デロヴァンの戦い

デロヴァンの戦い
ワームの友邦帝国と中部海洋帝国はいくつか境界を接しており、関係は友好的なものではありませんでした。

争いが総力戦となることはありませんでしたが、双方の代理を介しての冷戦は続いていました。直接激突した出来事も何度かありました。

もっとも有名なのが「刀鳴りの都」の攻防戦ですが、これは古の伝統主義者団とワームの友邦帝国が一時的に手を組んで、神知者の帝国の外辺の要塞都市を十年にわたり攻囲したものです。(注1)

また、以下に述べるデロヴァンの戦いは、竜の友たちの強大な力がさしもの神知者たちすら怯ませた出来事として有名です。History of the Heortling Peoplesに記述があります。

また、同書には、グレッグ・スタフォードの「炎の戦争Fire War」の断片があります。これは不可解な断片ですが、カラドラランドへの中部海洋帝国の進駐について示唆を与えています。

ただし、下記は神知者に接ぎ木された神話かもしれません(注2)。
・一なる老翁の国ケタエラの一部はカラドラランドと呼ばれる。火山を崇める原住民が住んでいる。
・火山の父、ロウドリル(注2)を従えてアーガン・アーガーは「黒曜石の都」を建てた。
・遠隔の地、ジルステラの山「水防ぎBreakwater(注3)」の神、オーレリオンはカラドラの双子である。
・神代に、カラドラとオーレリオンはスロントスの「客間の山Meetinghall Mountain」で出会い、お互いを認め合った。

真実はどうあれ、太陽暦840年、新しく任命されたスロントスの大公に支援されて神知者たちはカラドラランドに橋頭堡を築き、内陸へ侵攻します。

先陣は対ドラゴンのアーティファクトや攻城兵器で武装した「奇襲大隊」で、この部隊は816年のエスロリア侵攻のさいにも活躍しました。(注5)

841年エスロリアを蹂躙したスロントス軍は翌年、反撃を受けます。エスロリアの郊外、デロヴァンでトロウルの群れの前に「奇襲大隊」はほぼ全滅し、「永遠の竜の輪」のひとり、「偉大なる」ビューリン卿自身がドラゴンに変身しました。彼は神知者の魔術を呑み込んでしまい、戦死したEWFの軍隊を吐き出して蘇生させました。

この時は神知者の側の大敗で、スロントスの大公自身捕らえられ、彼は西方諸国に戻ることはありませんでした。(注6)大きな賠償と引き換えにスロントス大公国は、EWFの侵攻を免れることができたのです。

注1:この都市に関してはClanking Cityの名前でMRQサプリメントが出版されています。ただし、MRQのサプリメントの性質上、グレッグ・スタフォードの「権威ある」設定には則していません。
注2:これらは昔の同人誌、Tales of the Reaching Moon #7号「カラドラとオーレリオン」に記載されていた設定だったと思います。この設定は後のTradetalk誌や、Peter MetcalfeのGlorantha, Introduction to the Hero Warsに継承されました。
注3:Tradetalk誌では、Caladril。ヒョルト人はVestkartenと呼びます。
注4:この「水防ぎ」は神代にザブールの攻撃を防ごうとしたモスタリによって創造されたのかもしれません。
注5:この時、神知者たちの一団が神界の嵐の神の一柱を攻撃し、傷を与えました。その結果、「七年嵐Seven Year Harricane」が起こり、嵐は817年から825年まで、スロントス沿岸の海洋帝国に大きな被害を与えました。
注6:グレッグの記事によると、その後、シュルネスター大公はEWFでドラゴンのカルトの使徒になったそうです。