オロジェリアとケンストラータ2

ケンストラータは春の花咲く季節に雌ギツネを探しましたが、姿を見失いました。彼は追跡を続けましたが、次の春まで見つけることができませんでした。次の夏までは追い続けられました。彼はその季節の間雌ギツネに迫り、季節を過ぎた頃に驚異的なことがわかりました。この獣は色を変えていたのです。しかし逃げられました。三年目には夏じゅう追い続けましたが、秋にまた見失いました。

四年目には春に狩りを始め、夏じゅう追跡し、秋じゅう追いかけて、冬にまた見失いました。

五回目の試みで、彼は前の年と同じことをしましたが、冬に入ってからもまだ続き、しかしどこにも見つけることができませんでした。

ついにはケンストラータは諦めて、オロジェリアに助けを求めました。オロジェリアはためらいました。

するとケンストラータは「この地から去ろう、敗北したからには。」

ついには、オロジェリアは彼を助けることに同意しました。しかし自分たちが雌ギツネを捕らえることができるとは思えませんでした。彼女自身がしばしば試みたからです。

「貴方が雌ギツネを捕まえられようとできなかろうと、私とともにいるなら、手助けしましょう。」

ケンストラータにとって雌ギツネを捕まえることは一番になっていたので、彼はこの条件に同意しました。

一緒に長いこと追跡を続けました。季節ごとに自分の知ることを相手に教え合いました。雌ギツネは春、自分の足跡を隠す時間がありませんでした。夏は草から毛皮の一部を取りました。秋には尻尾をつかむことまでやってのけましたが、逃げられました。

次の年も同じで、三年目も似たようなものでした。ケンストラータの部下たちは不平を鳴らし、失敗で不幸でした。挑戦を楽しめませんでした。ついにはケンストラータ自身すら投げ出しました。

「打ちのめされてしまったのでもう戻って他に狩りに行く気にもなれない、故郷に戻って引退する。」と言い出しました。

オロジェリアはこのことで非常に不幸せでした。彼女はケンストラータが打ちのめされているところなど見たくありませんでした。ゆえに諦めのため息とともに、自分が知っている最後の秘密をケンストラータに教えることに同意しました。

「雌ギツネは冬場は透明であり、なんの跡も残さず、なにも食べないのです。しかし存在しています。」

ケンストラータははかりごとを巡らし、部下たちすら興味を見せました。彼らはもう一回挑戦することに同意しました。そしてこの時、ケンストラータは狩人の秘密の一つを使いました。そのために彼はひとりで「長柄」だけを携えて、冬の森に入りました。そこで彼は「精霊の狩猟」を行いました。彼は跡を残さない獣の跡をつけて、常に隠れていた獣を見つけ、素手で獣を捕らえました。彼は長柄で「雌ギツネ」を殺し、皮をはいで、オロジェリアのいる家に持ち帰りました。

オロジェリアは毛皮の美しさと悲しみに息を呑みました。毛皮はそのままでも季節ごとに色を変えました。彼女はこの毛皮から離れることができませんでした。

オロジェリアとケンストラータは一緒にいましたが、今度はオロジェリアが不幸でした。ケンストラータは自分の求めるものを手にし、他のところに行くことを要求しました。彼はオロジェリアがした誓いにしたがって、自分とともにいる義務があると言いました。それで取引の条件は満たされるからです。

「しかし、貴方がこの地に留まりたいのならば、俺を誓いから解き放ちなさい。」ケンストラータは言いました、「選ぶのは貴方だ。」

オロジェリアは母神のキャンプから出て行くことには気が進みませんでした。最後の切り札として、彼女は雌ギツネの毛皮に再び命を与え、この獣を野に放ちました。彼女の手の届かない野生の地に解放しました。したがって、もう彼女は雌ギツネを持っていませんでした。

ケンストラータは最初怒りましたが、もう一度オロジェリア抜きで雌ギツネを追うことに決めました。彼は野原に入りましたが結局のところ楽しんで戻ってきました。彼は家族たちとともに留まりました。彼らがデンジュラエ部族の祖先です。

Excerpt from Entekosiad by Greg Stafford