不老不死がなくなったわけ

ある日のこと、創造の女神(注1)は皆の者に集まりに出るように言いました。

「その場で皆さんにどうやったら不老不死になれるか説明しましょう。」

ウェンダリアの人々は良い機会をもらったことにとても喜びました。なぜなら何度か「死」が近くの森に隠れているところを目撃していて、みんなおびえていたからです。人々はとても喜んだので、昔のようにたくさんの食べ物をもって集まりました。そして雨よけのテントを建て、色を塗った床を足で踏み固めて平たくしました。彼らはとても幸せだったので「幸福の踊り」を踊りました。彼らは長いこと「幸福の踊り」を踊っていなかったのです。

彼らは激しく夜更けまで踊りました。そして寝過ごしてしまったのです。だから集まりに出られませんでした。次の日の遅くに目覚めましたが、不老不死ではありませんでした。「輝く者たち」と「暗き者たち」(注2)だけが「創造の女神」の集まりに出ました。「大地の子ら」のみ女神の話を聞いて、神々や精霊として不老不死になったのです。

しばらく経った後、死が誰の目にも明らかなものになった時、セデンヤ女神は皆の者に言いました。

「明日、皆さんにどうやったら不老不死になれるか説明しましょう。」

またみんな行きたいと思いました。そして前の失敗をおぼえていました。だからみんな慎重で、ほんの少ししか踊りませんでした。そして一部の人たちは時間になったらみんな確実に起こせるように、アンカットの根を噛んで一晩中起きていました。うまくいきました。それでみんな早起きして出発しました。

しかし「暗き者たち」は不老不死を分け与えたくありませんでした。なぜなら彼らは生命あるものを餌食にしていたからです。デルドロームスとデル・ヴェラ(注3)は旅人達を欺いて道を迷わせました。迷った者は集まりに出られませんでした。結局のところ月の集会に出られた者はヘビとカニ、カマキリ、セミドラゴニュートでした。彼らは皆脱ぎ捨てられる皮を持っていて、そのために終わりのない寿命を持っていました。

三度目には「偉大なる王女(注4)」が試みました。この時は彼女の話を聞こうとする者はほとんどいませんでした。「王女」は聞き手が「螺旋の道」のなかで平和に暮らせるように、自らの内なる秘密を教えました。内なる秘密を教わった者はは年をとるにつれて色を変えました。はじめの子供のときは白い色で、大人になると赤くなり、年寄りになると青くなるのです。しかし彼らはこのことのために他の者全てに憎まれました。他の者全てが彼らを全員滅ぼそうとしたのです。

道に関わらない者たちは悪意に満ちた者になりました。彼らは煮えたぎる液体を「螺旋の道」に注ぎ込みました。そして楽の音のごとく苦痛を与える精霊たちが「螺旋の道」を痛めつけました。彼らは「螺旋の道」を禁ずる法をつくり、「螺旋の道」の支持者を焼き殺しました。誰もが信仰と先祖の血統から身をそむけるように強制されたのです。このことはもちろん愚行でした。そして太陽の下、赤く色を変える者は全て、「王女」に対する忠誠を裏切りました。そして死んだ後、色を青く変える者は全て、祖先として「王女」の血を引くことを示していたのでした。

そのために苦痛の道(注5)として以外に、「螺旋の道」を記憶する者は誰もいませんでした。

注1:NenarcharaすなわちCreatrix。ヴァラーレはTareltaraと同義と解釈した
注2:SalleriElo。輝くものたち、天上の者たちとSalleriTanno。暗きものたち、地の底のものたち
注3:DerVera。欺きの女神、仮面で旅人を迷わす者
注4:Lesilla、地上の化身としてCerulia
注5:Cult of Gerra?

Excerpt From Greg Stafford's Entekosiad