アメリカのグローランサゲームファンの歴史

以下は公式サイトのGlorantha Q&A Lismelder Clan Transcript (http://moondesignpublications.com/forums/glorantha-q/lismelder-clan-transcript)の内容です。

以下David Hall氏の灰色犬氏族/リスメルダーのキャンペーンについての発言:
・1996年には灰色犬氏族/リスメルダーのキャンペーンはもうすでに固まっていた。
・Jon Quaife氏が1990年初頭に最初のキャンペーンを運営していた。もともとのプレイヤーはDavid Hall氏、Keary Birch氏、Mark Hone氏だった。
・しかしこのキャンペーンはJon氏がアメリカ南部に行ったときに終わってしまった。
・1991年にDavid Hall氏がJon氏のキャンペーンを引き継いで、このキャンペーンの内容がTales誌の5号に掲載された。
・1992年にはHome of the Bold(ボールドホームのフリーフォームシナリオの本)が出た。
・David氏のキャンペーンのもともとのプレイヤーはSteve Thomas氏、David Gordon氏、Mark Hone氏だった。しかしすぐにNick Brooke氏がMark氏に代わった。
・後から加わったのはDan Barker氏、Rick Meints氏、David Scott氏、Colin Phillips氏、Carl Pete氏、Gwen Mott氏、Charles Corrigan氏とそのほかの人たちだった。
・キャンペーンは常に氏族を中心としていて、1610年以降のサーターの出来事に結びついていた。プレイヤーの行動は常に氏族に影響を与えていた。もともとはブランデュアン(Branduan、Sartar Kingdom of Heroesに出てくるPCのライバル)はNPCで、どのように「普通の」氏族の者が振舞うかを見せる為のキャラだった。後でCarl氏とDavid氏が客人として現れたときに彼を演じた。

以下David Hall氏のそのほかのグローランサの発展についての歴史:
・灰色犬氏族のキャンペーンが回想的にサーターの本に現れているのはグローランサの風景の後ろで何が起こっているか、参考にするにふさわしいものだったからである。
・キャンペーンの一部はサーターの本に出てくるが、ブランデュアンの性格はサーターに出てくるのとまったく違っていた。
グローランサのRuneQuest第三版は1984年から1994年まで出版され、最後のサプリメントが出るまで良い熱気を発していた。
・グレッグはもうすでにルーンクエストよりグローランサに合うシステムを探していた。
・グレッグは1992年にはEpic Systemというシステムを目指していて、同一時期ではないだろうが、King of Sartarを書いていた。
・Epic Systemには後の出版物に見られる多くの特徴を有していた。氏族の質問表や、サーター本で見られる多くの記事。しかしシステムがなかった。
・グレッグのEpic的なゲームスタイルと指向が明らかになると、多くのスピンオフが現れた。
・David Dunham氏は1993年にPendragon Passを作った。(PendragonのルールをアレンジしてGloranthaに用いる)
・Tales Megacorp社(David Hall氏とNick Brooks氏が所属している)とシアトル農場集会(Seattle Farmer Collective)はスピンオフの一部だ。
・この二つのグループが互いに親交を深め、1992年から2002年のConvulsionを運営した。
・1997年から1998年のEnclosure誌を読めば同じような雰囲気を見て取れる。1999年にはDavid Dunham氏のKing of Dragon PassがEpicとKing of Sartarの要素を大いにもって出版された。
・その後、グレッグはEpicが求めているものではないと悟り、1998年にはグローランサをゲームとするライターを募集した。これはRobin Laws氏が選ばれることとなり、2000年にHero Warsが出版された。

以下Jeff Richard氏のシアトル農場集会についての補足:
・主要メンバーはDavid Dunham氏、Neil Robinson氏、Pam Carlson氏、Dana Schack氏、Dave Pearton氏、Jeff Richard氏だった。
・一時的にはRob Heinsoo氏、Jonathan Tweet氏、Robin Laws氏が加わっていた。
・ゲームしていたのはDavid Dunham氏のPendragon Passのルールを使った東部ラリオスのキャンペーンとJeff Richard氏の同じくPendragon Passのルールを使ったTaming of Dragon Passのキャンペーンだった。システムは後にHero WarsやHero Questに変わった。

フォンリット地誌


左のフォンリット地図はまりおん殿の手書きの地図です。若干私と訳語が異なりますが、単なる語感に対する嗜好の違いによるものだと思われます。

以下はMissing Lands p.64からp.67のフォンリットの各地の記事です。訳の間違いの責任はzebにあります。
大カッコ内にある都市の規模はジェナーテラブックの人口の規模による基準に準じます。

アベシュ(Abesh)[大都市]
フォンリットの都市国家のなかで唯一城壁を持たない都市である。この都市は都市の支配者が使える恐るべき「死の苦悶」の魔術に守られている。「苦悶」が投射されるとアベシュの境界の中の属していない者は(アベシュ生まれでない者は)呪われて、十年以内に確実に死ぬ。したがって侵略軍はあえてこの都市に入ろうとはしない。アベシュはどの大君主にも属していない。(訳注1)

アーファジャーン(Afadjann)[地域]
この政体をもつ国家は規模と勢力において(訳注2)さまざまである。現在のところ、支配している都市はガルグーナ、カフェアモロ、サーロ、タブ・エト・テバ、テミスラー、トロドフェアモロである。

バンバラ・マウンデ(Bambara Maunde)、煌めきの都[中都市]
この都市は単一の、壮麗に海上に隆起していた珊瑚の塊から切り出したものである。あまりにも巨大なためいまだに彫刻が終わっていない。珊瑚の磨かれた石のような物質は強い光沢を持ち、もっとも鈍い光ですら反射する。四年ごとに祝う「炎の祭礼」ではすべての住民が松明を振って視力を奪うような効果を引き起こす。珊瑚は鮮やかな紅色を有し、宝石やある種の魔術の品として高い価値をもつ。この都は掘り出した珊瑚を一部輸出することで豊かだが、宝を征服したり盗もうとする略奪者に苦しんでいる。そのような略奪者のひとりが「八本腕の」ケンパラーナであり、彼の塔はいまだにモンドロの荒野に立っている(訳注3)。

バナンバ(Banamba)[地域]
ラスカルの北部海岸はバナンバと呼ばれ、文化的にはフォンリットに属する。政治的に統一されることは稀だが、その都市群は現在の主要な海軍力であるカリーシュトゥにたいして貢納をおこなっている。[後に「狂戦士」ハレックがこの地域を征服し、突然アーグラスを援助するためにドラゴンパスへ出発したときには支配を行っていた。]

バルエリ(Barueli)[中都市]
このモンドロの都市はバルリング河の河口にあるデュマナバ市とポイシダ海峡の国際都市ガルグーナの街道の中継を支配している。都の支配者である「飢えた女神(訳注4)」の大司祭は宦官であり、法律上「青い肌」である必要がある。この都は三十四日ごとの流血の祭儀と、不具にされた空を飛ぶ動物の動物園で有名である。住民はモンドロ語を話す。

バルリング河(Baruling River)
この河はターモウ山脈から流れてきてコーラル海に流れ込む。人間の原住民は熟練した船頭で、毎年巨大な丸太を河の神に供物として流す。

ボガニ(Bogani)[中都市]
ボガニはイエローエルフの都市である。狂気に駆り立てられて人間と交流を持った追放者たちが住んでいる。ある者は都市の生活を楽しんでいるとすら主張する。都市の中心部は鬱蒼とした庭園であり、彼らの指導者たちを除いて立ち入りが禁じられている。

ブルーリ(Bululi) [中都市]
この都市は航海者であったティノコス人の祖先たちが到達した由緒ある陸地で最初に住み着いたところである。彼らの子孫は死者を埋めたり燃やしたりせずに、海に流すことで独特である。

ダショーモ海(Dashomo Sea)
このフォンリット、ジルステラ、クマンクの間の海域は最近は統治している魚人の王の要求に悩まされている。全ての港で航行のために高い税を払わねばならず、船単体は港から離れるときに、積み荷のいくらかを供物として海に放り込まなければならない。

ディンダンコ(Dindanko)[大都市]
当地のドーマルのカルトの支配権により、この都市はカリーシュトゥの首都となっている。「提督の帆船」と呼ばれる名高い船のドックがある。この船にはミイラ化したヴァデル人の艦隊指揮官の体がある。彼は「大開洋」の後、はじめてこの地を訪れた者である(訳注5)。

デュマナバ(Dumanaba)、浮遊都市[大都市]
英雄ボルノーティン(訳注6)はずる賢い海の精霊であるカディオーラ(訳注7)に騙されて、バルリング河の河口の七マイルの幅の浮橋を建造して守った。浮かぶものが海に流れていくことはなくなったので、カディオーラは一族との賭けに勝ち、王となった。流れてくる漂積物を集めて、ボルノーティンは浮遊都市の最初の一部を作った。「船頭」と呼ばれるメナカ(訳注8)はいかだを設計し、それ以来この都市の民はいかだに住んでいる。

数百もの水路がいかだのまわりを流れており、いかだがひとつの隣のいかだから離れてほかのいかだに近づいていくことから、曲がりくねった水路の形を変えていく。「透明の艦隊」が1077年にコーラル海の全ての流線型の戦帆船を狩り立てていたとき、この都市は当地の船は入るのを許したが、「神知者」の艦船は入るのを禁じた。そのせいで神知者の船はすべて沈んだのである。

ドゥサングヤ島(Dsunguya Island)
カリーシュトゥの主要三島のうちで中央の最も重要な島。この島は三つの島の中でもっとも裕福である。この島の主要な産業は造船である。

ゴーン(Goan)[大都市]
この都市はアルコールが入っていないのに非常に酔いを引き起こす、キノコで作った飲み物で有名である。

エベッシャル(Ebbeshal)[大都市]
マルキオンの大寺院がここにある。ジェナーテラのマルキオン教の倒錯したパロディであるが、宗教的な論争の中心地から遠く離れているため、二人の教父たち(訳注9)のいずれからも異端と宣告されたことはない。このカルトは世俗の人生は無意味であることを教える超越的な秘密を主張しており、したがっていかなる行動も許容しうることを主張しているのである。

ファラージェ(Faladje)[大都市]
マラナ地方のこの都市はアーファジャーンの国から遠くはなれた僻地にある。ある時代、この都市はフォンリットのほぼ全土と、ヴラーロスやバナンバを支配していた。「イラニアの民」が一時的に住んでいたからである。今日では急速に人口が減っているが、それは民が成長している沿岸の都市へと移住しているからである。

グンバルナン(Gumbarnan)
(訳注10)

ファンジョーシ(Fanjosi)[中都市]
魔術の効果によって女性はこの都市に入ることを許されない。どのような種類の、もしくは種族の雌であっても、死ぬことになる。もし雌の鳥が都市の上を飛ぶと死んで落ちることになる。この地のひとつ良いところは、蚊に食われる者が誰もいないことである(訳注11)。

外人兵団峠(Foreign Legion Pass)
古代にある支配者が、征服した外国人に対して慈悲を示した。そして奴隷として酷使されて死ぬよりも、戦って死ぬことを許したのである。この支配者は彼らに対し、戦士として三つの戦略的な砦に駐屯し、少々の料金のみで護衛の仕事を行うことで自由を約束した。この支配者は死んだが、組織は存続し、多くのフォンリットに留まらざるを得ない多くの不幸な外国人たちの避難所となっている。

ガルグーナ(Garguna)[国際都市]
この都市は十万人近くの住人がいて、アーファジャーン最大の都市となっている。ジェナーテラとパマールテラ双方の数多くの神々の神殿が「祈祷街(訳注12)」と呼ばれる区画に詰め込まれていて、「輪縄の」ダーリスターの大司祭によって所有されている。この都市は過去はヴラーロスの大君主(訳注13)に支配されていたこともあり、独立した都市であったこともある。今日ではアーファジャーンのジャーンがこの都を支配している。

ガーゴス河(Gargos River)
この巨大な河はモンドロの荒野に広い峡谷となっている。その岸は住民が多い。峡谷の土地はたいていの場合ガルグーナかイステンの地主が治めている。

ホンボリ・トンド(Hombori Tondo)[大都市]
ジャーンの位はこの都市に由来していて、伝統的にアーファジャーンの首都となっている。この都市を支配する者は誰であってもジャーンとなり、この支配者のほかの権力基盤が動乱で内部抗争の状態にあるかどうかは関係ない。七百年前最初の定住が行われてから、十七の王朝が続いてきた。フォンリットでは稀な、安定した政府である!

イスリス(Islith)[大都市]
タラホルン最大の都市。主要な港でもある。その支配者はたいていの場合タラホルンの王を自称し、金めっきしたヤギの角の冠をかぶっている。

イステン(Isten)[大都市]
ガーゴス河峡谷の富を収集する中心地。この都市の君主は伝統的なヴラーロスのエルフに対する憎悪を保っている。

ジョコル(Jokoru)、自由の都市[中都市]
この都市で奴隷を持つことは許されない。そしてこの都市を訪れる者全てが市民権を持つ資格がある。断崖絶壁の場所にあることや狂信的な住民の存在が数世紀もの間、その自由を保証してきた。

カフェアモロ(Kafeamoro)[大都市]
この都市はフォンリット中で年ごとの狩猟会(訳注14)で有名である。自由人は一続きの困難な競技に参加することが許される。勝者は全ての敗者を個人的な奴隷として受け取る。

カラバー(Kalabar)、魔道の都[中都市]
このマラナ地方の都市は679年の「海の季」の「混乱の日」(訳注15)に魔道師の団体によって一夜で建設された。この都市は邪悪な魔術に明け渡され、その住民はパマールテラの神々を拷問していた。全ての住民は妖魔か怪物であった。「火の王」と呼ばれるセセコ(訳注16)がこの都を浄化した。セセコはパマールテラ中から英雄たちと軍隊を召喚し、オカルト的な戦いと直接的な戦い両方を邪悪な住民たちに挑んだ。最後にはセセコはシカーノス、南方の焼き焦がす風を召喚し、「ホラララムの息(訳注17)」で武装して「火の王の十七人の同盟者」の敵すべてを滅ぼしたのである。都市の住民は一人も生き残らなかった。セセコの軍勢の生き残りは1137年のビアの競技会(訳注18)で妻を獲得し、薄気味の悪い廃墟へと移った。彼らの子孫はそれ以来住んでいる。彼らは魔術を今でも使うが邪悪なものではない。

ネム・ダー(Kanem Dar)[島]
アーファジャーン最大の島。野蛮な羊飼いの氏族が住んでいる荒野の内陸部を除いて人口は稠密である。

カリーシュトゥ(Kareeshtu)[地域]
黄金のカリーシュトゥの帝国はフォンリットで最長の存続している国家である。その最大の理由は支配者、「聖なる寛大」アルチドミデス「心無き手を広げる者」、「トンディジとイーカズの器」(訳注19)の長命によるものである。泥でできた巨大な都市群。裕福な者には白く磨かれた宮殿だが、大部分の民は汚い小屋に住み、広大な壁を持つ大理石や、珊瑚や、金銀で飾られた支配者たちの宮殿が広がっている。テンタキュール、「奴隷の神」(訳注20)がここ以上に強大な力を持っているところはない。

ケンパラーナ(Kemparana)[小都市]
「真紅の塔」と呼ばれる(十七の階層を持つ)この巨大な建造物はバンバラ・マウンデの港湾都市からそのまま奪ってきたものである。壁を持たない都市がこの塔の周囲を取り巻いている。

カテレ(Katele)、純粋の都市[大都市]
「大閉鎖」の時代、フォンリットの多くの民は自分たちの生き方に不安を覚えていた。多くの反乱が勃発し、預言者や英雄が不老不死と名声を求めて張り合った。ひとつの大家族が祖先の住んでいた平原を求めて去っていった(訳注21)。彼らの子供たちと家族がカリーシュトゥに戻ってきたのは1202年であり、厳格な教条主義的なパマールトカルトと、自分たちが社会を築いた社会組織を奉じていた。彼らは布教し、「純粋なる教条の自由主義者たち」を設立した。このことは1207年の「女性の反乱」の引き金になり、付近の都市に広がって、各家庭に恐るべきもめ事を引き起こした。しかし軍事的なカテレ市への報復は意味を成さなかった。そしてカテレの住民は今でも借用し、適合させた遊牧民の生き方を続けている。

コーラル湾(Koraru Bay)
この水域にバルリング河が流れ込み、その水はマーシノ海に注ぎ込む。ずる賢い水の精霊、カディオーラは自分の親族からこの水域を騙し取り、統治権を得た。カディオーラは常にデュマナバの住民には友好的であり、デュマナバの住民はカディオーラを自分たちの(大)寺院で信仰する。

コルマーニ(Kormani)[中都市]
タラホルン南部の中心都市。川の上流であるにもかかわらず、この都市は港湾都市である。さらに主要な街道がこの都市で交差する。

ラスカル(Laskal)[地域]
コーラル湾と境を接する地域の名称。この地の都市国家はハレックと「海の狼たち」の命令で統一された。

マラナ(Marana)[地域]
フォンリットの高地地帯は荒野である。しかし山がちではない。その住民は野蛮な羊飼いで、沿岸地域に少人数で略奪をおこなうことに喜びを感じる。マラナはアーファジャーン人に危険な地域とみなされている。

マーシノ海(Marthino Sea)
この海域はフォンリットとエラムル半島の間の海を含んでいる。「大閉鎖」の間、この海は通行不能であり、デュマナバに隠されていた一隻をのぞいて、船は存在しなかった。

ミレーロス(Mirelos)[地域]
広大な地域。地図範囲外?(訳注22)

モンドロ(Mondoro)[地域]
避けられている野蛮で不安定なアーファジャーン南部の地域。不規則で、おそらく不自然すらある地形が点在し、森は突発的に生えていて、日ごとに場所を移動していることを見てとれる。この地にファンジョーシとバルエリの都市がある。ここの民はモンドロ語を話す。

ムルジャグヤ島(Murdjahguya Island)
カリーシュトゥの主要な島のうちのひとつ

ヌジェナグヤ島(Njenaguya Island)
カリーシュトゥの島のひとつ。この島とその住民全ては一人の男に所有されている。ヌジェナグヤのシャク(訳注23)と呼ばれる男である。彼はディンダンコ市の、カリーシュトゥの支配者アルチドミデスの隣の宮殿に住んでいる。カリーシュトゥの木材のほとんどはこの島から取られる。ヌジェナグヤ島の内部は岩がちで荒れており、中心部は山がちである。

ポイシダ海峡(Poysida Strait)
幅50キロメートルほどの海峡。海岸に密集している民にとって、魚や食用の海草が豊富に取れる。船は数多く、商船が水面を絶え間なく行き来している。

サーロ(Sarro)[大都市]
この都市は今では「盗賊のジャーン」と呼ばれる厚かましい海賊によって支配されている。かつての良い時代から堕落してしまっている。都市の中心部は波止場になっているが、放棄された薄暗い建物の区画に囲まれていて、食屍鬼にとりつかれている。オーランスの大寺院がこの都市の強力な派閥のひとつとなっている。サーロは今のところアーファジャーンのジャーンの支配下にある。

シワウ・エル(Siwah El)[中都市]
この都市の支配者は女魔道師であり、それは男性が支配しているアーファジャーンの政治体制の中では珍しい。彼女はきわめて道徳的に厳格で、異なる性別の者を奴隷として所有することを禁じている。今までのところ彼女はこの都市を独立したままでいるが、ジャーンの要求はだんだん高圧的になってきている。

タラホルン(Tarahorn)[地域]
タラホルンはコーラル湾に接する、半島の南部の地域である。その海岸は荒れていて岩がちであり、良い港になるところはあまりない。この地の都市はみな中規模である。

タブ・エブ・テバ(Tavu eb Teba)[大都市]
この都市は独特の組織を誇っている。「芸術家と音楽家のギルド」は政治的な力こそないが、都市の評判における洗練の源泉として重きをなしている。タブ・エブ・テバはアーファジャーンのジャーンの支配下にある。

テミスラー(Temissrah)[大都市]
この都市は小さな「古の種族」の区画が非人間の訪問者のために保たれていることをのぞいて、特筆すべきことはない。この区画の大部分の住民はウェアタグ人の船乗りかエルフである。テミスラーは今のところアーファジャーンのジャーンの支配下にある。どんな種類の船でも売りに出していることで有名であり、フォンリットの掘っ立て船(訳注24)から顧客用に特別に設計した船まで扱っている。

ティノコス(Thinokos)[地域]
この地域にはガランゴードスに従ったのではなく、海から到着した民が定住している。彼らはシノブトゥ(訳注25)と呼ばれる、今ではマーシノ海に沈んでいる都市から来たのだと主張している。

トロドフェアモロ(Tolodfeamoro)[大都市]
アーファジャーンの典型的な都市。典型的に、今のところアーファジャーンのジャーンの支配下にある。

トンディジ(Tondiji)[大都市]
この都市の神は確実にフォンリット全土で最強の都市の神であり、世界中で最強の都市の神でもあるかもしれない(訳注26)。オンパロムや、イェルムや、ゾラーク・ゾラーンのような大きなカルトですら都市の中ではトンディジの神に従属する。今のところこの都市はカリーシュトゥの帝国の一部である。

トートリカ(Tortrica)[地域]
西の沿岸地域。ここの現地民は色白で、異なる言語を話す(トートリカ語、ゼイヤラン語族)。そして異なる型の船を操る。

インゴルトゥ(Yngortu)[大都市]
「残酷の都」とも呼ばれる。この都市の主要な宗教は「二人の兄弟」、オルジェスルトとハンジェスルト(訳注27)のものであり、すべての敵対する者と戦い、殺すが、互いに殺しあうことはなく、和を結ぶことで知られる。聖祝期ごとに注意深い調査がなされて、どちらのカルトも入信者やルーン王の人数が余計にいないように確認している。信者たちはいかなる外国の神々とも結びつきを否定するが、多くの観察する者は「二人の兄弟」をフマクトとゾラーク・ゾラーンと同視する。

ザラスファン(Zalasfan)[大都市]
この都市は空白地帯であり、ゲームマスターが望むままに発展させたり、破壊したりすることができる。

訳注1:アーファジャーンにもカリーシュトゥにも属していない
訳注2:歴史的にということか
訳注3:Kemparana Eighthands、彼の名前を付された塔とその城下都市は別エントリ。
訳注4:Hungry Goddess。クラーシトと同一である説がある。
訳注5:Men of the Seaによると、彼の名前はビレキムルBirekimlu。アーチドミデスにミイラにされたとのことです。
訳注6:Bornotin
訳注7:Kadiola
訳注8:Menaka
訳注9:おそらくタニソール・ロカール派とロスカルム・フレストル派の教父を意味する。
訳注10:なぜか原文はエントリしかない(そして次の項目のファンジョーシは項目なのに太字になっていない)
訳注11:蚊は雌しか血を吸わない
訳注12:Prayer Ghetto
訳注13:アルドリアミの君主ということか
訳注14:Quarry Pastimes
訳注15:原文ではDisorder Day。おそらく混乱の週(Disorder Week)の間違い。
訳注16:Seseko the Fire Lord
訳注17:Breath of Holaralam、どのような宝、もしくは魔術かは不明
訳注18:Bia's famous contest
訳注19:Archidomides。彼の長い治世とその恐怖についてはMen of the Seaに記述があります。
訳注20:Tentacule。名前以外のこの神の詳しい記述はMissing Landsにはありません。同人誌TradetalkにPeter Metcalfeが魔術的なピラミッドを信仰するトンドたちのカルトとして記述していますが、どこまで公式的なものかは不明です。
訳注21:アギモリ、ガランゴードスの祖国であるラスカル、もしくはジョラーに戻ったということか
訳注22:マリ山脈北部の国境地帯
訳注23:Shakh。これはペルシアのシャーを意味しているのかもしれない
訳注24:knock-togethers
訳注25:Thinobutu。その詳しい神話についてはRevealed Mythologiesに記述がある
訳注26:グローランサの神々に記述がある
訳注27:Orjethulut、Hanjethulut

フォンリット

以下はMissing Lands p.62以降の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。

フォンリット

「私は{都市の名前}の都から来た強大なる{主人の名前}の奴隷である。貴方の主人は誰か、よそ者よ。」

地域の描写
フォンリットは喜ばしい亜熱帯の気候の地域である。植生は豊かだが、エルフのジャングルになるほど繁茂していない。フォンリットの主な区分は、アーファジャーン、カリーシュトゥ、バナンバ、モンドロ(訳注1)である。

住民
フォンリットには主にトラブ(Torab)と呼ばれる青い肌の民と黒い肌の民の混血が住んでいる。上流階級は信じられないくらい裕福で権力を持っているが、貧しい民は無慈悲に重税をかけられ、貧困のあまり魂を抜かれた奴隷となっている。

文化
フォンリット文化。アーファジャーンの民は独特だが、奴隷制度にそれほど支配されていないからであり、その文化はカリーシュトゥと比較すると興味深い相違点を見せる。

アーファジャーンの奴隷でない民の間では、社会は二つの宗派に分けられる。その家族の母親がツァニャーノ(革新派、訳注2)かボルガディ(守旧派、訳注3)の家系のいずれであるかによる。革新派は態度が開明的で、奴隷が結婚することを許し、(まれにだが)自由を買うことを許し、限定されてはいても、宗教的な選択権を享受する。守旧派は獰猛かつ無慈悲であり、「生きることは苦しむことだ」が彼らのモットーである。そして彼らは自分たちを、奴隷に対するのと同じように執念深い基準で裁く。いくつかの都市はひとつかもう一方の宗派で支配されているが、大半は党派で分割されている都市である。

言語
フォンリット語。カリーシュトゥ語、アーファジャーン語、モンドロ語。バナンバ語はラスカル地方(訳注4)の大部分で使用されている。ティノコス語はティノコスの地(訳注5)で好まれる言語である。

政治形態
奴隷制

軍隊
フォンリットの諸都市は最低でもひとつの部隊が駐屯している。彼らの指揮官に隷属していて、その指揮官自身は複数の支配団体に隷属している。パマールテラでは普通のことだが、質のよい馬は輸入を必要とし、騎兵は珍しい。

それぞれの都市国家の支配団体は専門的な護衛隊を保有していて、たいていの場合精選された、自由で、高い給料の支払われている外国の傭兵であり、特殊な魔術に熟練している。

戦場での魔術の大部分は侍従に支援されている少数の強力な魔術師に委ねられている。ほかの魔術部隊は神殿の司祭の少数のグループで構成されている。

宗教
アーファジャーン人の間で最も重要な神性は政治的な導入によるものだが、「輪縄の」ダーリスター(訳注6)である。この神は《強制》の呪文を大司祭であるジャーンに提供し、ジャーンはさらに自分の《強制》下にある者達にこの呪文を提供できる。呪文の効果は投射した者が生きている間持続する。

大地の精霊や、漁業の精霊や祖霊崇拝、都市の神々は数多くいる。強力な宗教は特定の都市ではさまざまな形で国家的に支援されている。サーロ市(訳注7)ではオーランス、エベッシャル市(訳注8)では「見えざる神」、インゴルトゥ市(訳注9)では「兄弟神」(外国人にはフマクトとゾラーク・ゾラーンと呼ばれる)がそのようなかたちで信仰されている。司祭階級は不可避的に腐敗していて、これらの都市の派閥のひとつを占める。

著名人物
アスタマニクス(Astamanyx)
アーファジャーンのジャーン。昔はテシュヴァソロス(訳注10)という小さな都市の支配者に過ぎなかった。彼は反乱の中でカリーシュトゥの資金に支援され、決定的なときには艦隊に支援されていた。

オヴゴルマンギス(Ovgormangis)
公子を自称している。この反逆者はバルエリ(訳注11)、モンドロの未開地帯にある邪悪な慣習で知られる都市にいる。アスタマニクスに簒奪された父のジャーンの位を奪回するため、反乱を扇動している。

エネルガストル(Energastor)
「賢哲女(訳注12)」と呼ばれる。「革新派」の指導的な代表である老女。彼女は彼女の平和と肥沃と解放のメッセージで栄える聴衆の一団がいる、「革新派」の一族の土地をよろめきながら巡っている。

歴史
時の始まりでは、この地域の住民は単なる「青の民」であった。ほとんど忘れられていたアートマル帝国の生き残りであった。彼らは壮大な船を所有し、不具の神々を信仰し、カタツムリや脚のない虫や魚を食べたが、獣や鳥の肉は食べなかった(訳注13)。

500年ごろ、ラスカルの地から北へ移住してきた者たちがこの地に入り込んだ。彼らの指導者である「冷酷なる」と呼ばれるガランゴードスは、青の民の古来の伝統を革新し、古代の儀式を彼らに敵対させ、隷属化に置くか殺した。ガランゴードスは自分の兄弟に殺された。ガランゴードスの十七人の兄弟姉妹たちは兄弟殺しを切り刻んで処刑し、国を自分たちで分割した。それ以来、フォンリットの全土は敵対しあう多くの団体に分割される地域である。

帝国の時代、カリーシュトゥは海上戦略的な重要性から、活動の一大拠点となった。すぐに「中部海洋帝国」がカリーシュトゥの政治と経済を支配するようになり、カリーシュトゥの文化にも影響を与えた。「神知者」の教義にある「自由な者は誰もいない」は奴隷制の意味自体を改変し、地域の奴隷制の伝統をより悪意の少ないものに変えた。今日では、フォンリットの奴隷の一部は蛮族地帯の農奴より自由である。

「大閉鎖」はフォンリットの沿岸を一掃した。942年には、船舶は岸に打ち上げられ、沈没し、波で破壊され、怪物たちに襲われ、魔術で爆発した。カリーシュトゥでは「水柱」が昇り、いっさいの島嶼部と本土との交通を遮断した。そして「川波」は数マイルも海から内陸へ海の敵を入り込ませ、流れ込んだ。944年には「水柱」が発生場所から跳ね飛び、内陸の地域や島々を水浸しにして、死者の艦隊が破壊活動を行い、恐怖を撒き散らした。1112年の「烏賊の週」のようなその他の破壊は継続したが、多くの最悪の暴力は955年には止んだ。

「大閉鎖」の間、唯一の重要な出来事は「イラニアの跳躍者たち」の侵略による大規模な民衆の移住で、特に1320年から1325年の間に顕著だった。地域のルードック族は「イラニアの跳躍者たち」を倒すための島嶼部と本土の重要な情報伝達に寄与した。

1587年、アーファジャーンと同盟したヴァデル人の艦隊がカリーシュトゥを攻撃し、征服した。彼らの支配は短かったが、それは1594年にヴァデル人は「オエンリコ岩礁の海戦」で滅ぼされたからである。

1613年、カリーシュトゥの艦隊は現在のアーファジャーンのジャーンが即位するのを援助した。彼はその後、信頼を裏切り、カリーシュトゥに戦いを挑んでいる。

訳注1:Afadjann:フォンリット北西部、ポイシダ海峡周辺の沿岸地域、フォンリット二大勢力のひとつ。Kareeshutu:フォンリット北東部、島嶼地域、フォンリット二大勢力のひとつ。Banamba:フォンリット南部、ラスカル沿岸。Mondoro:フォンリット南西部。半島の内陸地帯。
訳注2:Tsanyano
訳注3:Bolgaddi
訳注4:Laskal。フォンリットはパマールテラの半島だが、半島と大陸の間の海がコーラル湾であり、対岸がラスカルLaskalの沿岸である。
訳注5:Thinokos。ティノコスはフォンリット東岸の区域だがその住民は文化的にはまったく異なっており、むしろマスロ海沿岸の民と同系である。
訳注6:Darleester the Noose
訳注7:Sarro、後続の地誌の記事を参照
訳注8:Ebbeshal。後続の地誌の記事を参照。同人誌Four Scrolls of Revelationにはこの都市の快楽主義的マルキオン宗派が詳しく描写されている。
訳注9:Yngortu、後続の地誌の記事を参照
訳注10:Teshvashoros、後続の地誌の記事を参照
訳注11:Barueli、後続の地誌の記事を参照
訳注12:Sister Philosopher
訳注13:Peter Metcalfeは第一期のフォンリットにはJraktaliなる混沌に支配される文明があったと考えています。(「グローランサの神々」にはセラーンSelarnのカルトの短い描写にそのような記述があります。Lords of TerrorによるとJraktalは神々の戦いでパマールテラに侵攻した混沌の神です。)私は根拠としては薄弱だと思っていますが・・・

パマールテラ年表

以下はMissing Lands p.58の年表の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。
おそらく単語で不明なものが多いとは思いますが、質問してくだされば私が答えられる範囲では答えようと思います。

初期の移住期
475年ごろ:ラスカーダン族(訳注1)がエルフに滅ぼされる
500年ごろ:「冷酷なる」ガランゴードスがラスカルからフォンリットへ入る
580年ごろ:最初のセシュネラ入植者が到達(ウーマセラ)

帝国の時代
654年:エルフ族の反乱を弾圧するため、「神知者」がヴラーロスの森を広範囲で燃やす
662年:エリノール(訳注2)が長老評議会の支配権を握る(ジャングル)
734年:エリノールの艦隊が航海する(ジャングル)
751年:新しい星の出現。エリノールの帰還(ジャングル)
760年:エリノールがディナル(訳注3)に出発

大閉鎖
901年:「誤ちの神々の反乱(訳注4)」が「神知者」のヨーランデイ大学(訳注5)を破壊(ウーマセラ)
932年:アロラニートで大規模な難破
942年:「大閉鎖」がフォンリットを襲い、船舶は破壊される(カリーシュトゥ)
943年:「水柱(訳注6)」がカリーシュトゥ海峡に出現(カリーシュトゥ)
944年:地上への海の敵(訳注7)の侵攻(カリーシュトゥ)
950年:ジルステラの学者たちが、エンクロッソのエルフが絶滅したことを証明する
954年:ウェアタグ人の艦が最後の「神知者」の都市を破壊する(ウーマセラ)
955年:海洋における絶え間のない暴力が止まる
975年:昆虫による疫病でエリノール王朝が途絶える

内部の騒乱
1020年:「世界知識の主」、ヴラーロスとエンクロッソの支配者がエルフと人間の軍勢に敗れる(ウーマセラ)
1112年:「烏賊の週(訳注8)」(ドゥサングヤ島)
1129年:「言葉なき預言者」がヴァブルック市(訳注9)で「沈黙のカルト(訳注10)」を創設
1200年ごろ:最初のクレシュの幌車がウォロフェイ(訳注11)に現れる
1202年ごろ:「純粋なる教条の自由主義者たち」がケテレ市(訳注12)を建てる
1207年:「女の反乱(訳注13)」
1237年:エマヌス市(訳注14)の支配者、「抑圧者」エラッシ(訳注15)が「沈黙のカルト」の低級な形態の聖戦(ジハード)を布告する。征服が継続し、「沈黙の領土」が設立される
1290年:サーロ市(訳注16)がアーファジャーンで支配権を握る
1290年:アーファジャーンが「沈黙の領土」を占領する。「喧騒派(訳注17)」が蜂起して「沈黙のカルト」とアーファジャーン双方に抵抗する。
1313年:「ちびの」モリシド(訳注18)が最後の「沈黙のカルト」の拠点であるエマヌス市を占領時に「沈黙の死」を宣言する。
1300年:アーファジャーンにツァニャーノ(革新派)(訳注19)運動が活発化
1319年:赤いローブを着た「イラニアの跳躍者」(訳注20)の軍勢がファラージェ市からアーファジャーンを侵攻。諸都市は青い民(訳注21)の反乱で分裂。ファラージェ市の支配開始。
1320年から1325年:「イラニアの跳躍者」がカリーシュトゥを脅かす
1322年から1331年:「イラニアの跳躍者」がウーマセラに侵攻
1331年:「イラニアの跳躍者」たちが「約定は果たした(訳注22)」と宣言。政治的な勢力としては姿を消す
1340年から1358年:ヴラーロスの森とアーファジャーンの八回の「季節戦争(訳注23)」
1411年:クレシュ帝国(訳注24)の正式な組織化(コーサー)
1478年:トートリカ市(訳注25)がアーファジャーンの支配者を駆逐。ウーマセラにおけるアーファジャーンの支配の終わり
1518年:ホンボリ・トンド市(訳注26)の支配者が「輪縄の」ダーリスターを捕らえ、その神のカルトに入信。アーファジャーンにおけるジャーンたちの王朝の開始
1550年ごろ:クレシュの幌車がジョラーに到達

大開洋以来
1585年:ヴァデル人の艦隊がウーマセラに到達。大開洋の開始。
1587年:ヴァデル人の艦隊がアーファジャーンを脅かす。ヴァデル人、アーファジャーン、ウーマセラの連合艦隊がカリーシュトゥを征服
1588年:ガーザンズ市(訳注27)がヴァデル人の拠点となる
1594年:ヴァデル帝国が「オエンリコ岩礁の戦い(訳注28)」で破壊される
1613年:現在のジャーンがホンボリ・トンドで権力を握る(訳注29)
1613年:ザモキル(訳注30)で初の大規模なクレシュの幌車の焼き討ち
1615年ごろ:イヴィ・カンジ(訳注31)がアーベナン王国を設立(ジョラー)
1618年:「深淵の声」テルティヌス(訳注32)がエンクロッソ地方に貢物を要求。フローリン市(訳注33)が抵抗し、破壊される。

訳注1:Lascerdans。第一期にアルドリアミに滅ぼされたウーマセラの爬虫類人。Elder Secrets of Glorantha: Elder Races Bookに既出
訳注2:Errinoru。第二期にエルフ帝国を築いた歴史時代最大のイエローエルフの英雄
訳注3:Dinal。エリノール樹林の最東の謎の森。エリノールはここで英雄の生涯を終えた
訳注4:神知者の儀式で生まれた存在しないはずの神々の反乱。人工の神々にはWorlath、Ehilm、Jogrampurの名が挙げられる
訳注5:Yoranday。ウーマセラ、オリクOlik地方の遺跡。第二期には神知者が心霊動物園Psychic Zooという異界動物の動物園を建てていた。
訳注6:おそらく「大閉鎖」の影響のひとつ
訳注7:おそらく「大閉鎖」の影響のひとつ
訳注8:おそらく「大閉鎖」の影響のひとつ。Dsunguya島はカリーシュトゥの主要三島の中央の島
訳注9:Varburch。ウーマセラのサーンゴースCerngoth地方の都市。
訳注10:沈黙のカルトCult of Silenceそのものについてはあまり情報がなく、カルトの性質上後世にあまり情報を残さなかったと思われる。
訳注11:Worofey。ジョラー(伝統的なアギモリの国)とコーサー(クレシュの故郷)の間の危険で知られる国境地帯。
訳注12:Ketele。もしくはKatele。伝統的な遊牧アギモリ人の生活を標榜するカリーシュトゥ大陸本土部の都市
訳注13:ケテレ市に由来する女性の権利を主張する反乱。周囲のフォンリットの都市に飛び火し混乱を与えた。
訳注14:Emanus。ウーマセラ、オリク地方の小都市。
訳注15:Elassi the Stifler。彼以前の沈黙のカルトはそれほど政治的なものではなかったと思われる。
訳注16:Sarro。アーファジャーン大陸本土部の都市
訳注17:Clamourer。沈黙のカルトのアンチカルト。
訳注18:Small Morisido、「対沈黙戦争」を終わらせた英雄
訳注19:Tsanyano。オンパロム信仰の中である程度自由と奴隷解放を認める思想。ボルガディ派Bolgaddi(伝統主義派、厳格)派と対立
訳注20:Yranian Leapers。おそらく赤い月をイランYranと呼んで崇めるカルト。都市の城壁を飛び越える魔力を持ち、Faladje市(マラナ地方、フォンリット内陸部の地域の都市)を拠点としていた
訳注21:トラフ(Torav、オンパロム教徒)に奴隷として抑圧されている青い月の民アートマル人に反乱の意志を与える力を持っていた。
訳注22:pay off pledge。
訳注23:Seasonal Wars。ウーマセラの蛮族たちはエルフに加担してアーファジャーンに敵対
訳注24:Kresh Empire。飾り立てた荷車(人間が引く)で通商を行うアギモリ人の「帝国」。交易を行うことや、木材の供給のため密かにファルーサ女神(Falutha、エルフの言うアルドリア)を崇めていることから伝統的なジョラーのドラド人と対立。
訳注25:Tortrica。ウーマセラ・サーンゴース地方の大都市。エディルス川Edirus流域を支配
訳注26:Hombori Tondo。カネム・ダー島Kanem Darにあるアーファジャーンの首都
訳注27:Garzanz。ウーマセラ・フアマズHuamaz地方(リオガッセ川流域)の都市。
訳注28:Battle of Oenriko Rock。オエンリコ岩礁はカリーシュトゥのニェナグヤ島(主要三島の南の島)沖にある
訳注29:アスタマニクスAstamanyx。カリーシュトゥの力を借りて即位
訳注30:コーサー南部のアートマル人の国。原始化した青い肌の民が住んでいて、古代の栄光を偲んでいる地
訳注31:Ivi Kange。クレシュに対抗するためにArbennan王国を設立
訳注32:Terthinus、Voice of the Deep。ダショーモ海のマラスプ(ピスコイの魚人族)の大部族フロアリーリHroalili部族の半神。
訳注33:Flaurine。ウーマセラ、オリク地方の港湾都市

ヒョルト王9:ヒョルトの死

下記はBook of Heortling Mythologyの一部の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。ヒョルト王のサガの最後の部分です。おそらくオーランス人と神の理想的な関係について暗示しているのだと思われます。

ヒョルトの死
稲妻がヒョルトを殺した。

エスロリア人は、ヒョルトは最期にオーランスと争い、今一度、現世の男の悲しい傲慢が繰り返されたのだと言う。彼らが言うには、ヒョルトは自分の妻の言うことを聞くべきだったと。

メルンガラ女王(訳注1)の代弁者は、自分が死を目撃したと言う。そしてヒョルトとオーランスが自分たちのいずれが重要なのか争ったのだと。その男が言うには、ヒョルトの能力は混沌と対抗するものであり、オーランスは混沌ではなかったから、オーランスのほうが優位であったのだと。その男は大きな声で疑問を口にした。「もしヒョルトが勝って、オーランスが負けたのなら、神々が今では定命の者となり、人類が不死で絶え間なく蘇ることになったのだろうか」エスロリアの祖母が言うには「なんというナンセンスを口にするのだ。友よ。」

エスロリア人はわかっていない。オーランス人は知っている。

ヒョルトの火葬場は聖なる頂(訳注2)にあり、この地でヒョルトの死は、われわれの言葉を知らない者にたいしても物語られる。長い形になった話もあり、ひとつは彼らの祖先たちに関してであり、もうひとつはこの出来事における神々の集まりについてである。

ある日のことセレルテロ(訳注3)、オーランスの使者が「偉大なる鹿」、われらの王、ヒョルトを訪れて言うには、

「わが偉大なる君主の息子よ。私は今日貴方を古の時間の前の君主である死から保全し、オーランスの大広間へと向かう偉大なる道へと招くために伺いました。」

ヒョルトが答えるには、

「私は自分が望むところへ戦ってたどりつくか、もしくは今いるところに留まるために戦うか、いずれかでしか動いたことがない。貴方の提案していることは二つ目の類のことだ。そして私は最善を尽くさずには、どこかへ去ることはないだろう」

「灰色ひげ」の法の番人が介入し、言うには、

「ご存知のとおり、法の作り手よ。掟は貴方が仕える君主の下に向かうように命じています。」

「私はオーランスのいかなる掟にたいしても誓いを立てたことはない」

ヒョルトは言った。「多くの他の者はそうしているようだが。下がっていろ」そして「灰色ひげ」は頭を下げて引き下がった。

ヒョルトの妻、イヴァーンが介入し、言うには「愛しい方、ご存知のとおり、いつだって他の方法はあるはずです。」

「これが私のやり方なのだ。そしてそれ以外のことを行っていたら、私は貴方には値しないだろう。お願いだ。自分の身を守ってくれ、下がっているのだ。」

そしてイヴァーンは夫の耳にささやいた後、退いた。

「お願いです。いらして下さい」セレルテロは言った。

「いやだ。来て私を捕まえてみろ」

「これはわが君が言っていたとおり。そしてこれが道であります」セレルテロは言って、合図をした。すると三人の稲妻の戦士たちが前に出てきた。

「三対一か。」ヒョルトは笑った。「老人は最後には名誉も捨てたか」

「いいえ、そのようなことはありません。」ヤヴォール(訳注4)は魔力を呼び起こすため投槍を握った。

「しかし我々はどのような方と対峙しているのか知っているのです。」

そしてそのままヤヴォールは自らを槍として投げつけた。一瞬のうちに一軍団を滅ぼすに十分な力を。ヒョルトの盾はヤヴォールをはねのけて、槍の穂先は鈍り、さかとげは曲がり、羽根は吹き飛んで、柄は砕けた。

「一対一です。」ダーンドール(訳注5)は言って、槍を構えて、神性を呼び起こした。

「生ある者のうちもっとも高貴な方のために」突きでヒョルトの盾を砕き、その後、槍と槍が交錯した。ついには王がダーンドールの刃を撃ち、ダーンドールの槍は折れて、柄は砕け、ダーンドールは倒れた。ダーンドールはよろめいて立ち上がり、去っていった。

「法と習慣と自然を超越する者よ。抵抗は不滅だ。」タリロール(訳注6)は言った。「貴方は祝福されている。」

タリロールは一撃した。そしてヒョルトは世界でもっとも偉大な戦士ではあったが、異界の槍はヒョルトの防御をすり抜けてヒョルトの精髄を撃った。そして元素はヒョルトの息と結合し、誰も耳にしたことのないような、耳をつんざくような轟音以外に声もなく、ヒョルトを破壊した。風が吹き荒れ、雲は裂け、影は揺れて、灰は吹き飛んだ。ヒョルトは解放された。

このことが起きたのが「聖なる頂」であった。今ではヒョルトはオーランス自身のテーブルに座っている。ヒョルトは望むままに去ったり、現れたりする。そしてこれまで生きてきた全ての生ある者に属する者である。ヒョルトはオーランスの二番目の友人である。そして望むままに座ったり、立ったりする力を持つ者である。


訳注1:Merngala、「銀の時代」のエスロリアの名高い女王
訳注2:Sacred Top。クィヴィンの地(第三期のサーター)にある聖なる墓所。ジャロサーとテラサリン墓所もある。
訳注3:Thereltero。「黄金の舌」と「言葉の母」の息子。日本語版サプリメント「ゆりかご川」では「伝令」ヘラルドと呼ばれていた。
訳注4:Yavor。元は火の部族の一人。雷鳴の兄弟の一柱。
訳注5:Durndor。おそらくオーランスの僕のひとり。
訳注6:Tarilor。おそらくオーランスが持つ最大の武器。解放の稲妻Liberation Bolt。

ヒョルト王8:イヴァーンの目覚め

下記はBook of Heortling Mythologyの一部の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。

イヴァーンの目覚め

ヒョルトがイヴァーンを眠りから醒ました。しかしイヴァーンが目覚めたとき、ヒョルトは怪我で死にかけていた。そしてイヴァーンの手当てで(息と口付けで)ヒョルトの命は救われたのである。戦士たちは暗黒の怪物どもとの戦いから戻ってきた。

[引き続くヒロインの再生は本質的な女性の役割の容認を意味する。受け入れることとと存在すること、そして(重要とみなす)秘密の保持である]

ヒョルトと仲間たちはステッドを建て直し、恐ろしい雪がもたらした被害を修復した。しかし女たちに生きていくためのしきたりや儀式を示したのはイヴァーンだった。イヴァーンは女たちに家門の神々と、かまどや家の精霊たちを招き入れる方法を示したのである。

イヴァーンは女たちにケスタ(訳注1)の知識を示し、悪いときに備えて穀物や果実を貯蔵して、再び民が飢えることがないようにした。イヴァーンは「輝くパンSplendorbread」を焼く秘密を保っていて、奇跡を持つ強い「濃い醸造酒Widebrew」を醸す、イステナ(訳注2)の秘密を再び男たちと分かち合ったのである。

イヴァーンは女たちを指導して畑の境石を塗りなおし、貢物と祈りの言葉を持って埋めなおした。イヴァーンのみがアーナールダを歓迎する聖歌と、ヴェルハラ(訳注3)への歌を記憶していた。イヴァーンは大地に聖なる杭を埋め、ヴォーリアに敬意を示すためにリボンと花を女たちに結ばせた。ビャクシンの樹液をファラダン(訳注4)の炎で燃やし、その灰を畑や家にまいて聖別した。イヴァーンは「亜麻の踊りFlax Dance」と「鵞鳥の踊りGoose Dance」を記憶していた。

ヒョルトと部下たちはしばしば狩りに出かけたが、獲物の肉を風味のある食物に変え、毛皮を有用な服に変える方法を女たちに教えたのはイヴァーンであった。

「女王蜂」を洞窟で見つけたのはイヴァーンであり、深い眠りから目覚めさせて、「女王蜂」とその子供たちをステッドに呼び戻した。そうすることで民は蜂の黄金の甘さを分かち合えるようになったのである。

イヴァーンはウルラルダUlralda(訳注5)の死にかけた子牛を見つけ、家に運び、アラルナラの知識を持って回復させた。時とともに、子牛は成長し、ミルクをイヴァーンに与えた。そしてイヴァーンは女たちにバターとバターミルクを再び作る方法を教えた。この後、ウルラルダは民を祝福し、その家畜は再び育っていった。

イヴァーンのヒョルトと、その民への最大の贈り物は二人の息子:ゴランスとデサヴェントゥス(訳注6)であった。
訳注1:Kesta。アーナールダの侍女の一人。食物を給仕する。
訳注2:Istena。アーナールダの侍女の一人。水と酒を給仕する。イヴァーンの祖先
訳注3:Velhara。野の姫。
訳注4:Faladan。生贄の火の神。
訳注5:おそらくウラルダ(Uralda)の異名。牝牛の女神
訳注6:Gollanthはヒョルトの跡継ぎ。Desaventusは銀の時代の冒険者で、ヘンドレイキ王アヴェントゥスの祖先

ヒョルト王7:イヴァーンと氷の墓

下記はBook of Heortling Mythologyの一部の抄訳です。訳の間違いの責任はzebにあります。

イヴァーンと氷の墓

イヴァーンが休息すると、天候は悪化し、雪と氷がイヴァーンの体を覆った。しまいにはイヴァーンは氷の巨人に埋葬され、氷の穹窿のなかで眠りについた。



イヴァーンの周囲の世界の苦しみは続き、多くの者は怪物どもに倒れ、勇敢な者のみが生き残った。眠りについていながらも、イヴァーンは混沌と暗黒から守られていた。イヴァーンの力は喪われず、全ての仲間たち、友人たち、世界から離れることによって以前あったものは存続した。イヴァーンのまどろむ体の中のみに、女性の宿す力が保たれていた:勤勉、優しさ、和解、同情、奉仕、愛、そして平和である。