の神の信者と和合し、嵐の時代の戦乱のなかで生き延びて繁栄していく道を模索していくことになります。GROYでは名前が喪われたとする主神の光の神はSAではエルマルと呼ばれています。

SA1の時代は太陽神を討って勝ち誇るオーランスとその嵐の眷属が母なる山から四方を征服していく小暗黒の時代でGreg StaffordがKing of SartarやBook of Heortling Mythologyで描写しています。真の太陽を喪って衰えゆく北方の帝国と南から入植してくるオーランスの子ヴィングコットの民の緩衝地帯である難しい地域でプレイヤーの氏族は生きていくことになります。

SA1の段階では馬に乗ることはHyalorを信仰するRiderの氏族にのみ許される特権であり敵対する種族であるWheelやRamは魔術的な意味で馬に乗ることができません。SA1のプレイヤーの選択とストーリー展開によると思われますが、プレイヤーのRider氏族に現れるElmaliの英雄とRam(Vingkot)氏族の間に現れるOrlanthi(Ernaldan)のヒロインとの禁じられたロマンス、困難を乗り越えた上での結婚が行われます。RiderとRamの結びつきにより騎馬のオーランス氏族が誕生します(これがSA2でプレイされる氏族になります。)


そして混沌の時代
SA1の終わりにプレイヤーの氏族はオーランスの神話を受け入れて多くの嵐の神々の信仰をするようになりますがエルマルを主神とする信仰は変えません。SA2ではプレイヤーの氏族は王を持たないRiderの伝統を抜け周辺のオーランス氏族を従える王を頂くBerenethtelli部族の指導者となります。Berenethtelliは他のオーランス人と異なり足の速い馬に乗る術を知っていたため栄えていました。


しかしながら混沌の時代が到来しました。オーランスの太陽を地獄に送り、天地をかき回して大洪水を引き起こすやり口が世界にほころびを生み出したのか、もしくはオーランスを妬む不浄の三神が悪魔を呼び込んだのか。いずれにせよ混沌と嵐の軍勢がStormfallの戦いで激突し、オーランスは敗れます。プレイヤーの氏族も参戦しオーランスの敗北を目撃します。

SA2開始時点ですでにオーランスは死んでおり信者の信仰に応えなくなっています。(オーランスがどのように死んだか/地獄に行ったかについてはゲームの主観においては知らされず、ただ神を亡くした絶望感だけが描写されます)神々は力を失っていき祈りは応えなく、土地はアーナールダの死とともに衰え収穫は減っていきます。神々は頼れず無神論者が生まれ神よりも精霊に、農耕よりも狩猟や採集に頼ることで生き延びるようになります。

Berensteadの王権は混沌の跳梁とともに配下の氏族が分断され有名無実なものとなっていきます。人々の心は窮乏にすさみ、混沌の攻撃はワクボスやNontrayaの物理的なものから隠秘なもの(マリアの疫病やポチャーンゴの変容)、精神的なもの(オンパロムやセセイネイ)、エルマルの最大の敵Teghernと多岐に渡り、たとえプレイヤーの氏族が堕ちなくても、周囲に混沌によって滅びたり、誘惑に転向する堕落した氏族が増えていきます。


このような破壊された世界で生き延びる術はあるのか、奇跡があるとすればわずかに生き延びた個々人のなかにある星の魂にしかないのかもしれません。世界はもはや滅びることが運命づけられており、再生するしか可能性はありません。


Six Agesについての個人的な感想、今後と私の妄想


個人的にはGreg Staffordの神々の戦いと大暗黒を主題とする古代の神話への愛と奔放な想像力をこれほど再現できた作品は他にほとんどないかと思われます。グローランサの昔の時代を掘り下げていくこのシリーズがさらに続くことを期待したいものです。

特に次のSA3やさらに次のSA4がもし製作されるとするのなら主役がBerenethtelliである以上、壊れた評議会や火葬やさらには裸足の英雄の登場するグバージ戦争が舞台になるのかもしれません。舞台をペローリア地方だけに留めておくことは難しいのかもしれませんが。

題名がSix Agesである以上、当該ゲームが最終的には帝国の時代や赤い月の昇天、英雄戦争なども網羅する全部で6章になることが予定されているのかも知れません。今からそこまで期待するのはもはや妄想の域かとは思いますが。