ジストル教団1

以下はMiddle Sea Empire 46ページから47ページの記事の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。

ジストル教運動
ジストル教運動は物質界から生み出された、神知者の創造を行おうとする動きの現れのひとつであった。神知者たちは世界の物質的な顕現に非常に魅惑されていて、それらの中の小さなかけらに不可解なる神秘と同じくらいに存在の秘密を秘めていると考えたのである。

教団の者たちは理解と組織化、探求の手法として体系化(systematism)を用いた。からくりの働きを洞察した後で分析と探求の上で物質界にあてはめたのである。教団の者たちは何かを体系づけることから始め、体系を実現化した。たとえば呪文を観察するとき、まず呪文がどのように働くか見て、その構造の中にある核心の部分を取り出し、それがうまく動くか見るために実験したのである。しばしばうまく動いたので、教団はそこから「小さな法則」を獲得することになった。

彼らはそれからこの種の小さな法則を結合し、奥にある構造を解析し、さらに原理となる法則を導き出したのである。こうすることで教団はますます宇宙の根元的な構造に近づいていった。

方式を作り出すために教団がドワーフ族の秘密を盗んだというのは嘘である。そのようなことをほのめかす者全てを教団の者たちはあざ笑い、

「我々は失敗した計画に従うほど愚かではない」

教団の者たちは言った。

ドワーフたちは数千年努力してきたがなにも起こっていない。」

体系化はロクシルの都で頂点に達した。教団のもっとも偉大な魔道師たちや技師たちが世界でもっとも偉大な機械を創造するために結集したのである。彼らは数トンもの金属や鉱物を輸入し、ユニコーンの血やクラロレラの流砂、クマンク産の気泡ゴムなど風変わりな材料も持ち込んだ。歯車とパイプ、滑車や台の集積の設計図である「特別なる装置の教団」の計画を導入したのである。

機械の秘密は「結合主義の教団」(訳注1)にあった。この教団には「結合主義」を信奉し、実践する魔道僧たちがいた。「結合主義」とはものごとが見えないかたちでつながりあっていることの霊的な事実を指した。教団はこの考えを独立させることに成功し、極端なところまで推し進めた。

最初のうち、教団の者たちは魔力の源と目標の間にある門に過ぎず、たいていの場合、強力な魔道士である「焦点の魔道士」が魔力をある種の魔術の手法で指向を与えた。後に結合主義者たちは相互にリンクを張り、さらに「焦点の魔道士」とつながりを作って、最終的に魔術の源同士を結びつける方法を学んだ。彼らはこの事業のために自らを浄化し、さらに効率的な器となった。

その他の半ダースの数の教団が特定の魔力の源からエネルギーの流用を促進させるべく指導された。もっとも人気があり、したがってしたがって人手がある教団のいくつかは特定の元素から力を引き出した。したがって暗黒のエレメントは「暗黒を包み込む者の教団」、すなわち「我らの暗黒と妖魔の守護者の教団」の力の源となり、この教団の創始者は物理的な暗闇から力を得た−光の欠如から力を得たのである。次には元素の存在とともに働いたり、元素を通して活動した。しまいには地界の存在の地底深くの巣にひそかに現実的なリンクを作ったのである。類似の教団が他の四つのエレメントを利用した。

結合主義者と元素主義者の双方とも広い意味で神知者の「ルーンの自己認識(Runic Identification)」の哲学を信奉していたことは留意すべきである。この哲学は個人がおのおの特定のルーンに自らを統合するように促した。ある者は「慰め」が完璧な調和により一度の生で到達できるものであると唱えたのだが、他の者は多くの生を通して、完璧に達する前に全ての核となるルーン(コアルーン)を体現しなければならないと唱えた。

ロクシルの島は「ルーンの自己認識哲学」の牙城であった。740年に土着のインガリーン人がザブール派の隣人のなかで「不変の書」を受け入れて、ジルステラの伝道団をコスターン島(Kostern Island)に招いたのであった。修道僧たちは核のルーンの教団の者であり、伝道団はロクシルの島に修道院を建てる土地を与えられた。ロクシルの島は後に単にジストレラとしてのみ知られるようになった。この島はコスターン島南端の小さな入り江の中にあり、左腕諸島の最南端であった。

814年、この修道会は「浄化の教団」(訳注2)に参加、もしくは転向を行った。
[つづく]

訳注1:Connectivist Order。「調和のルーン」を信奉する「ルーンの自己認識哲学」の一派
訳注2:Order of Purification、すなわち「浄化のルーン(=失われたルーン)」を信奉する一派。第五の御業を反転させることで論理王国を再現できると考えた。ジストル教団はそのうちのひとつ。後代の者はこのルーンは初めから存在せず、そもそも悪魔、もしくは混沌であったと考えている。