蛇王朝Serpent Dynasty

蛇王朝
下記は、私がグレッグ・スタフォードの「セシュネラ王統譜」から、蛇王朝時代(第一期初期)の出来事をまとめたものです。(第一期の「セシュネラ王統譜」はグレッグの宇宙観におけるマルキオン教と異教(多神教)の関係を大いに考えさせるものです。)

ブリソスの支配者、タラールには数人息子がいました。しかしうちの一人、フロアラーは、跡目争いを避けて島を離れ、北の大陸に向かいました。(この出来事を「フロアラーの解決」と呼びます。)彼が最初のセシュネラ王となります。

入植者たちの生活は曙の時代を迎えても甘いものではありませんでした。当時、ジェナーテラ西方は「獅子の民」(バスモル人)が大いに勢力を持ち、魔道の民は少数派に過ぎなかったからです。自然、民はブリソスの時代の不老不死を生き延びるために失うことになりました。

フロアラー王の最初の妻はゼメラXemelaといいます。情け深い性格を持ち、民の苦難に目をそむけることができませんでした。疫病が民を襲うと、彼女は民を救うために自らの命を捧げたのです。

ゼメラの息子がフレストル。彼はマルキオンの啓示を幻視し、死後にある「慰めの野」について支持者たちに教えました。神と一体となるビジョンを「心の喜び」と呼び、カーストの制限に縛られることなく、良心にしたがってものごとを行う者を以後、「騎士」と呼ぶようになりました。

しかし、フロアラー王は、後添えを娶りました。この女性はセシュナ・リキータという名前で、地母神の女祭でもありました。この女性は土着の生まれで、人間ではありませんでした。

彼女は子供を産みましたが、彼らは人間の足の代わりに、蛇の尾を持っていました。彼らがフロアラー王の王位の後継者であり、土着の伝統を受け入れて、「聖なる大王Sacred Overlord」の称号を代々名乗ったのです。

彼らは祖先の崇拝者であり、また、フロアラー王も、おそらくセシュナの儀式を受け入れたことで、地母神の夫としての不死と蛇体を得ました。彼(やその後継者たち)は王位を退いた後も、地母神の神殿の地下に隠棲し、神殿に詣でるものに祝福や呪いを与えました。

フレストルは、義母のセシュナを傷つけたことで王位継承権を失い、追放され、西方の海を旅して自分の教えを広めました。彼の終着点はフロネラのソグ・シティです。彼の教えの支持者であったはずのヴァデル人に裏切られ、この都の判事であったブリソス人たちに死刑を宣告され、殉教しました。

蛇王朝の祖霊崇拝は2世紀の終わりまで続きます。その後、セシュネラ王たちはフレストルの教え以外を否定し、祖霊崇拝を拒絶するようになりました。

しかし、神殿の地下深くに住まう蛇王朝の霊たちは生き延びて、歴史上何度も姿を現します。彼らこそがセシュネラの王位に正当性を与える、領土そのものの支配者だったからであり、この事実を無視しようとする者は強大な魔道士であろうと、高名な騎士であろうと破滅することになりました。