暗黒と再生:テュロス神が世界を覚醒させる

「灯明持つ」テュロスは自分の父である神、(我々は「力の神」と呼ぶ)テュロスをも目覚めさせた。生命力の神は、「父なる」テュロスの祭壇に住んでいて、バロヴィウスの都で目覚めた。そうしてテュロスは自分の息子たちをも目覚めさせた。

テュロスは最初「三番目の山岳の息子」ゲスティヌス(注1)を解き放つことで、自分の存在を全ての者に知らしめた。ゲスティヌスとその兄弟たちの対抗意識は決して鎮まることはなかった。そのため、ゲスティヌスが成長すると、彼の族長も大きくなった。ヨルプ山脈の「三度生まれた」アルケトス(注2)は声を張り上げて、大気に煙の柱を噴火し、地に岩を撒き、山脈中でアルケトスの山が最高峰であることを維持するため大きさを増した。

その後テュロスは第四の地獄と第五の地獄の門を開き、古代の自分の仲間たちを解放した。この方法で神々と女神たちは自由になった。暗い世界の中からナーサ女神、ナヴェーリア女神、オリア女神、バイソス神、ポラリストールなどの神が現れた。彼らはダールセン地方のミンガリットの洞窟(注3)から地上に現れた。彼らはその後、「最初の緑の道」を旅し、世界の中心まで達した。「神々の柱」(注4)で神々は踊り、「再誕の儀式」を行った。聖歌を歌い、その地にいる多くの「眠れる者」たちに再び生命をもたらした。そして神々はしもべたちを世界の残りの場所に派遣し、不可欠な「生命の食物」と「生命の水」を運ばせた。大地は雪解けした。植物は生い茂った。

[つづく]

注1:Gestinus、ウェンダリア聖五山の南岳。ヨルプ山脈の北の峰
注2:Arketos、ヨルプ山脈南西の最高峰
注3:17世紀でも巡礼地として残っている洞窟
注4:Pillar of God。場所は不明。もしダラ・ハッパ神話との習合が進んでいたのならライバンス

Excerpt from Greg Stafford's Entekosiad