鉄の戦争2

ヘンドレイキ族の王、アンドロルフィン王
「古の伝統主義者」の王、アンドロルフィンは精神的に「新たなる同盟」の計画に賛同していたが、政治的には直接関わることはできなかった。

アンドロルフィンは最初のうちジストル教団と戦おうとする「輪」の懇願の全てを退けていた。偉大なる英雄レンヴァルドを「同盟」に参加しないようにするよう説得することは失敗したし、その後、この理由でアンドロルフィンとレンヴァルドは口論した。

しかしアンドロルフィンはしばしば「同盟の輪」のメンバーをもてなし、ふさわしい贈り物を贈った。後に王はセンハルマースがヘンドレイキ族の志願兵を率いて行くように導いた。しかしダランヴァンランスは、王が軍を率いていく時のみ勝利があると言った。

そしてアンドロルフィンは全ヘンドレイキ部族からなる―「アンドロルフィンの軍旅」を最終的に召集した。アンドロルフィン王の軍は「鋼の陥落」で最終的な勝利を導いたのであった。(そして彼の配下の農夫たちも故郷に帰った)

アンドロルフィン王は抜け目のない指導者であり―戦に巧みであり、敵を理解していた。あるEWFの使節は王を以下のように描写している。

「王の性格は、彼の権力をうらやむ者ですら王を誉めそやすのに言葉を惜しまないものである。

王は中背であるが、そのために卑小なる者の中で偉大なる者とも、偉大なる者の中で卑小な者であるようにも見えない…曲がった脚、馬に乗る者のむこうずね、幅の広い胴と、拳闘士の腕を持ち、全てが王が強く、敏捷で勇敢であることを示している…馬に乗っているときや、食事をしている時以外、決して座らない…必要ならば一日のうちに四日か五日かかる強行軍をこなし、敵の陰謀を台無しにするし、しばしば突然の唐突な訪問で陰謀をあざわらう。

評議会の席にいない時、常に王の手にあるのは剣と槍、弓矢である。王の髪とひげは赤みを帯び、額の上で少々カールしている…目は鋭く、怒る時には血のように赤く燃え上がる。嵐のような容貌と粗野でつぶれた声を持つ。王の歯は平たく、雪のように白い。」

同盟の軍
「偉大なる」レンヴァルド、「メルデックの禍」
レンヴァルドは「鉄の戦争」におけるもっとも偉大なオーランス人の英雄であり、王と自らの民の懇願にもかかわらず、「新たなる同盟の軍」に加わった最初のオーランス人の英雄となったとき、すでに自分の民のなかでは偉大な英雄であった。誇り高きレンヴァルドは魔道士の邪悪な呪文を防ぐ「青き天空の盾」を持ち、彼の持つ「緑の水の槍」は魔道士たちの地獄の防御を貫く力を持っていた。

豪胆なるレンヴァルドは「同盟」の軍を滅ぼすと脅した魔道士の一団を殺した。怒りに満ちたレンヴァルドはジストルに対して天空高く跳び上がり、「雷鳴轟く者」を召喚した。「鋼の陥落」で「刀鳴の都」深くに進撃し、落城を確実にした後、裏切りにあったレンヴァルドはモスタリ族の卑怯な手に落ちた。レンヴァルドの遺体はアラティアの渡しの近くで火葬にされた。

「鋭敏なる」センハルマース
狡猾で機略に富むセンハルマースはラーンステイ教団であり、鋭敏さと知性で高名であった。センハルマースはジストル教団に捕らえられ、彼らの「過ちの神々」の前で、EWFと戦う手助けをするように誓いを立てさせられた。彼は魔道士を滅ぼす彼の剣、「精髄を貫くもの」を鍛えるようにジストル教徒を説得した。

彼の最初のドラゴンに対する任務の後、センハルマースはホワイトウォールに滞在した。ホワイトウォールでセンハルマースはジストル教団に誓った誓いの全てを捨て、「同盟の軍」に対する奉仕を申し出た。彼は神知者に対する誓いを破ってもなんら報復を受けなかった。神知者の復讐は失敗したのである。したがって神知者の流儀は誤っていることが証明され、センハルマースはその後、神知者の誓いから逃れてきた者の多くを守った。

センハルマースは忠実で誠実な支持者を引き付けた。彼は「刀鳴の都」を攻撃する指揮官のひとりとなった。センハルマースは「秘密の襲撃」を指揮し、ジストレラの深部まで入り込んで素晴らしい宝とともに現れた。センハルマースはまた、ドワーフ族が到来した時に大いなる富とともに撤退した。ドワーフ族は全ての機械と魔力を持つ品物を置いていけと命じたが、センハルマースは品物を融かして金銀のような原料に戻して去っていった。

センハルマースは「鉄の戦争」を生き延びて、マルジール川河畔の故郷に戻り、「冷たい火の岩」で支持者たちに火葬された。

「放浪者」ダランヴァンランス
非常に重要なオーランスの司祭にして魔術師。ダランヴァンランスはラーンステイ教団であり、遠方を広範囲まで旅し、ジストル教団に対抗する神と民を援助するための魔術の秘密を学んだ。

ダランヴァンランスはEWFに「二年の冬」をもたらした儀式と祭典に参加し、「神聖なる名」の競技でワームの民の呪文使いたちを倒したことでオーランスの力を証明した。

これら全ての偉業にもかかわらず、ダランヴァンランスはジストル教団と戦うEWFや監視帥を援助するようにアンドロルフィン王を説得したのである。ダランヴァンランスは多くの物語で謎と矛盾に満ちた人物であり、同盟を結んでは破る、悪党にして英雄であり―自分の荒れ狂う神と同じく常に変容する者であった。

「貪欲なる歯の」ベセルバルン
ヒョルト人の英雄。ベセルバルンは熱血で野心に満ちている。ベセルバルンは驚異的な腕力と向こう見ずな勇気で名高かった。非常に高い背丈と巨人のような身体を持ち、アンドロルフィン王の槍持つ近侍たちの中核だった。

センハルマースのように鋭敏でも、レンヴァルドのように強くもなかったが、ベセルバルンは一騎打ちで負かされたことも、ジストル教団の守備兵たちに深手を受けることもなかった。ジストル教団が反撃を始めた時、ベセルバルンは退かされたが、彼の仲間たちは幾度もの不意打ちを生き延びた。

ベセルバルンはドワーフ族が侵攻者たちを追い払う前に「刀鳴の都」を略奪することに成功した。彼の仲間たちは略奪品を後にドワーフ族に売りつけて、その後は裕福に暮らしていった。

「誇り高き」アラ
アラはエスロリアの女王の娘である、赤い髪の戦士であった。アラは神知者に対して復讐を求めるケタエラじゅう(とそれ以外の地域)の女戦士の集団を統率した。これらの女戦士たちはヴィンガ女神に祈願し、死に物狂いの勇気で戦い、捕虜を取ることはめったになかった。アラはしばしば他の「同盟」の指導者たちと争い、駆り立てることを行い、彼女の行為は「第三のアラティア渡し越え」の合戦を導いた。

「切り刻む者」ヴァランコル
EWFの偉大な生きた英雄であるヴァランコルは高名なアラムの民(訳注:第三期にはタスクライダーと呼ばれる)の将軍である―アラムの民は「牙の森」の野蛮な戦士の民であり、「ドラゴンの輪」に獰猛な猪に乗る傭兵として仕えている―そしてヴァランコルは自分の民に生きた英雄として崇められているのである。

ヴァランコルはガウジャーと呼ばれるアラムの民の暗黒の妖魔の守護者に騎乗しているが、ガウジャーは恐るべき黒い牙を持った悪魔のような豚の姿を取っている。ヴァランコルは一ダースもの敵を「切り裂き魔」と「皮剥ぎ魔」という名の斧で殺し、「恐れを与えるもの」と呼ばれる兜は敵の攻撃を無傷で跳ね返す。彼のよろいは黄金の鱗を連ねている。

ヴァランコルは猪のような牙を持っており、殺した敵の血を飲み、残虐に選んだ捕虜を切り刻み拷問することで知られる―彼の敵はヴァランコルの捕虜になるよりは、「切り裂き魔」と「皮剥ぎ魔」で殺されることを望むのである。

ヴァランコルは「ドラゴンの輪」の多くの敵と戦い、憎んでいるが、特に神知者に対して野蛮な憎悪を持っている。彼はヘンドレイキの民の王に対して奇妙な敬意を持っている。ヴァランコルは911年に監視帥に任命され、「輝かしき夏の攻撃」の間「新たなる同盟の軍」を率いた。

「勘定台」アラパン
モスタリ族の「宝物管理人」であるアラパンは「同盟の軍」に長いこといた唯一のドワーフである。アラパンはモスタリ族の宝物を「貸す」ことと「同盟の軍」の援助を助けることに責任を持っていた。「同盟の軍」が資金を求めた時、アラパンが提供した―たいていの場合代償をもって。

「鋼の陥落」でアラパンは自分の勘定の机から離れて「援軍を呼び出すため」前線に向かった。攻め手はジストル教団を倒して、「刀鳴の都」深部を略奪しようとした。すると、一万人もの鉄ドワーフが到着し、戦場を乗っ取ったのである。

「素早き根の」カラダ
ペローリアのリストの森から来たアルドリアミ族であるカラダと、仲間のアルドリアミは忠実にそれぞれの監視帥の指揮に従い、「刀鳴の都」の神知者と戦うため、憎むべきモスタリ族やウズ族と協力を続けていた。

「サロールの」オラシン
「炎の大地」のカリスマ的な司祭にして力強い演説者であり、冒涜的な「機械の神」の生み出す神々というヴィジョンに導かれていた―帰還が約束されていた、人の創造したワクボスである。

「東方人」ヤジロン
ヤジロングはクラロレラ人の英雄であり、彼の夢に出た敵と戦うために小さな軍勢を率いていた。彼らは奇妙な武器と衣装を持ち、奇妙な魔術を使ったが、よく働いた。ドワーフ族が全軍を留めた時、ヤジロングと彼の民のなんにんかは略奪品とともに単に消え去ったのであった。

Excerpt from Greg Stafford's History of Heortling Peoples