バイソスの神話4

恵みを与える神、バイソス
その夏、デディ・ゾラ・ルが到来しました(注1)。彼らは水の底に棲んでいる者たちであり、常に征服を率いる者たちでした。彼らはバイソスが民にこれらのことを教えるのを許せませんでした。そして持っている魔術でバイソスを滅ぼそうとしたのです。

しかしバイソスはそうなることを予測していました。そして自分の魔術を準備していました。逆巻く水がバイソスの砦の入江に押し寄せると、バイソスは黒い雄牛と黒い牝牛を風の女神に生贄に捧げました。そして力強い風が水を吹き飛ばし、敵を高く乾いたところに残していきました。敵が姿をあらわにすると、バイソスは吼えて、自分の軍に前進を命じました。ふたつの軍勢は激突し、魔術に守られていない青い民は無防備で、打ち砕かれました。青の民は全員逃亡し、自らの神とその家門の者たちを後に残していきました。

バイソスは一騎打ちを敵の首領に挑みました。そして挑戦は受け入れられました。なぜなら、イヴィン・ゾラ・ル(注2)は独力で速やかにできることを自分の家来たちが遅くやることは待っていられる者ではなかったのです。バイソスは地面を足で叩き、偉大なる角を振り、吼え声を上げて、突進しました。しかし敵は卑怯にもわきに寄り、振り向いて持っている槍をバイソスの肩深くに突き刺しました。そしてバイソスを地面に縫い付けてしまいました。鋭いナイフで敵はバイソスの喉を切り裂き、バイソスの赤い血が地面に降り注ぎました。そこで力強き殺し屋は嘲笑い、立ち上がって、血みどろのナイフを放り出し、バイソスの民の方を向きました。

バイソスの民はそこで待っていて、逃げ出そうとしませんでした。そして彼らは敵に対して恐怖も怒りも見せずに向かい合いました。

このことは怪物の神をとまどわせました。イヴィン・ゾラ・ルは彼らの覚悟した顔を見て、尋ねました。

「この静けさの秘密はなんなのだ。」イヴィン・ゾラ・ルは取り乱しました。彼はバイソスが死から再び蘇るところを見ていなかったのです。

ついに彼が後ろを向いて、雄牛が蘇っているところを見ると、イヴィン・ゾラ・ルは嘆きました。

「これで終わりだ。」イヴィン・ゾラ・ルは言いました。「星が砕けて落ちた。」イヴィン・ゾラ・ルはそれ以上戦おうとしませんでした。

「しかし我々の挑戦の仕組みからして、貴方が私を殺さなければならない。」青い肌の者は言いました。(注3)

バイソスは同意しました。そして素早い一撃で、バイソスは敵の血を地面に流しました。「生命の水」は奪われ、畑に与えられました。聖なる植物は「生命」で満たされ、地面から萌え出ました。このようにバイソスが民に行なった約束は満たされたのです。

しかしバイソスの役目はまだ終わっていませんでした。バイソスは、敵は価値のある者であったと言い、永遠の不明瞭のうちに沈んでいく以上のものに値すると言いました。

バイソスは生きていないイヴィン・ゾラ・ルのかけらを取り、これらのかけらはウペルヴィ・デディの神(注4)として祭られるであろうと言いました。そしてかけらを土がむき出しの地面に置きました。バイソスは「五つの綱車」、「四つの固定具」、「八つの葉」、「七種のスパイス」(注5)を手に取りました。これらはウペルヴィ・デディの胴体を作るのに使われました。バイソスはそれらをひとつに集め、再びウペルヴィ・デディを完全な姿にしました。そしてバイソスは十二種の秘密の薬草を集めて、亡骸の中に入れました。そしてバイソスは息を青い肌の者の鼻に吹き込み、彼を蘇らせました。ウペルヴィ・デディは立ち上がり、驚きに満ちて幸福でした。彼はそれでも感謝しており、今やバイソスに忠実でした。そして彼は穀物畑や庭園を見守る守り神となりました。しかし彼の僕たちはこのことを大いなる裏切りと考えて、「淡水海」や他の水に退いて、今でもそこに棲んでいます。彼らが出てくるのは民に厄介ごとを引き起こすためだけです。

次の秋には、彼らは種の収穫を行ないました。彼らは皮むきして、お粥をこしらえました。そして粉を挽いてパンを焼きました。そしてこの地の民の全てがその幸福で満たされました。彼らは神々の食べ物が我々の元に来たと考えたのです。

「雄牛」の司祭たちがすべての者に、どのように祖父が自分たちの子供たちのために、自分の命を犠牲にしたのか語り、特別な方法で彼を切ったので、彼らの元に蘇って戻ってきたことも語りました。司祭たちは話を続け、いかにケフ・タヴァルが「大いなる喰らう者」を欺いたかも語りました。「大いなる喰らう者」は全てのうち半分を要求し、骨と腱だけを取っていったので、肉は民のためにとって置かれたのだということをも話しました。

そして今度は民は牛の肉を食べて、肉汁と油が顔を流れたときに、彼らは神々の食べ物を食べているのだと思ったのです。

そして彼らは全員で行き、隊を組んで畑を耕しました。バイソスと彼の友人達は彼らの主君でした。そして次の春、春の収穫が終わると、彼らはウェンダリア人とともにビールの驚きをともにしました。このビールは最初の収穫のときから醸されていたのです。そして彼らは、ついには、神々の食べ物を飲んでいるということを学んだのです。


注1:DediZoraRu。さらに青い民。この時は「死体の青い色」
注2:IvinZoraRu、青い民の飢えた水底の神(ヤー・ガン)
注3:類似の伝説の勝負が地球の伝説にもある
注4:UpelviDedi、この言葉は穀物や根菜類の地下貯蔵庫に用いられるが、「全人類の豊穣」に近い意味で用いられる。この神は秋の収穫の後に信仰される。
注5:Five Sharves、Four Supporters、Eight Leaves、Seven Spices