ヒョルト王4:ひとつ心の戦い

下記はBook of Heortling MythologyのUnity Battleの描写の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。

ひとつ心の戦いUnity Battle

ヒョルトはシリアスドーラに向かった。(後にイリルヴェルヴォール、もしくはホワイトウォールと呼ばれることになる砦である)そこはすべての混沌に対する守りである巨大な石の砦であった。その時、百人くらいの人しか住んでいなかった。そして子供はまったくいなかった。全ての者が傷ついていて、病んでいて、世界の終わりに生きていることで少し気が狂っていた。彼らの肌の色は鈍い灰色であった。彼らは死にかけていた。

ヒョルトはあまりにも活力に満ちていて、生き生きとしていたので、最初のうち、砦の主たち(訳注1)は彼を殺して食べるために襲おうとした。しかし彼は彼らを皆殺しにした。他の者はヒョルトの言うことを聞くようになった。そしてヒョルトは教えられることは伝えた。今お前がここで学んでいるのと同じように。ヒョルトはその者たちに我々がお前に教えるのと同じように教えた。そしてお前と同じようにそれらの百人は「次男」と会う準備ができた。ヒョルトはそのものたちになにが起こりうるか、そしてなにを学ぶことができるか教えた。一は多であることを。

その者たちは「次男」と会って、戻ってきたときは彼らの肌は灰色からピンク色になっていた。彼らは出会い、そこにいて、新たな生命を得た。その者たちは「我らはヒョルトについていく準備はできている」と言った。ヒョルトはイリルヴェルヴォールの指導者となり、彼らにヒョルトの民であることの決まりを教えたのである。

ヒョルトは暗闇の中で、人々が住んでいる他のステッドを訪問し、その者たちもヒョルトの秘密を学んだ。そして「次男」の子供たちとなった。彼らは秘密を分かち合い、お互いに見分けるための聖なる言葉を学んだのである。

ある日のこと、ヒョルトが「峰」の近くの森にいると、多くのトロウルが彼を囲んだ。ヒョルトはしばしばトロウルに追われていたが、決して捕らえられることはなかった。なぜならトロウルは鹿を狩っていたからである。しかしこのときトロウルたちは食べ物のために狩りはしていなかった。

「「次男」に挨拶を送る」ひとりのトロウルが言った。ヒョルトはその者の声を前に聞いたことがあった。「あなたの兄弟から同じことを。」ヒョルトは返した。「ひとりは全てだ。」

「私はひとりだ。」

そのトロウルは姿を現した。ヒョルトは本当にそのトロウルを認めることができた。この生き物は、野生のグローランサの中で最強の肉を食べる獣だったが、その時動きを止めて、うなるような声で、正しくヒョルトに告げた。

「俺は貴方を知っている。」このとき、姿を現していた他のトロウルたちの多くが腰を低くし、身を屈めて、頭をヒョルトよりも下げた。

ヒョルトには彼らから逃げ去ったり、彼らを殺したりするのは簡単だった。しかしその代わり、ヒョルトは自分の前にいる者を理解した。ヒョルトはトロウルに話しかけ、トロウルはトゥクトゥ(訳注2)と名乗った。二人は同じ言葉を交わし、二人は離れていても一緒に戦っていたことを悟った。

ヒョルトはそのトロウルに付いて行った。トロウルたちはヒョルトをアケズ・ローラダック、黒晶の塔(訳注3)に連れて行った。もしかするとお前はいつか見るかもしれない。南方にある高い黒い塔だ。そこには今日と同じように我らの善き君主、「一なる老翁」がいた。

エズカンケッコ、「一なる老翁」は巨大な人物で、トロウルよりも大きい。ある者は、「老翁」はトロウルではないと言っていた。しかし彼はトロウルの神とトロウルの女神の息子だ。だから自分で確かめるがいい。しかし彼は鉄の剣を手に持っても火傷はしない。だから私は知らない。「老翁」はトロウルのように食べる。しかし彼はとても頭が切れるし、賢明だ。

「一なる老翁」はヒョルトに話したことは「私が創造した生ある民は、生命を持たない切れ端を呼び寄せて結託し、ケロフィネラの地に到来した。ブルーどもが身をかがめ、酸を持つスライムが通り道を焼き、怪物どもがやつらの下に集まっていく。」

「我らには力があるが、十分ではない。」「一なる老翁」は言った。ヒョルトが「一なる老翁」に言ったことはこうである。

「古の方よ、貴方の前にいる小さな者は聞く耳を持ってくださる方に感謝の念をもって前に立っている。私は明らかなことを口にすることで無礼なことをしたくはない、しかし私が知っていることはこうである。」

「ヴィングコットの時代の前には、「先闇」の眷属が混沌の力をもってこの世界を汚すことはなかった。貴方はおそらく記憶していらっしゃるだろう。その頃には貴方の種族と私の種族の間に争いはなかった。我々に大いなる敵が近づいている。そして共通の利益のため、なんらかのかたちでともに働くことができると私は考えている。そうすることに我々の勝利の道がある。」「一なる老翁」は同意した。

ヒョルトは使者たちを他の人類の要塞に送り、戦士たちと司祭たちを集めるように命じた。しかしヒョルトは単独で、自らの聖なる石を携えるだけで出発した。そしてヒョルトは民にどこに自分が行けばよいか助言を求めた。助言にしたがって、まだ生存している力を持つ者たちのところへ行った。ヒョルトはカルール・エラール・タラス(訳注4)を訪れた。一体の大ドワーフがヒョルトの考えを聞き、ヒョルトのまゆ毛が動くことに驚いていた。ヒョルトは道を変えて、松の木にまだ緑が残っている森に向かい、樹木で武装し、人間より長い弓を持つ「アルドリアミの王」オレンヴァンスと話をした。

「我らは貴方を知っている。」彼らはみんな集まった。考えを持つ民の指導者が全員来たのである。我々は速やかに計画を練った。もう時間がそれほどなかったからである。こういうことが起こったことは前にはなかった。しかしこの時は、モスタリとアルドリアミ、ウズと人間が肩を並べたのである。ヒョルト、最高の戦の指導者が指揮をとった。ヒョルトは命令系統を定め、魔術師たちを保護下に置き、粘液を飛ばしながら進むブルーの軍勢の道を妨げた、そして攻撃し、壊滅させたのである。

この戦いが「ひとつ心の戦い」(訳注5)である。この戦いがケロフィネラを偉大なる土地とした。なぜなら混沌が我々にこのような形で向かってくることは二度となかったからである。エルマルからの乏しい光しかなく、常に寒いのにもかかわらず、我々は平和に暮らし、再び子供を持つ希望をも得た。ヒョルトが全ての者に教えたことは、我々のみや、他の種族だけの話ではなく、全ての自然に対しての話であり、なにが新しい世界と古い世界とで違うかであり、生命と死の意味だったのである。

訳注1:おそらく隠れた王
訳注2:Tukutu
訳注3:Akez Loradak、黒曜石の都
訳注4:Karur Elar Taras、グレートウェイのモスタリの都市
訳注5:Unity Battle