ピューレンディ1
ピューレンディ(Purendi)はオロジェリアとケンストラータの子供である神ですが、ペローリアに棲息する白い尾を持つ鹿の種類でもあります。(訳注1)以下の神話はEntekosiad 75ページから76ページの二人の息子についての神話です。訳の間違いの責任はzebにあります。
ある日、ケンストラータが狩りをしていたとき、追いかけていた奇妙な獣を目に捉えました。大きく張り出した岩の上からその獣に槍を投げつけて、その獣を地面に縫いつけました。そうすることで、ケンストラータはこの獣の名前を学び、それからケンストラータはいつも、「幽霊の獣」であるフィル・ベーラFirBerraを呼び出すことができるようになりました。
フィル・ベーラはガン・エストーロ(訳注2)のお気に入りの獣でした。ガン・エストーロは自分の獣がケンストラータに辱められたことを聞くと激怒して、
「可能ならばケンストラータを痛めつけてやろう」
と誓いました。そしてガン・エストーロは「死の投げ矢」をケンストラータに対して投げつけましたが、狩人は戦の「長柄」で投げ矢を払いのけました。
その後、ガン・エストーロはケンストラータの若い息子であるピューレンディに出会いました。そして復讐の機会が来たと考えました。ガン・エストーロはピューレンディに呪いをかけて、姿が絶え間なく移り変わり、父親も母親も分からないようにしてしまいました。
ピューレンディがあまりにも長いこと家に戻らなかったので、ケンストラータは息子を探しに出ました。しかし失敗しました。ケンストラータは当然ながら悲しみ、失踪した息子を心配しました。自分の無力さはひどい嘆きの源でした。
オロジェリアも心配のあまり絶望しました。女神はガン・エストーロのところを訪れて、息子を取引で取り戻そうとしました。ガン・エストーロは言いました。
「すべてのものをよこせば息子を返してやろう。」
オロジェリアは言いました。
「私は全てのものを持っているわけではありません。」
そう言うと、ガン・エストーロは要求を変えました。
「ならば持っているものの全てを俺によこせば、求めている息子だけをお前に返してやろう。」
初めのうち、ガン・エストーロはちょっとずつしか要求しませんでした。ガン・エストーロはオロジェリアの着るものと道具を奪い、家と財産を奪いました。そして宿り場と土地を奪い、ついには火と毛布すら奪ったのです。ガン・エストーロは大地と天空を奪い、太陽と夜を奪い、水と火を奪いました。その後まだ残っているのはオロジェリアやケンストラータと同格の、ダールセンの自由なるもの達だけでした。
オロジェリアは全てを失った後ですら、姿を消した息子を見つけることができませんでした。ガン・エストーロもどこにも見つかりませんでした。「正義」のもとにガン・エストーロの誓言に対する「真実」が呼び出されたときには、何も起こらなかったので、ガン・エストーロは正当であるということが証明されてしまいました。
実のところ、オロジェリアは時どき彼女の愛しい息子を見ていたのですが、わからなかったのです。そのため、取引を終わりまで守ったのに、オロジェリアは騙されていました。
ガン・エストーロは全てを所有していたのに、分かち合おうとしなかったので、誰もが飢えで死んでいきました。またピューレンディがいなくなったことから、誰もが悲しみのあまり死んでいったのです。
[つづく]
Excerpt from Greg Stafford's Entekosiad