異界探索の進展

以下はMiddle Sea Empireの42ページから44ページの神知者の異界への探索の進展と失墜についての記録の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。神知者の知識と近視眼をよく語っている記事です。

異界探索の進展
776年以降 最初期:直接の[神界への]侵攻と全滅
「五つの新たなる道」は異界を探索する最初の先導者(パイロット)たちに用いられた案内書だった。彼らは最初、ラリオスの先史時代に起きた出来事の実際の場所に行ったのである。正確に本に説明されているとおりの儀式を行い、愚かにも英雄界において進行しているできごとに侵入している自分達に気づいたのである。(後に、このできごとは「どのようにアーカットがトロウルになったか」の物語の冒頭の場面であったと究明された。)儀式の上でのプロトコル典礼文)や、合い言葉に全く無知だったので、先導者のパーティーは速やかに一番外周部の異界の番人によって追い出されてしまった。

彼らは何度も試みて、ついには過酷な経験のもとに、この書物が以前の敵の神話に侵入することを可能にするのだということに気づいた。武器と魔術で重武装して戦力を整えた。山へと飛行し、オーランスの大広間へと螺旋を描いて降下した。その場で剣士や半神の大群に迎えられ、速やかに虐殺されたのである。

この挫折にもかかわらず、教団の総長Global Captainは特有の神話上の道程に個人的な関心を寄せた。セシュネラ王の後援のもとに、彼はさらに五回の遠征に着手した。最後の遠征では配下の先導者たちは、破壊されたり、世界から追い払われたりする前に、オーランスの広間の直前の広場に到達することができたのである。

法則としては、先導者たちがこれらの場所に行くといかなるときも侵入者や、スパイや、よその世界のものと認識され、速やかに(かつ大抵の場合圧倒的に)破壊されるということであった。計画の後援者たちは意気阻喪した。

最後には大規模な試みでこれらの領域に強制的な侵入がなされた。神知者たちは後で魔術的に使用できる辺境の樹木や岩からの祝福を獲得したのである。これらの小規模な成功により、人命や資源の莫大な喪失にもかかわらず、さらなる活動が促されることになった。

780年 力ある場所の発見
新たなグループが「異界」への入り口であると見なす、「門」を捜索し始めた。いくつか発見された。似たような探検が引き続き行われた。[境界が]弱い場所であると見なされた多くの場所が見つけられた。しかしすでに異教徒によって主張されている場所であった。先導者たちはこれらを分類するだけで、その場を離れていった。

800年ごろ 僻地の[異教の]聖地への侵犯
「取引屋」ダヴァカは僻地の、あまり防備されていない聖地への最初の襲撃をおこなった者であった。一兵力がその地域を占領し、現地人を強制して、自分たちの聖地を冒涜する儀式に参加させた。先導者たちは無理やりこれらの門を通り抜けて自分たちを守りつつ進んだ。時にはこれらの門は使用の後に速やかに崩壊したが、いくつかは残り、通過するのが容易になったように見えた。

多くの異教の聖地の占拠は現地人たちからの敵意を買い、ときには付近の氏族や集団から報復を受けた。

800年 抜け穴の発見:忘れられた場所
ノロスのアランは異教の教典を用いて、近くにある、異界との境界が弱い力の場所を計算して割り出した。彼は正しかった。攻撃されずに探検し、再び入り、門を通じて[魔力の]資源についての知識を持ち帰った。三度目の遠征では仲間たちは祝福を持ち帰り、自分たちで作った魔道書の一部として書き下ろした。

しばらくの間、異界の探索者たちはさらに忘れられたり、未知の場所を探すのに集中した。いくらか成功が見られた。

806年ごろ 精霊界の探索
精霊使いは魔術を得るために自分たちの特定の異界に行くし、(特に祈祷師を含む」精霊使いは特別な精霊を手に入れるために「神々の戦い」に赴くことも可能だった。(しかし危険さゆえに、この行為は昔も今も比較的まれな試みである。)

813年、「七本筆の」ヴァラストスが精霊界の環境について警告を発している[グローランサブック英語版23ページ]ゆえに、今より前におかしくなっていたことは間違いない−実のところ、「八つの新たなる現れ」があったのである[グローランサブック英語版25ページ]。

810年ごろ 自分たち[マルキオン教]の異界の探索
「書物の者」ヴェンレストールはマルキオン教徒の聖地に対しての最初の先導者の探索を行った。「ペンの渡し」の古戦場では彼らは自分たちの祖先に祈願したが、一方で「五つの[新たなる]道」の書からの呪文を用いて時間をヴェールで覆った。彼らは(不正確に)「一時的交点Temporal Node」と呼んでいた場所で、ジャーンラッタの軍との戦いを目撃するか、参戦することになった。「書物の者」ヴェンレストールは配下の先導者たちを戦場の外へと行動を拡大させた。そして発見した地域について分類を行ったのである。後に理解されたのは、彼が「神々の戦い」と呼ばれる英雄界に到達していたということであった。

新たなる道
「書物の者」の修道院長。
「書物の者」の学派は[複数の]「一時的交点Temporal Node」を表にまとめ、それらのつながりについて探検を始めた。これらは作られた「新たなる道」となった。最初のうち既知の西方の伝説や神話の時代における、マルキオン教徒の出来事が表にされた。その後、分派はその他の早期もしくは後期の出来事や付近の場所に到達した。これらは有名な英雄界の地図の基礎となった。

「新たなる道」は「神々の戦い」における大きな戦いへと導いた。体系的な遠征と、これらの出来事に対する選択的な襲撃が、定期的に行われる儀式と行事となっていった。突如として「秘密の視力Secret Vision」にある人々が目覚め、これらの人々は神々の戦いと、自分たちの伝説との理論上のつながりを認識した。

さらに、少数のグループが異界への侵入を始めた。自分の道を征服して切り開こうとはせずに、手段を選ばずに入り込もうとしただけであった。トリックスターから魔術を盗むのはひとつのグループで人気があった。しかし他のグループは速さに頼り、三番目のグループは戦闘からは逃げていた。そしてもっとも成功したのは中立的な「傍観者」たちだった。この最後のグループは多くの異教の異界の出来事で実質的に気づかれず、登場人物や会話を記憶し、成功の確率を計算していた。

845年 強大な[異教の]異界への侵攻
「障壁の破壊者」インカリオン修道院長。
方法論が確立し、準備が整った後、「障壁の破壊者たち」は異教の強力な聖地への侵略をはじめた。彼らは主要な敵対勢力に攻撃をはじめ、公然とオーランスのステッドのような異界の拠点への攻撃をおこなった。これらの遠征は事物の獲得のために行われた。ヒーロークエストに入った先導者たちが異界を抜けると、それらの[攻撃を受けた]異界はすぐに永遠の状態へと戻ってしまったので、永久的な損害はなかった。

849年 女神のすげ替えの実施/850年 革新
2世紀もの確立したヒーロークエストの後、教会は新たな手段を試してみることを始めた。(初期の実験は公認されていない個人的な調査に過ぎなかった。)

彼らの最大の望みのひとつは、神界から本当の品物を奪い取ることであった。通常の状態では、ひとつのヒーロークエストで手に入れられるのは複製(コピー)の品の提供であった。神知者は本当の品物を求めたのであった。

レイヤールスウォルのイスカンドスは特有の品の信じがたいまでの複製を作り出すことに成功した。そして彼に選抜されたパイロットの一団は神界の品物と複製を交換することに成功した。はじめは「ニスコスの燭台」で、2時間の後に自然に異界へと戻ってしまったし、同時に複製が元の場所に戻ってきた。更なる実験によって異界の品をさらに長く留めておくことができるようになった。彼らは恒久的な変化を作ることができるとは決して主張しなかった。しかし他の者は彼らには可能だと主張したのであった。概して、品物は盗み取られ、儀式や特定の目的のために使用され、使い終わったら元の異界に戻ることを許されていた。

彼らは「英雄界」において、事物に変更を加えることをも実験した。彼らはヒーロークエストで遭遇した人やものに対して影響を与える可能性がある方式を考案した。この方法論は安全ではなかったが、クエストの成功を促進させるために用いられた。

どちらの試みも恒久的な変化を引き起こすことはなかったが、両方の教派の多くのメンバーが自分の生きている間に、恒久的な[異界の事物への]所有を達成することに自信を持っていた。

960年ごろ 強制ヒーロークエストPower HeroQuesting
英雄界や異界との数多くの交渉の方法を持つようになり、神知者はついには慎重な軽蔑をもってこれらの異界を扱うようになった。教会がヒーロークエストを行うことを決めたときには、神知者たちは成功のために莫大な資源を集めたのである。彼らは巧妙な手段を軽蔑し、むき出しの力と資源間の精神的な結びつきに頼った。これらのヒーロークエストは強制ヒーロークエストと呼ばれた。

ほぼこれらの遠征の全てがいくらかの人命の損失と注目に値する祈りの力と、装備と時間の被害を受けた。しかし、これらの損失は教会や後援者たちには許容しうるものと見なされたのであった。

多くの伝統的で巧妙な手段も、この時代には使用が続けられていた。

英雄界に対する包括的な影響
一世紀ものあいだ英雄界の周囲を荒らしまわったことで、微妙に住民たちに変更を加え、所有物や宝物を盗んで、概して荒廃をもたらした後、英雄界は元々の性質とは異なる形を見せはじめた。元々の探検における報告と、最近の先導者たちの観察を比較して、学者たちは英雄界に恒久的な変化をもたらしたという結論に達した。これらは成功の兆候と見なされ、(非魔道的な異界を破壊し、それらを「真の世界」へと統合する)さだめられた最後の目的への進展を教会は祝ったのである。

1049年 逆転Reversal
実質全く警告もなしに、神界、精霊界、英雄界が1049年、元々の状態に突然戻った。少数の哲学者や賢人はこのような出来事は起きる可能性があることを予測していたが、証拠よりも理論に基づいた説であり、経験哲学に基づいた教会や帝国に無視されていた。

この出来事の影響により、全ての異界から拝借されていた宝物は引き戻され、たいていの場合傷ついたり、壊れている異界にあった複製品を後に残していった。挿げ替えされていた女神たちはそれぞれもとの領域に戻った。英雄界から盗み取られた魔術の能力は所有していた人々から突如として失われた。もはや力を失った古代の力を前提としたり、源としていた多くの事物が力を奪われたのである。

この出来事の引き金は1049年の、ルアーサによる「セシュネラの崩壊」であった。アダマントのくさびから出た波動は国々に波及し、破壊の反響を全ての異界に及ぼしたのである。