ヘンドリック王4(敵)

ヘンドリックの敵
「壺の」ダマンタがヘンドリックの最初の敵だった。ダマンタはやって来ると、皆の衆が森の中に抑えられているだけで満足していた。「狩人」の氏族は森の中に追われた。しかし狩人たちは防御をすり抜けて入り込むことがいつも可能だった。しばしばそうしていたが、アラズボが殺されると帝国は指導者を変えた。

次に来たのがテネンである。テネンは凍りつく北国から来た祈祷師だった。テネンは多くの策をめぐらせた。しかし皆の衆が主に今でも憶えているのはナラングロスによる攻撃である。ナラングロス(訳注1)は恐るべき犬の精霊で、アリンクス族の永遠の敵だった。テネンは吼える狩猟隊を従えてヘンドレイキ族の女子供を狩った。ヘンドリックはこの時は逃げなかった。ヘンドリックは剣で牙に対抗し、彼らを倒した。

次には「沈黙の森の期間」が過ぎていった。森の封鎖はダラ・ハッパのデニーラから来た強大な魔女オラナタに監視されていた。オラナタは自分自身で森に入ることは決してなかった。しかし長いこと隠れていることのできる待機する少人数を送り込んだ。目指す相手が近づいたら命を取り戻して襲い掛かるのである。またオラナタは石の背中を持つ十体の空飛ぶ生き物を飼っていて、ヘンドリックが姿をどこで現しても「白い崖」にある巣穴から飛び出すのである。二回、「赤い髪の」サラヤが何体かを殺したので、二度と戻ってこなくなった。アテュレストは若く、野心を持っていたのでオラナタを彼女の寝室で殺した。このことは次に来た者のことを思うと、不幸な成功であった。

「沈黙の森の期間」の後、「悪しき口のEvil Mouth」ガガークGagarkがヘンドリックの宿敵となった。ガガークはあらゆる意味でファランギオの影であり、黒い鳥に乗って黒い鎧をまとい、槍と剣を使った。そして両方とも奇妙で特性を持つ力を持ち、狩り立てられる者たちにとって予測がつかなかった。

この怪物に対抗するため、ヘンドリックは自分の氏族の者を村のそれぞれに分散し、五人の仲間だけを連れて行った。この五人は好機のときに姿を現し、追っ手をおびき寄せるのである。「悪しき口の」ガガークは非常に貪欲で、ヘンドリックが姿を現すとひとりでに攻撃した。そして非常に傲慢だったので、自分がヘンドリックに必ず勝つということを知っていた(訳注2)。氏族は「ラーンステイの七つの隊Larnsti Seven Groups」を治癒し、人数を補填し、守るグループに分かれた。ヘンドリックは決して捕まらなかったが、多くのヘンドリックの仲間達が彼のために死んでいった。しかしヘンドリックの仲間達は数ダースもの数の強大な敵を倒したし、「盗賊の森」に大人数が来ると影たちが滅ぼした。

訳注1:Narangros
訳注2:何らかの魔術の産物か

Excerpt from Greg Stafford's "Durengard Scroll" in History of Heortling Peoples