ダラ・ハッパ(ルナー)の軍神たち2:軍制

以下はImperial Lunar Book 1のImperial Armyの記述(12ページ)の抄訳です。翻訳の誤りの責任はzebにあります。

サイロール・ネギアル、軍隊についていわく:「征服は結構なことだ−兵隊どもを遠くに追いやってくれるから!」

強大なる帝国軍はグローランサの軍隊で最強である。最強なのは規模が理由ではなく、その哲学が理由である。赤の皇帝の軍隊にふさわしく、帝国軍は一切を許容する。帝国のあらゆる型とあらゆる文化の舞台から成立している。このことは弱点でなく、長所である。ヤーナファル・ターニルズの将校たちがこれらの異なる軍事力を協力させ、偉大な結果を生むことを保証する術を心得ているからである。

帝国軍はあらゆる種類の兵種をまとめている:しぶとい重装歩兵の進軍や、すばしこい斥候や軽装歩兵の獰猛さや、重装騎兵の強襲や、魔術部隊の侮りがたい力、しばしば軽視される兵站や工兵、そして軍事学である。

「帝国中央守備隊」(Imperial Bodyguard)は、帝国全土の精鋭部隊をひとつにまとめている。中央守備隊は軍事的なルナーのカルトの神官兵士や、イェルム信徒の屈服させるのが不可能なホプライト兵(重装歩兵)や、帝国の多文化を反映して増加しつつある、地方部隊(カルマニアのバシュカール獅子兜守備隊から、属領地の長斧ハウスカールたちにいたるまで)から成立している。

帝国中央守備隊全軍がひとまとめに戦場に赴くことはめったにない。その代わり、ターケンエギその人に随従する一部は親衛軍(Praesental Army)として知られる。グレートシスター自身も小規模だが献身的な「大姉軍(Sister's Army)」を従えている。

中部地方兵団」(Heartland Corps)は軍隊の歩兵部隊の中核を提供し、騎兵軍団や属領地軍によって支援されている。周辺地域の若年の「子弟」から徴募される。「駐屯軍」(Garrison Army)の部隊は故郷の治安を維持し、消火をおこない、犯罪者を磔刑に処し、侵略者を撃退しなければならない時に備えて訓練を行う。駐屯軍の多くはパートタイムの兵士で、予備役である。

「魔道学院College of Magic」は軍隊の規律に魔力を協調させる。増援軍は、個人にまとめられた部隊や、サトラップ配下の連隊、その他の貴族階級や、寺院の部隊、特殊な任務にある傭兵や、「狩猟兵団」の斥候、アニレストゥ兵団(Anirestyu Corps)の技師や兵站の専門家がいる。

「帝国海軍Imperial Navy」は帝国全土の海上活動を取り仕切り、「中空海軍Middle Air Navy」は軍務についているムーンボート艦隊を支配している。軍制がこれほど狼狽するほどの多様性にあって、混乱が起きそうなものではあるが、全ての軍隊は究極的にはベレックス・マクシムスBellux Maximusという称号を備える「帝国大元帥Imperial Warlord」や、オルデンヴィルOrdenviru(帝国参謀たち)や、赤の皇帝自身の天才によって協調がなされることになる。ゆえに帝国軍はグローランサの歴史上最強の軍事力なのである。

兵士達は概して志願兵である。多くは各地方に生み出された部隊に加入し、部隊の一般的な任務に就くことになる。たとえばダラ・ハッパの連隊では軍務は十年間であり、ダージーンの連隊では九年間である。軍務期間の終わりには、契約を更新することもできるし、年金を少々とヴェッロ(verro)と呼ばれるわずかな土地とともに除隊することもできる。ヴェッロの大きさは兵役の期間と、軍隊で獲得した地位に釣り合ったものになる。

部隊は強情なダラ・ハッパ重装歩兵のファランクス部隊から、エリギアのシャー・ウン族の野蛮な騎兵隊など、伝統的な戦争の方式にこだわることがある。しかし、伝統の中でもルナーとして産み出された部隊もますます増えてきている。ルナーの部隊で軍務に就きたいと望む兵士は、各地域のヤーナファル・ターニルズの寺院や兵舎にある「英雄たちの門」に集まる。このような兵士たちは帝国各地の、どのようなルナーの部隊にも契約できる。ルナー部隊の兵役期間は七年間である。(いわゆる「半月の年Full Half Year」に始まり、「満月の年Full Year」で終わることになる。)退役のとき、ルナー市民権を申請する権利も与えられる。