トロウルの大洪水


グローランサの古の種族はかつて、人間よりはるかに栄えていました。人間が優勢の種族となったのはごく最近の話だということです。(また、「時間」というものの感覚も人間とはかなり異なっているようです。)中でも三大種族(エルフ、ドワーフ、トロウル)は、人間がびくびく暮らしていた古の時代に戻そうとする動きを密かに見せています。彼らの活動が現れるのが英雄戦争です。

エルフには短期間でジェナーテラ西部全土を森で覆う計画がありますし、ドワーフは石弓で天蓋を止め、宇宙そのものを停止させる計画があると言われていますが、Sandy Petersenのいうトロウルの計画は特に愉快なものです。

北方の氷原は「混沌殺しの」ボズタカングが、大軍を率いて混沌と戦ったところで、かつてトロウルの大国がありました。今日は文明を知らない雪トロウルや、ジャイアントトロウルがさまよっているだけのようですが、実はボズタカングの大軍は冬眠しているのです。

目覚めたトロウルたちはヴァリンド氷河の大きな塊を噛み取り、大氷山を帰郷洋に落とします。大氷山はあちこちの大陸や島々にぶつかって大きな被害を与えながら、マガスタの渦に向かいます。氷山は地界への穴をふさぐでしょう。

そもそもグローランサでは絶え間なく渦から水が流れ落ちているのに水がなくならないのはどうしてか。海の周りを巡るスラマックから絶え間なく水が流れこんでいるからです。海は水位を増していきます。トロウルたちの住む高地を除き、次々と陸地は沈んでいきます。大洪水の再来です。

トロウルたちは喜んで、溺死した人間どもで大ご馳走です。魚人たちもトロウルと手を組んで喜ぶでしょう。彼らの宇宙観では、地上のものは全てDry Food、つまり食物だからです。