神々のふたつめのあやまち:戦争の発明

神々のふたつめのあやまち:戦争の発明

ある日のこと、ナイフで遊んでいる男たちがいました。彼らはなにか女たちを助けることをしたいと思っていましたが、作物の取り入れにナイフを使うことはできませんでした(訳注1)。この時代、大きいときには部屋とか塔くらいの大きさのつぼを作って食べ物を貯えていました。誰もに十分食べ物がありました。みんな食べ物を得るためにいつも力の限り働いていたからです。

「でもなんで俺たちはそんなに一生懸命働かなければならないんだ。」「大きなナイフ」は言いました。

「俺たちは一番古く、大きい一番の家族だ。ヘンダルーンの連中も俺たちとまったく同じ仕事をしている。実のところ連中は俺たちよりもずっと収穫がある。連中の男たちは平凡な男で、ナイフを置いて鎌を持っているからな。だから連中は俺たちよりもずっと食料がある!連中のネズミは俺たちのより太っている!」

「ならなんで俺たちは俺たちの得意なことをやらない。なんで収穫するかわりに連中のところに行って食料を奪わないんだ。」

そしてそれが彼らのしたことでした。男たちは「赤い男」の元に集まって、戦いの歌を歌いながら隊列を組んでヘンダルーンへ行進しました。「大きなナイフ」と彼の仲間はヘンダルーンから食料を徴発しました。もちろんヘンダルーンの人は抗議しました。

しかしベレンデンボスの男たちは球蹴りゲームでどちらが穀物を取るか決めることを提案しました。ヘンダルーンの男たちは何回かこの条件を受け入れました。しかし「大きなナイフ」は球蹴りが上手で、ヘンダルーンの男たちは負け続けました。しまいには彼らは怒りました。

したがっていつものように、楽しいスポーツが棒と石を用いた暴力的な争いになりました。しかし、「大きなナイフ」と仲間たちはずっと優れた戦士でした。そのためまた彼らが勝ちました。

両方の地の女衆がこのことを心配し、集まって女神たちに援助と助言を求めました。女神たちが言うには、

「結局のところ男たちは性質上当然のことをやるだけなのです。今一度すべてに対して良いものとなるべく指導することは可能でしょう。」

女神たちは提案しました。

「男たちは振る舞いの上で模範となる者を必要としています。行動の導きとなる者を必要としているのです。」

「男の神々のうち最善の神に力と特権を与えるのはどうでしょうか。彼は自分の力で統治することを許され、男たちが良い振る舞いをするように指導するでしょう。」

「第一の母」デル・オライオスはこの務めに最善の神として「輝く顔(訳注2)」を選びました。デル・オライオスは「輝く顔」に教えました。

「貴方が戦いと平和をもたらす目的のうえではどのようなことでも、「第一の母」とその一族の援助を受けることになるでしょう。」

「輝く顔」は男たちをコントロールする方法を決める上で、彼が独断で決められる事項と、ただし世界の「第一の母」自身が治める多くの分野では服従しなければならないという「第一の母」の条件に同意しました。デル・オライオスとその民は、「輝く顔」を王としたのです。

「輝く顔」は進み出て、全ての自分の友人を集めました。そしてベレンデンボスの男たちをヘンダルーンへと再び導きました。ヘンダルーンの民が抗議すると、「輝く顔」は配下の者に、

「女神の名の下に攻撃せよ。」

と命じました、そして全員が降伏するまで止めませんでした。そして全ての穀物を彼らのところから奪いました。そしてヘンダルーンの民をいっそう働かせるべく奴隷として残していきました。

デル・オライオスは衝撃を受けて、王に会おうと急ぎました。デル・オライオスは「輝く顔」にこのようなことは止めるべきだと言いました。しかし「輝く顔」は同意しませんでした。

「私は貴方の利益のために、貴方の言ったことをやっただけだ。貴方は飢えているか?貴方の子供たちは危険にさらされているか?天がまたよろめいているのか?私を信じるのだ。私はおのれを証し立ててみせよう。」

そして「輝く顔」の評判もあって、女神たちは彼が務めを続けるのをこの時は認めました。

「輝く顔」と配下の者たちは全土を踏破し、全ての者を征服しました。何度かの「輝く顔」の戦いの後、戦うことなしに彼に従う多くの民がいました。敵でいるよりは友人になった方が良いと考えたからです。この方法で全世界がまた平和になりました。王である「輝く顔」の支配の下に。

「第一の母」デル・オライオスは「輝く顔」のところに行きました。

「貴方の務めは終わりました。王をやめても良いときです。」

しかし「輝く顔」は四方を指差しました。デル・オライオスは四つの「怪物の軍勢」がいることを見て取りました。「輝く顔」にはおのずから「怪物の軍勢」を征服にむかう天性があり、ゆえにそうすることになりました。「輝く顔」は「世界の四つの隅」を制定し、デル・オライオスはまた「輝く顔」のところに行き、王位を退くよう頼みました。

「まだだ。」「輝く顔」は言いました。

「なぜなら貴方自身が自分のために、余に自分の性質の向かうところに行けと求めたのだ。余の天性の向かうものとは征服することであり、余は向かうところに行かねばならない。」

「しかし貴方は世界中の法に従う者、従わない者全てを征服したではありませんか。」「第一の母」は言いました。「あとなにが残っているのですか。」

「女どもだけだ。」「輝く顔」は言いました。

「あまりにも長いこと、自分達の地位をあまりにも高く持ちすぎてきた。」

「許容できません。」デル・オライオスは言いました。

「ゆえに今命じます。杖とドラムの評議会の名において、私は貴方に降伏するよう命じます。私はここに、ずっと前貴方が合意したとおり、私の世界における貴方の力を剥奪します。」

しかし「輝く顔」の王杖と王冠は砕けたり、燃えたり、熔けたりしませんでした。「輝く顔」はあざ笑いました。

ここで、デル・オライオスは自分の弟を召喚しました。「七の守護者」はやって来ると、王に対してこの不敬に対して一騎打ちを挑みました。すると王は自身男でありながら、しもべのチャンピオンを呼び出しました。二人は戦いましたが、「第一の母」、「女王」の弟たる「七の守護者」は殺され、彼の首は槍の穂先に串刺しになり、「輝く顔」の広間の前に飾られました。

次にデル・オライオスは「誓いを破った者への報復者」ナンシャとナンカシャを召喚し、この二柱の女神は復讐の女神らしく王に飛びかかりました。しかし王は自前の守護者を持っていて、彼らは二股に分かれた熊手でこれらの致命的な復讐者たちを追い払いました。デル・オライオスは衝撃のあまり、万人が見ている前で年老いていきました。彼女はこの出来事がなにを意味しているかわかっていました。そして王は声高に宣言しました。

「ここはもはや汝の世界ではない。」王は言いました。「そして余らは汝の意見はもはや気にかけない。」

「ならば私達は貴方に逆らいましょう。そしてあくまで戦いましょう、我々の世界が戻るまで。」

「そうはならないだろう。」「輝く顔」は言いました。「「七」(訳注3)が再び立ち上がるまでは。」

「ならば我々は死ぬまで貴方に抵抗するでしょう。」デル・オライオスは言いました。

「ならそうするが良い。」と「輝く顔」。そして配下の者達に合図を出しました。

「ナイフを取り、王に逆らう者は男、女を問わず皆殺しにせよ。」

この命令は実行されました。そして神殿は略奪され、破壊されました。我々はこの反逆を神々の「第二のあやまち」と呼びます。

そしてこの出来事以来、「男の」神々が世界を支配し、支配を暴力と戦争で行いました。私達はかれらが成長するまで待たなければなりませんでした。そして彼らの成長をうながすことは一部、我々の手には余りました。彼らは決して「大いなる母」に触れることはできないからです。我々の最後の避難所は、「大いなる母」の御許の平安を、自らの慰めとすることでした。

訳注1:How Men Got Usefulの神話を参照のこと。この神話では、男達が女衆を助けるために麦の収穫でナイフを使い、収穫の女神はナイフの傷で傷ついて泣きました。
訳注2:Brightface、ダラ・ハッパ神話のウルヴァイリヌス帝、もしくはイェルム自身を意味しているのかもしれません。
訳注3:この場合、Protecter Among SevenのSevenを意味している。また、赤の女神のSeveningを意味しているのかもしれない。

Excerpt From Greg Stafford's Entekosiad