ヒョルト王5:ヒョルトとオーランス

下記はBook of Heortling Mythologyの一部の抄訳です。ヒョルトがいかに再びオーランスの信仰を取り戻したか説明しています。訳の間違いの責任はzebにあります。

ヒョルトとオーランス

「ひとつ心の戦」の後のケロフィネラは戦いの前よりすべてが良くなった。しかしそれでも暗く、寒く、全ての者のいかなる時にも、過酷だった。怪物どもや恐ろしい獣は今日と同じように、至るところにいたが、さらに悪かった。

ヒョルトの館に「灰色ひげの」リカルドゥアという賢いことで有名な男がいた。リカルドゥアがヒョルトに言うには。

「貴方の先祖に埋葬されずにいる方がいます。そしてその方の魂はふさわしい場所に向かうための儀式を必要としているのです。」

ヒョルトはすぐにその場所に向かった。

彼らは「去り行くオーランスの丘(訳注1)」と呼ばれる場所に来た。そしてその場所には多くの苦痛から来る叫び声があった。嵐の亡霊が荒れ狂っていたからである。最初のうち、ヒョルトは裏切りを恐れた。または亡霊が自分の一族を貪っているのではないかと恐れた。リカルドゥアからヒョルトは自分の父親の父親である、「パーントールの息子」もしくは「霊の嵐」と呼ばれるダーントールの悲惨な話を学んだ。

「息の石」を用いてヒョルトはダーントールに尋ねた。「なにが貴方を解放するのか。」

オーランス様に生贄を捧げてくれ、そうすれば私は去る。」

「私はいかなる神も求めない。」ヒョルトは言った。「それは明白なことだ。」

実際、私はヒョルトが「コーラートの民」(訳注2)の印を身に帯びていたと聞いている。

「私の息子の息子よ。お前は民の中の長だ。お前は民の助けを受けてより良い長になるのではないか。」

「それはその通りだ。それはわたしの法のひとつだ。」

「そしてお前は多くの知性を持つ種族の代弁者だ。そうであることはお前をより良い者にするのではないか。」

「その通りだ。わたしは幾度となくそう言っている。」

「お前は選択できる。誰もお前を使役できない。(訳注3)しかしお前はオーランスを信仰することで、自然そのものを味方にすることができる。そしてお前と自然双方がそうすることで利益を受けるであろう。そしてさらに、私は解放される。」

ヒョルトは再び聖なる石と力を帯びるのみで丘に向かった。しばらく考えた後、ヒョルトは戻ってきて、試してみることに合意した。

リカルドゥアは神官で、その儀式を知っていた。そしてヒョルトのほかの仲間たちも皆学ぶことに積極的だった。リカルドゥアは全ての者にオーランスがいる場所を見つける方法、そして簡単な言葉で神に話しかける方法と、神の生き方に自分の生き方を似せる方法を教えた。そしてリカルドゥアは供犠の方法を教えた。我々が歌う歌の中でオーランスの御名を息とともに口にするように:

「息、動き、風、そして稲妻よ。我こそは稲妻のなかに人が見る神。そして我こそはこれら全てである。」

彼らが歌うと、ダーントール、またの名を「霊の嵐」はつむじ風を弱めていき、ささやきとなって、ゆっくりと去っていった。輝く光が射してきて、ヒョルトは肩越しに見上げた。エルマル、ヒョルトの全生涯とその前から、暗闇の中の小さな点であったものがその時、ケロ・フィンの上に座る神から明るく輝いた。そうだ、その時我らには再び光があり、我々が神々とともに働くことを学んだ時に、ケロフィネラ全土を照らした。

ヒョルトと彼の民は家に戻った。進むにつれて天候は暖かくなり、多くの場所で雪は消えていった。そしてしばらく経った後、風は暖かいそよ風を花の香りを伴って戻ってきた。オーランスの名の下に息をする全ての者は笑いと喜びに満たされたし、オーランスが妻を愛するため、アーナールダも内側から暖められた。そして全てが良いものとなった。非常に良くなった。彼らは悟った。オーランスが語ったとおりであり、アーナールダが目覚めたのであると。

そして後にオーランス自身が帰還した。エルマルを山の頂上から解放し、時が始まったのである。そしてその時以来、太陽はオーランスの命に従って、昇って沈み、オーランスは我らとともにいて働いたのである。

訳注1:Hill of Orlanth Desertus。
訳注2:祈祷師ということか。
訳注3:No one can make you do anything