ザーラマーカの変容

以下はMissing Land p.18に掲載されていた魚人の神話です。翻訳の間違いの責任はzebにあります。

ザーラマーカ、ひとつのもの。深淵は全てである。

内より外が生まれ、変動がザーラマーカから流出した。水こそが全てであり、深くもあり浅くもある。

変動は深みと浅瀬で起こり、智慧ある古代の存在が内なる深みから形作られた。彼らこそが始原の存在だった。スラマック、ダーリアス、フラマンス(訳注1)である。

これらの存在が現れた後には、ザーラマーカはオッシャマホーロ(Osshamahoro不動の海)と呼ばれた。これら始原の存在は変動を続け、そして海の神々の種族を創造したのである。

海の神々は餌をとるためにオッシャマホーロのところに赴き、したがってオッシャマホーロは動かされ、「養う者」セルヴァー(Seruvar the Feeder)を生んだ。これより後、オッシャマホーロはイヴィナレシェシュ(Ivinareshesh)と呼ばれた。イヴィナレシェシュは「深淵の海」、「動かざる闇の海」である。

女神セルヴァーは自分のところに来た者全てを養った。そしてそうすることでセルヴァーは自らの変動を続け、バブと食物の神々を生み出した。セルヴァーはバブが六つの面を持つように創造し、それぞれの面が海の生き物のために、特別な食べ物を育てるようにした。五つの面は水の下にあったが、ひとつの面は水の上にあり、したがって「乾いた食べ物」と呼ばれた。

我々はこの最初の存在をバブと呼び、バブ女神の五つの良い面をヘルト、マグール、イシャシュ、セドゥーン、ペシュールと呼んだ。バブの乾いた面がオーマ(Ooma)であり、バブ女神の悪しき面がデズ(Dez)だった。

これらの海の神々はとてもよく養われたので、今度はこれらの神々が自分の子供を生み出した。そして数多くの海の生命の種族が生まれたのである。[バブが「大地」であり、完全な立方体をしている。(訳注2)大地の一角が海の外に出ていて、「地表世界」であり、「地表世界」こそが第六の面であり、「乾いた食物」である。]

デズは食物となることを拒絶した神である。この神は自分の信徒をけしかけて海の民を襲わせた。この時が海の神々がイヴィナレシェシュのところに来て援助と保護を求めたときである。イヴィナレシェシュは動かされ、その動きからエズザロウン(Edzadoun)、死と生命を分離する「黒き川」が生まれた。[地上の住民はスティクスと呼ぶ]イヴィナレシェシュの残りの部分は変動することなく、ドレニーロ(Dreneelo)と呼ばれ、智慧を秘めた「深淵の泉」であった。(訳注3)

デズは海の民と戦い、その後海の神々とも戦い、さらにその後、自分の種族とも戦った。デズは自らの母であるバブを罰するために襲いかかり、バブをおのれの憎しみで破壊した。そして巨大な傷を生み出して住もうとしていた。(訳注4)この時がマガスタがデズと対決し、この神を丸ごと呑み込んだときであった。マガスタは世界の中心にあったデズの場所を奪い、そこを水で満たし、「第七の食物」を創造したのである。

今や世界はまた平和であり、深淵を食物としているのである。

訳注1:ダーリアス、フラマンス、スラマックはGods and Goddesses of Glorantha in Wyrm's Footprintに既出。海の三太祖。ダーリアスは後述する「智慧の泉」の番人。

訳注2:神知者の言うスパイク。

訳注3:オーランス神話で言う「知恵の泉」?オーランスと同じく、海の主神マガスタが「移動」のルーンを持っていて、「移動」こそが生命であるという魚人の哲学はオーランス人に共通しているということも面白い。泉の底でオーランスはマスターコスを見つけた。

訳注4:フマクティや神知者は、マガスタが中和する前の世界の中心の虚空をJotimamと呼んでいる?