混沌の侵略

以下はAvalon Hill版Lord of Terror14ページの記事の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。

グバージとは何者だったのか?
ジルステラのセロフィスの「単一神話」より
混沌は「神々の戦い」の争いで生成した裂け目を通して世界に入り込んだ。最初に潜りこんできた混沌の生き物は小さく、弱かったが、彼らが入ってくるたびに裂け目は広がり、より大いなる怪物たちが世界に入り込めるようになったのである。

ワクボスはグローランサに混沌が入り込む門であった。ワクボスは国々に死と破壊を広め、自分の眷属が入る道を開いた。最終的に、ワクボスは大いなる軍勢を率いて神々の最後の砦を襲った。ワクボスは「完全なる宮廷」に入り込み、「宇宙の女帝」を陵辱し、スパイクを破壊したのである。このことで「大暗黒」、またの名を「混沌戦争」もしくは「混沌の時代」がはじまった。

スパイクが爆発すると、ヨーティマム(Jotimam)が解放された。ヨーティマムは存在の中心にある「虚無」であり、ヨーティマムの虚ろから、ヨーティマムの子らとも呼ばれる、偉大な混沌の神々が歩み出てきた。これらの混沌の存在も世界に侵入したのである。ヨーティマムはすぐに水の神々に攻撃され、フマクト神の剣で殺されたが、ヨーティマムの虚無を完全に埋めるものはなく、世界の穴は残ったままである。

(スンチェン人とブリソス人の国である)「北方」ではワクボスがすでに大部分の守護神たちを倒していた。ジェナート神に率いられた残党に対する戦いの指揮官がグバージであった(ジェナートが殺されるまで)。この戦いで人類と古の種族たちは自分たちの指導者達が殺されるまで戦い、次いで独力で戦い続けた。この時、ヴァリンドの荒野とジェナートの荒野が生成された。戦いは最後には下位の種族の援助を受けたモスタリ族によって終わらせられた。[同盟の]軍はグバージを倒し、完全に世界の外に放逐したと信じた。しかし、彼らは知らなかったが、グバージは宇宙の織り目の中に隠れていて、「太陽」が登った後に戻ってきたのであった。

南方の地では混沌の怪物はグバージの兄弟であるユーラクタル(Jraktal)に率いられていた。この地での戦争は何種類かのこの戦争のために新たに創造されたものたちを含めて、主に人類によって戦われたが、古の種族も支援をおこなっていた。主な貢献した民は人類の最古の民であるスンチェン人であり、植物の民であるイヴァマーリ(Ivamali)も援助したが、数は少なかった。もっとも新しい種族であるナーガ(Naga)はまったく戦いを援助しなかった。これらの守り手たちはパマールトによって率いられていた。パマールトは兄弟のジェナートより成功したし、ユーラクタルは倒れたが、その前に豊穣の地の多くは燃える砂と酸の湖と化していた。

祝福されたヴィゼラの東方の地は混沌に侵されることはなかった。(襲われるにはあまりにも清らかだったのである。)しかし「西方」大陸においては混沌の軍はザマールク(Xamalk)によって率いられていた。この地では混沌は最も簡単に倒れた。多くの古の種族が西方の地には住んでいて、ルアーサの民とその他の超人(superhuman)の種族の軍隊が妖魔たちを悪い夢に過ぎない程度の脅威にした。他の大陸に比べて西方の地での被害は小さく、犠牲は少数であった。

「天空の恐怖」タイラム(Tyram)は天界の不死の地に侵攻した。戦いの初期、戦局は安定しなかったが、「極星」の敗北の後、混沌軍が優位となった。しばらくの期間、タイラムは進撃し、純粋なるダーゼイター神すら退くように強いた。「清浄の野」を焼き払い、「天空の大河」に毒を流した。最後には雷と稲妻で武装したオーランスが立ち向かい、この怪物をばらばらにした。「光の公子たち」は天界から不浄の部分を投げ落としたが、一部のかけらはあらゆる者が見ることができる「悪しき者Bad One」として知られる星座として残った。

混沌は地界にも入り込んだが、みじめな死者たちすら放っておくことで満足していなかった。トロウル族は死せる「太陽」の光を逃れて行き、ごく少数のみが残っていたが、絶え間なく流入する混沌の犠牲者たちによって勢力を強めていた。タイラムの姉妹であるヴァカルータ(Vakalta)がここでの戦いを率いており、死んでいるイェルム神の光が、弱く影が落ちているにしても、「死者の広間」を侵されずに保っていた。そうであっても、ヴァカルータは長期の戦いで決して完全に追い払われることはなかった。ヴァカルータは今日も地獄のひとつを支配しており、地界の一部はいまだに強大な神々に守られている死者たちにすら危険なのである。

そして大いなる戦いは終わったが、いまだに戦いを乗り越えてはいない。いかなる時もグバージは混沌の神々を率いてエイコース(Acos)に再び侵入するかもしれない。すべての者は「最終決戦」で自らの役目を果たさなければならず、自分だけの憎しみは置いておいて、全世界の存在のために戦わなければならない。この戦いこそがアーカットが「曙の時代」にグバージを殺したときに行なったことであり、すべての者が自らの心のうちでなさねばならないことなのである。

Excerpt from Avalonhill "Lords of Terror" (1994)