コルダフと十の試練の公子たち1

以下はGlorious Reascent of Yelm(Ivory Edition)48ページから53ページの記事の抄訳です。訳の間違いの責任はZebにあります。

コルダフ
我らの輝く、人に秀でるコルダフ皇帝陛下は「兵士」コルツァネルムの息子です。コルダフ様はご家族が「新たなる神殿」(注1)に住んでいたときに生まれました。真夜中に母ぎみである聖女アリテラに陣痛が始まりました。星空は暗い雲に隠され、黒い雨が都全てに降り注ぎました。静寂の内に冷たく命を奪う霧が都を這い回り、身ごもる女たちを絞めつけました。アリテラの陣痛は12時間続き、取り上げ女たちは赤子が産まれるまでに294回の収縮を数えました。コルダフ様は鳴き声を上げず、母ぎみは息子を見てお喜びになりました。

母ぎみの乳房に寄せられるとコルダフ様は優しく、

「恐れるものはなにもない(注2)」

と言いました。コルダフ様の言葉は母ぎみの苦痛を取り去り、天は突然雷鳴もなく晴れわたり、涼風が命を奪う霧を吹き払いました。

「虚ろの皇帝(注3)」と戦うために、父ぎみが不在だったため、また多くの前兆があったために、新生児のコルダフ様は命名のため祖父君のところに運ばれました。「賢者」コルメーシャは男の子の目の中を覗きました。祝福を与えるために訪れた目に見えない霊たちを数えたのです。呪うために来た霊はいませんでした。コルダフ様は生まれつき影を持っていなかったのです。

「賢者」コルメーシャは男の子をコルダフと名付けました。守護天使(注4)のみが与えられる特別な加護しかコルダフ様は必要としなかったからです。その後「賢者」コルメーシャはコルダフ様を育児所に送り、一族の他の子供たちとともに育つようにしました。

コルダフ様はまだ少年のとき、エスケイラEskeilaの村にご家族がいらしたときに、暗殺者たちの襲ってくるのを予知したことで頭角を現しました。またある時、星が覆い隠されたときに、コルダフ様だけにご兄弟たちを森から抜け出す案内ができました。

またあるとき、影を持たないことから、コルダフ様はうぬぼれて、道に迷って崖から落ちました。コルメーシャの偉大なる先見の力をもってようやく、コルダフ様は見つかりました。平凡な一族しか持っていなかったらコルダフ様は助からなかったでしょう。この出来事の後、コルダフ様は守護天使ダフと友情を結び、もはや迷うことはありませんでした。コルダフ様はこのとき御年十歳でした。

少年であったコルダフ様は、早熟さを誰もが認めていましたが、「公子たち」の集まりには招かれていませんでした。しかし、年若い賢者はこっそり忍び込み、「十の試練」の公子たちの持ち物の中に隠れていたのです。コルダフ様が見つかったとき、儀式はもう始まっていましたので、彼は儀式の輪の中に入っており、参加せざるを得ませんでした。コルダフ様は「素材の集まり(注5)」を生き残り、ふさわしい休息の後に、「形成の集まり(注6)」をも生き延びたのです。

儀式に加わったほかの者とともに、コルダフ様は復讐の誓いをおこない、ザルコスZarkosの蛮人たちはコルダフ様の肉体に刻印をおこないました。

注1:New Temple、ライバンスの「新たなるアンティリウスの神殿」。ジェナロング朝皇帝「憤怒の子Child of Wrath」イラルダルガを「兵士」コルツァネルムが破った後、「賢者」コルメーシャが建てた。
注2:No fear yet.
注3:コルダフの年齢からするとおそらくジェナロング朝皇帝「馬の配り手」Dispenser of Horsesを指す(在位イェルム暦111,186年〜111,193年)。別名ヴィラマクラダViramakradda。
注4:Davu、コルダフ一族の守護天使。コルダフはこの名前にちなんで名づけられた。
注5:Raw Meeting
注6:Shaping Meeting

Excerpt from Greg Stafford's Glorious Reascent of Yelm (Ivory Edition)