シュール・エンスリーブ2

第四・第五・第六の産卵
「望まれざる者たち」の揉め事は「古き沼」の性質を何度も変えてきた。前の安楽な生活に親しんでいた民は悲しみ、困難に苦しんでいた。シュール・エンスリーブはひな達が受けている悩みに気づいていた。

シュール・エンスリーブは夫を持って産み出したひな達こそが問題なのだと考えた。そして交尾せずに単為生殖のひなを産み出せば、争いあう彼女の子らに平和をもたらすだろうと決めたのである。

シュール・エンスリーブは浮き草の巣を作り第四の産卵をおこなった。第四のひな達はみなアガルジ(訳注4)に滅ぼされた。

シュール・エンスリーブは次に川岸に巣作りした。第五の産卵をおこなった。この時英雄ヴェロンドゥム(訳注5)がシュール・エンスリーブに求愛した。彼女はヴェロンドゥムをはねつけた。しかしヴェロンドゥムはシュール・エンスリーブの好意を勝ち取ろうと心に決め助けようと努めた。しかし巣はそれでも襲われて、孵化していないひな達は食べられた。

シュール・エンスリーブは次に乾いた地に巣作りした。アガルジはその時数多く、栄養が満ちた卵で強くなっていた。大群で来て巣に火を放ったので、シュール・エンスリーブはヴェロンドゥムに助けを求めて叫んだ。

我らの愛すべき勇者、強者ヴェロンドゥムはすばやく来て、歌と杭で準備に余念がなかった。ヴェロンドゥムはアガルジを圧倒して、「ダムスキの伝承」を定めた。以来、この伝承の技をわが民は精霊界をコントロールするのに用いている。

第七の産卵
シュール・エンスリーブの契りの儀式はヴェロンドゥムによって執り行われた。この儀式は以来、女神の連れ合いを選ぶために用いられるようになった。ヴェロンドゥム自身がシュール・エンスリーブの連れ合いの最初の者として選ばれた。

シュール・エンスリーブとヴェロンドゥムは第七のひな達の父母である。第七の産卵から「崇めるべき祖先たち」が現れた。彼らはこの時代に生きた聖なる家族の父祖であった。

彼らは平和な生を送り、多くの川や島々の地域を安らぎに満ちた場所にした。これらの地を「崇めるべき祖先たち」はパレンジャ(Palenger)と呼んだ。

第八の産卵
よそ者たちがパレンジャに到来した。そしてヴェロンドゥムの一族に死と混乱をもたらした。敵対者たちの最強の者は馬の神、バクの神、クロコダイルの神だった。これらの民は第六のひなの生き残りであると言う者もいれば、古代の蛇たち(訳注6)が世界の果てへと運んだ卵から生まれた民であると言う者もいる。

彼らは獰猛な民で、とがった槍よりも鋭い武器を持っていた。多くは殺され、なきがらは水に浮かんだり岸に打ち上げられた。シュール・エンスリーブはひどく悲しんだ。そして「偉大な神々」に祈りを捧げて洞察と勇気を得た。シュール・エンスリーブは死んだ子孫のなきがらを食べるようになったのである。

シュール・エンスリーブはこの食物によって強くなり、「黒き蛇」コトール(訳注7)を連れ合いとして選んだ。シュール・エンスリーブは産卵して、産み出されたひな達は「英雄の家族」の祖先となった。(原注2)


訳注4:犬の頭を持ったトカゲ、第一のひな、ロズLosの一族
訳注5:英雄スヴァールと洞窟の母の息子、彼の祈祷師伝承はImperial Lunar Handbookに記載
訳注6:第二のひな
訳注7:ダージーンの死の神、第三のひな

原注2:この一族のある者はヨルプ山脈のスルヴァルガル(Survargar)王家の始祖となった。GROYの96ページを参照のこと。またある者はマニマト達の祖である。彼らはウェンダリア時代の初期に生きていた計算になる。

Material From Enclosure #1, Excerpt From "Weeders" By Greg Stafford